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労災5号様式とは
自己負担なしで治療を受けるための、「現物給付用」の申請書です。
会社記入欄、病院記入欄があります。
会社に証明を貰った(会社に証明を貰えない場合は、自分で事情を記入すれば可)上、病院に提出すれば無料で治療を受けられますが、5号様式が使えるのは「労災指定医療機関のみ」になります。
通勤災害の場合の現物給付用は「16号の3様式」と名前が変わります。
現物給付用の5号様式(通勤災害は16号の3様式)のみ、提出先は病院となります。
他の様式については、会社と病院に記入してもらった上、労働基準監督署(以下、労基)に提出することになります。
・実際の労災5号様式(現物給付用)のリンク先はこちら(厚生労働省公式HP)
・実際の労災16号の3様式(現物給付・通勤災害用)のリンク先はこちら(厚労省公式HP)
労災7号様式とは
治療費を一旦全て自己負担(10割負担)したあとに使う「償還払い用」の申請書です。
会社記入欄、病院記入欄があります。
7号様式は、どの病院でも使うことができます。
治療を受けた病院が労災非指定病院の場合、また労災指定病院でも一度健康保険証を使ってしまった場合など、現物給付(無料での治療)が取り扱えないときに使用することになります。
提出先は労働基準監督署です。
一度10割全額自己負担した上で、領収書を添えて提出することで、後日支払った医療費が戻ってきます。
通勤災害の場合の償還払い用は「16号の5様式」と名前が変わります。
・実際の労災7号様式(償還払い用)のリンク先はこちら(厚労省公式HP)
・実際の労災16号の5様式(償還払い・通勤災害用)のリンク先はこちら(厚労省公式HP)
その他、労災が原因の場合は「休業補償、遺族補償、年金、葬祭、介護」についても給付があります。申請書の提出先は全て労働基準監督署になります。
提出先の労働基準監督署は、例外なく「会社の所在地を管轄する労働基準監督署」です(労働基準監督署の管轄地域と所在地一覧 | 東京労働局 (mhlw.go.jp))。自分の住所ではないので、注意が必要です。
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健康保険から労災に切り替えるには
労災になるかどうか分からずに健康保険を使用したあと、労災が適用になった場合などは、「健康保険から労災への切り替え」が必要になります。
「病院で自己負担した3割分を労災から支払ってもらえる」と勘違いしてしまいがちですが、健康保険と労災は同時に使うことができません。
なので、労災に切り替えるためには、まずは健康保険をなかったことする必要があります。
試しに、労基に3割分だけを請求できるか相談してみてください。「健康保険にお金返さないと労基も何も支払えません。」と言われるはずです。
面倒ですが、健康保険法で定められてしまっているためどうしようもありません。
ここからは、労災に切り替えるタイミングと、病院のスタンスで手間が大きく変わってくるので要注意です。
まずは病院に「労災切替え」を相談する
労災が適用になった場合は、「健康保険で治療を受けましたが労災になりました。今から労災への切り替えは可能ですか?」とまずはなるべく早く病院に相談してください。
受診月の翌月10日までに相談すれば、病院は労災に切り替えてくれる可能性が高いです。病院は、例えば5月診療分についてなら、6月10日にレセプト請求をするためです。
「労災指定病院」が労災への切り替えに応じてくれれば、もう自分で何もすることはありません。病院の窓口で支払った3割分は、病院から戻ってきます。あとは労災で無料で治療を受けられるようになります。
一方、「労災指定病院」でない場合は、病院の窓口で支払った3割分に加えて、健康保険分の7割分を追加で病院に支払うことで、一旦治療費の10割全額を支払う形にします。10割支払った後なら労基に労災請求できるため、そのまま労基に請求すれば10割が戻ってきます。
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病院が労災切替えができないときは、保険者に相談する
受診から時間が経ったり、協力的な病院でない場合だったりした場合、「もうレセプト請求してしまったので、病院では何もできません」と切替えに応じてくれないこともあります。
その場合は、自分で健康保険の主体である「保険者」に7割分の医療費を返還する必要があります。
繰り返しになりますが、健康保険を使った状態で、労災への請求は不可能です。
まず、健康保険証を確認して、自分がどの健康保険に加入しているかをまず確認します。
保険証の下の方に、「保険者:○○健康保険 連絡先:○○~」と書いてあればそこに電話をします。
※社会保険の場合、半分以上の人は青い保険証の「全国健康保険協会○○支部」に加入しているはずです。全国健康保険協会は、保険証に連絡先が書いてないので、インターネットで連絡先を確認してください。
保険者へ電話をしたら、まずは以下のことを伝えてください
① 健康保険を使ってしまったが労災適用になったこと。
② 病院には切替えを断られてしまったこと。
③ 治療期間、医療機関名、私病分の有無
これらを伝えることで、後日保険者から7割分を返還するよう記載された「不当利得返還請求書」と「納付書」が郵送されてきます。以降は次の流れになります。
① 不当利得返還金を金融機関等で返還する。領収書(7割分)が手元に残る。
② 保険者から「レセプト」が開封無効の封筒に入って郵送されてくる ※1
③ 病院窓口で支払った3割分の領収書、①の7割分の領収書、②のレセプトの3点を揃えて、労基に7号様式を提出する
④ 労基から10割分が戻ってくる
※1 レセプトは、返還金を支払ってから2週間程度で自動的に送ってくれるケースが多いが、保険者に個別に確認が必要なこともあるので注意。
注意点は、保険者からの不当利得返還請求は、最短で受診月から3か月程度と時間かかることです。
例えば5月診療分のレセプトは、病院が6/10に審査機関(社会保険支払基金or国保連合会)に提出し、1か月の審査を経て7/10に各保険者に届くため、そこから保険者が準備をして8月に請求書が届くイメージです。
そのため、病院が切替えに応じてくれるかどうかが、手間と時間を大きく左右することになります。
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治療費が高すぎて、10割負担できない場合
治療費が高すぎて、一旦10負担できない場合は、労基に相談してください。
健康保険とのやり取りに「保険者間調整」の制度を活用できる場合があります。
これは、健康保険に7割返す手続きを、労基が担ってくれる制度です。
健康保険から届いた返還請求書、納付書を労基に提出することで、労基が健康保険に7割返還し、3割分を本人に支払ってくれるというものです。
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