親が白内障の手術をしたときに利用したのが、「高額療養費制度」です。
これ、一言でいってしまえば「払いすぎた治療費が戻ってくる」ってこと。
そのとき調べた知識を、できるだけ分かりやすく簡単にまとめてみます。
世帯ごとに治療費の負担額が決まってる
「あなたの世帯は1カ月あたり、57,600円までは負担してください」
っていうのが世帯ごとに決まってます。
この負担額の上限額は、所得によって決まります。
所得が高い人ほど、負担額も高くなります。
この決まった負担額を超える支払いをした場合、高額療養費制度でお金が戻ってきます。
保険証を使えば、病院窓口での自己負担は3割で済みますよね。
この3割分の金額が、負担上限額を超えた場合に、後日高額療養費が銀行口座に振り込まれます。
保険の種類(国民健康保険、社会保険)によって違いますが、ボクの両親の場合、なにもしなくても自宅に申請書が届きました。
支給までの流れは加入中の健康保険に確認した方が間違いないですが、自己負担上限額も振込みまでの流れも、どの保険でもほとんど同じです。
※保険者に問い合わせる場合は、保険証に「保険者」と「連絡先」が記載されていることが多いので、見てみてください。
あらかじめ申請しておけば、病院での会計を安くできる
一度支払ってから戻ってくるのが、「高額療養費」
最初から安くするのが「限度額適用認定証」です。
病院は保険証だけでは、その人の所得区分と負担額が分かりません。
なので3割分すべて請求してきます。
でもあらかじめ「限度額適用認定証」を保険者に申請して手に入れておくと、そこに「この人の負担額は57,600円までですよ~」って記載されてるんですね。
そうすると、初めから病院の窓口での支払いが57,600円で済むんです。
高額療養費は申請書が自宅に届くまで、3カ月以上かかります。
大した金額じゃなければいいですが、3割分だけでも50万円とかになると、いくら高額療養費で戻ってくるとはいえ、しばらく自己負担するのも家計が大変・・・。
そんな方は是非事前に「限度額適用認定証」を取っておきましょう。
一度取得すれば、直近の7月末まで有効の「限度額適用認定証」が貰えます。(有効期限までは何回でも使えます)
入院する際に病院から「限度額適用認定証作っておいてくださいね~」ってアドバイスされることもあります。
外来と入院は別なの?
「外来と入院は別計算だから、負担上限額なんてあってないようなもの。医療費はどこまでも高くなる」
この間2chまとめサイトを見ていたら、こんなことが書いてましたが、これ半分正解で半分間違いです。
外来と入院は別計算、これは正しいです。
負担上限額はあってないようなもので医療費はどこまでも高くなる、これは半分間違いです。
「外来と入院は別計算」
これって分かりにくいですよね。
自己負担上限額が57,600円だと仮定して説明しますね。
①まず一番シンプルな場合、A病院の入院だけで60,000円請求されたとします。
この場合、上限額との差額2,400円が高額療養費で戻ってくる金額になります。シンプルです。
②次にA病院で外来の検査を受けて、そのままA病院に入院した場合。
外来で30,000円、入院で60,000円請求されました。
合計90,000円支払いました。
この場合、90,000円と上限額57,600円の差額、32,400円が高額療養費で戻ってくる金額です。
ここまでで終われば、結構シンプルです
「外来と入院は別計算」なんて無視してOKそうですが、ちょっと違うんです。
③同じくA病院で外来の検査を受けて、そのままA病院に入院した場合を考えます。
外来で20,000円、入院で60,000円請求されました。
合計80,000円支払いました。
この場合、80,000円と上限額57,600円の差額、22,400円が高額療養費で戻ってくる金額・・・とはならないのがクセモノなんです。
「一箇所あたり21,000以上負担していない場合、高額療養費の計算には入らない」
と、健康保険法で定められています。
②の場合は30,000(外来)+60,000(入院)=90,000円で高額療養費を計算しましたが、
③の場合は20,000(外来だが21,000円未満なので0円扱い)+60,000(入院)=60,000円で高額療養費を計算します。
つまり③の場合、負担したと認定される金額は60,000円のみ。
差額の2,400円だけが高額療養費として戻ってくる金額となります。
難しいですよね。
ちなみにこの21,000円ルール、複数の病院に通院、入院した場合も同じように使えるルールです。
A病院、外来20,000円、入院60,000円
B病院、外来10,000円、入院30,000円
C病院、外来30,000円
これだけかかった場合、A病院の外来と、B病院の外来が21,000円未満なので切り捨てです。
A病院入院60,000円、B病院入院30,000円、C病院通院30,000円の合計120,000円。
57,600円が上限額だとすると、差額62,400円が高額療養費です。
いくもの病院で21,000円行かない会計をすれば、治療費はどこまでも高くなります。
しかしそんなケースはあまりないと思います。
普通に治療を受ければ、切り捨てられる負担も出る可能性もあるでしょうが、基本は上限額で止まります。
高額療養費は1か月単位で計算する
高額療養費は1か月単位で計算します。
57,600円という金額が上限額だと設定されていた場合、いつからいつまでで考えるかということですが、1日から末日までで計算します。
これってつまり、入院するタイミングで負担額が変わってくるってことなんです。
4月1日に入院して、4月30日に退院して、100,000円請求されたとします。
この場合はシンプルです。
4月だけ考えればいいので、差額52,400円が高額療養費です。
しかし4月15日に入院して、5月15日に退院した場合は問題です。
「4月に57,600円負担しましたか?5月に57,600円負担しましたか?」で計算されます。
つまり、4月分で50,000円、5月分で50,000円の内訳で合計100,000円の請求されたとします。
そうすると4月も5月も57,600円以上かかってないので、高額療養費は0円になります!
同じ治療だとしても、入院のタイミングで大きく損をしてしまうことがあるんです。
かたや52,400円戻ってくるのに、かたや0円ですからね。
とはいえそう言う法律で決まった制度なんで、どうすることも出来ません。
出来ることは病院に入院の日を調整してもらえないか、相談することだけですね。
かかったお金全てが高額療養費の対象になるわけじゃない
病院でかかったお金全てが高額療養費の計算対象になるわけじゃありません。
全て合わせて57,600円で済む、という訳じゃないんです。
あ、57,600円を例に取っていますが、所得に応じて金額は変わります。念のため。
高額療養費の対象にならない代表的なものは、
・保険外治療
・差額ベッド代
・食事代
先進医療などの保険外治療、個室に入った場合などの差額ベット代、入院中の食事代。
これらは57,600円とは別に支払わないといけません。
「あくまで保険の効く治療費が、上限額で済む」というのが高額療養費制度です。
差額ベッド代は高くなりがちです。
他にベッドが空いてなくて、仕方なく差額ベッドを支払うケースも多く、病院とのトラブルも多く発生しているようです。
なので、差額ベッド代がかかる場合は、病院は同意書を取り付けることがルール化されています。
同意書に個室を望まない旨記載し、「望まない個室に入れられたので支払わない」と争うケースもあるようですが、差額ベッド代の支払い相談は病院とになります。
健康保険からの高額療養費の支給はありませんので、注意が必要です。
個人保険は加入した方がいい?
ガンなどの疾病にかかった場合、治療費が高くつくので、個人の健康保険に入りましょう~とCMが流れていますよね。
確かに治療費が高くつきますが、高額療養費以上は支払う必要がありません。
上記の例では、57,600円以上は基本的に払わなくて大丈夫。
ガンの治療で、月100万円かかろうと、57,600円で済むんです。
これをどうとらえるか、ですね。
「月57,600円+αで済むなら、貯金して置けばなんとかなる」と考えるか、「いやいや差額ベッド代もかかるだろうし、心配だから保険に入っておこう」と考えるかです。
個人保険に入っておけば先進医療でも給付が受けられる場合もありますからね。
月々の支払いを勿体ないと捉えるか、安心のための当然の出費と捉えるかです。
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