日本の伝統芸能といえば、歌舞伎ですよね。
まだ見たことはなくても、生涯で一度は見てみたいと思っている方も多いと思います。
私もずっと見てみたいと思っていましたが、ある歌舞伎好きの先輩から
「歌舞伎のチケットは良い席だと20,000円くらいするし、通しで見るなら一日がかりだよ」
と聞いていて、その敷居の高さから尻込みしていました。
しかし先日銀座の歌舞伎座の前を通ったときに「一幕見席(ひとまくみせき)」という案内を見付けて、「これは手軽に歌舞伎が見られる!!」と勢いに任せて見学してきました。
実際に見てみた感想は
・一幕15分500円程度から気軽に体験できる
・一番遠くの観覧席から立ち見する
・お客さんの半分は外国人
・一幕だけだからなのか、話がよく分からない
・踊りの動きが意外とバラバラ
・室内が異様に暑い
という感じでした。

一幕15分500円程度から気軽に体験できる
歌舞伎は全ての演目を見るとかなり時間がかかりますが、1つの演目だけを見ることもできます。
これは「一幕見席」と呼ばれていて、演目ごとにかかる時間と金額とが違います。
私が観覧したのは、「女伊達」という演目でした。
女伊達は一幕15分で終わり、チケット代は500円と格安でしたが、他にも1時間程度で2,000円の演目なんかもありました。
チケットの購入方法は、まず歌舞伎座に向かって左手の入口にあるエレベーターに乗って4階まで上がります。
するとすぐ目の前が一幕見席のチケット販売窓口になっています。
このエレベーターは4階に直通で、一幕見席用のエレベーターみたいになっています。
窓口に着いたら見たい演目のチケットを購入し、開演20分前にまた4階のチケット販売窓口に集合します。
チケットには整理番号が振られていて、再集合の際にこの順番で整列し入場します。
20分前に集合すると、店員さんがお客さんを整理番号順に並べてくれます。
その後開演時間前に入場OKの案内が出て、空いてるスペースを見付けてそこで観覧し、演目が終わったら退場する流れとなります。
なお演目ごとにチケットの販売開始時間が決まっていて、販売開始後すぐに買いたい人は歌舞伎座向かって左のスペースで列を作って並びます。
いつも歌舞伎座の前を通りすぎるとここに列があって何の列か気になっていましたが、一幕見席の列だったようです。
どの演目が何時からなのか、何時に販売開始するのかは特設サイト「歌舞伎美人(かぶきびと)」で確認することができます。

一番遠くの観覧席から立ち見する
一幕見席は格安なだけあって、観覧席は舞台から一番遠い立ち見スペースです。
ただし、一幕見席でも座席が残っていれば座れるようで、早い整理番号の人は座席をキープ出来ていました。
私のときは120人くらいお客さんがいましたが、1番から60番くらいの人は座席に座れていました。
店員さんが若い番号の人たちに「座席に座れますので、入ったら席をキープしてください」と案内していたので、
もしかして座れる?と期待してしまいましたが、60番くらい以降の人には
「ここからは後ろの立ち見スペースをキープしてください。見られる場所は前の手すり沿いか、後ろのお立ち台の2列でお願いします」
と案内が変わったので、ここまでは座れる番号、と決まっているようでした。
早い順番のチケットを買ってゆっくり座って一幕見席したい方が、販売開始時間前から外に並んでたんだな~と初めて気が付きました。
逆に言えば、立ち見で良ければ並ぶ必要はないと思います。
演者との距離が遠いので正直歌舞伎の雰囲気、迫力はあまり感じられません。
でも、音響のおかげか音楽や声はよく聞こえるので、内容についていくことは出来ると思います。

お客さんの半分は外国人
一幕見席で驚いたのは、お客さんの半分くらいが外国人だったことです。
あちこちに英語が飛び交っていて、歌舞伎座にいるのに外国にいるような不思議な感覚でした。
勉強熱心な店員さんは英語でもアナウンスしていて、外国人観光客の歌舞伎人気がうかがえました。
中には「オーマイガッ!オーマイガッ!」とかなり興奮気味の外国人もいて微笑ましかったです。

一幕だけだからなのか、話がよく分からない
私が見たのは「女伊達」という演目です。
真ん中に華やかな女形、左右に一人ずつ男性がいて、三人が音に乗って踊っていました。
三人の後ろでは、太鼓やら笛やらを演奏する人たちがいて、「イヨーーーーッ」ポンッっていう歌舞伎らしいアレをやっています。
最初は女形が左右の男性一人ずつと絡みつつ踊ります。(二人の男性に求愛されてる?)
途中から6人くらいの男が乱入してきて、女形と絡みますが、女形はヒラリヒラリとかわすように踊ります。(女形は物捕りに追われている?)
所々で決めのシーンがあったようで、そこでは観客が拍手をしたり、「ヨッ!!よろず屋!!!」とか叫んでいました。
最後は女形が衣装替えをして、傘がバッと開いてフィナーレです。そして会場を埋めつくす拍手。
色々と想像しながら見ていましたが、残念ながら最後まで何をやっているのか分かりませんでした。
通しで見ると分かるのか、分かりにくい演目だったのか、そもそも歌舞伎は予習が必要なのか・・・色々と難しかったです。

踊りの動きが意外とバラバラ
歌舞伎は一糸乱れぬ踊りをするものと思っていましたが、意外と動きがバラバラでした。
特に左右の男性が、同じ踊りをしているのは分かりましたが、腕の角度とか足の角度とかはそれぞれバラバラです。
センターの女形との距離も片方が短かったり、長かったりで左右対称じゃありません。
左右対称とかシンメトリーをあえて外すのが歌舞伎のルールなのかもしれませんが、何も知らずに見るとなんだか歪んだ感じを受けてしまいました。
ただ、バク転やバク宙があったり、平均台の上でアクロバティックに前転したり、ブレイクダンスのような踊りがあったりして迫力があるシーンも多々ありました。
きっと昔の歌舞伎にはない動きを現代風にアレンジしているんだろうなぁと勝手に想像して、歌舞伎界のたゆまぬ努力を感じて感動しました。

室内が異様に暑い
夏日のゴールデンウイークというエアコンを付けるには微妙な時期だったせいなのか、4階観覧席という高い場所のせいなのか、室内がめちゃくちゃ暑かったです。
15分の演目を見終わる頃には、汗で下着がグッショリ濡れてしまいました。
夏日でしたが、外に出ると風がある分涼しく感じるくらいです。
いつもこんな暑さだとすると、とても通しではみてられないと思います。

まとめ
一幕見席は良くも悪くも、「お試し歌舞伎」でした。
気軽に体験できるのはいいですが、果たして歌舞伎の魅力をどれだけ享受しているのか分かりません。
一幕にも当たりハズレがありそうなので、次見るならおすすめの演目なんかを調べてから行きたいですね。
それを早めの一幕見席チケットを購入して、座ってゆっくり見学してみたいです。
正直、まだ「通しで見てみたい」とは思えてません。
ただ、ずっと憧れていた歌舞伎に触れられたので、貴重な経験になりました。
とにかく歌舞伎に触れてみたいという方は、まずは一幕見席がオススメです。