東進ハイスクールの人気講師である安河内 哲也さんの勉強法の本です。

今後勉強する際に活用できるテクニックを知りたくて読んでみました。

 

一部のエリートたちが実践し、推薦する勉強法には、感心せずにはいられないようなすごいものが多いです。でも、正直なところ、実際にそれができるのは一部の秀才だけのような気がします。それに比べれば、私の紹介する勉強法は、ふつうの頭の私が、「ああでもない、こうでもない……」と、生徒たちと試行錯誤しながら作ってきた勉強法ですから、誰にだって実践可能なことばかりなのです。

 

ソニーの創業者、盛田氏は言っています。 「学歴はなくてもいいけれども、学力はなければならない。そこを混同してはならない」 まさにその通りだと思います。

 

当時外国映画を観ることが大好きなおかげで、英語だけは「4」をキープ。「大好きな外国映画と関係のある英語だけは、ちょっとやってやろう!」という気持ちで取り組んでいたからでしょう。  考えてみれば、そのときの興味が、いまの仕事につながっています。 「好きこそものの上手なれ」といいますが、 何を勉強するかに迷ったら、子どものころに何が好きだったのかを思い出してみるのも、ひとつの方法 です。 

 

新しいことは、beaten track(踏み固められた通り道)を出たときにしかはじまりません。 待っていてもダメ。あなたがoff the beaten trackという行動に出ることではじめて、面白い「何か」との出合いがあるのです。 「週に一度は、通勤・通学途中に寄り道をせよ」

 

off the beaten trackを確実な最初の一歩にするためには、「try everything once」。そう、やってみることです。 「とりあえずやってみる」  何かを学びたい、身につけたいと思うのなら、この精神はとても大事です。やりたいことをとりあえずやってみる。かじる程度でいいのです。最初から立派な道具をそろえるとか、「これで身を立ててやる」とか気張らないことです。

「案ずるより産むがやすし」を口ぐせにせよ。

だいたい世間には、「できたらいいな」と思っているうちに3年が過ぎてしまったという人が多すぎます。でも、考えてみてください。 3年も続けていれば、たいていのことはできるようになっています。「やろうかな、どうしようかな」と3年も迷っているのなら、すぐにやるべきです。 迷っているだけ時間のムダです。

実際、何かをはじめてみて、どうも自分には向いていないと思うこともあるかもしれません。そのときはやめればいいのです。深く考えないこと。みんなまじめに考えすぎです。「向いていなければやめればいい」くらいの気持ちでいいのです。

もし100のステップがあるとしたら、最初の一歩を踏み出した時点で半分の 50 ステップくらい終わったのと同じことなのです。

そのコツは、「off the beaten track」。  そして、「try everything once」。  思いついたら、とりあえずやってみる。「いつか」という言葉は今日から禁句にしましょう。 Action! 2週間以内に「いまやってみたいこと」の体験レッスンに参加しましょう。

 

やったことがない仕事など、思いきって「無理」をしたことは、新しい世界への足がかりになり、未来の自分につながっている。高いハードルが現れるのは「お前はマンネリになっているぞ!」 という神様の声。

みなさんも、「できない」とか「無理!」とか言わないことで、きっと新たな扉が開きます。ですから、 分不相応に感じられる仕事が降ってきたときこそチャンスです。とりあえず、「やる!」と決めてしまいましょう。そして、プレッシャーを利用し、勉強して乗り越えてください。それは、あなたにとっての「神の声」なのです。 Action! 難しい仕事や 怖じ気づくような誘いは成長のチャンス!喜んで受け入れよ!

 

「失敗すると恥ずかしいから」とためらう人もいます。こういう人は、「失敗=マイナス」という精神構造を徹底的に叩き壊す必要があります。「どうなるかわからないけど、やってみるか」という考え方に転換しない限り、新しい何かははじまりません。  そもそも、失敗をマイナスと考えてしまうのは、物事を「短期」で見ているからです。物事は絶対に「長期」でとらえるべきです。長い目で見れば、失敗はマイナスどころかプラスに転じることだって多々あります。

トーマスエジソンが言うように、間違えば間違うほど、人は勉強や仕事ができるようになります。  間違ってきた数こそが、その人の能力を決定するのです。

年をとるにつれて、脳の働きが多少鈍くなってくるのは事実です。でも、年をとると、それを補ってあまりあるプラス要素が出てきます。それは、「時間」と「お金」が豊かになるということです。  まずは「時間」。社会人でも、 20 代よりは 30 代、 30 代よりは 40 代、 40 代よりは 50 代のほうが、自分の時間がとりやすくなります。その時間を有効活用すればいいのです。そして「お金」。スクールや教材、電子機器などを活用して、自分にとってより効果的な勉強環境を整えることができます。

始める前から無理だとあきらめず、 10 個新しいことをはじめれば、そのうちの1個くらいは「これはいける!」というものがあるはずです。

 

私の考えでは、 すべての勉強は収入につながります。

趣味のインチキマジックなど、これはいってみれば、自分の本筋の仕事に対する「付加価値」なのだと思います。  直接すぐには収入に結びつかなくても、勉強したことが、その人間に付加価値を与え、やがてめぐりめぐって収入アップへとつながっていくのです。  もちろん、専門分野の追求が一番大事です。しかし、他分野の勉強が専門分野での価値をさらに高めることもあるのです。

どんなに仕事がバリバリできても、社内でムスッとしていて社交性ゼロでは、仕事で評価されても、人間としては評価されません。長い目で見れば、ギターという付加価値を持っている人のほうが出世する場合だってあるでしょう。

自分の脳みそや技術力にどれだけのお金と時間を投資してきたかが、 10 年後、 20 年後の賃金の差になって現れているといえます。だから、もしあなたが「お金持ちになりたい」と願うのならば、お金は、徹底して勉強に使うべきです。

勉強に投資をすれば、必ずお金は増える!  お金持ちになりたいのなら、この考え方を脳に徹底的に刷り込んでください。

「勉強への投資は裏切らない。意味のない勉強はない」と心得よ。

 

時間対効果を上げる勉強法、名づけて「おけのきも勉強法」 といいます。「お」は音読、「け」は健康、「の」は能率、「き」は興味、「も」は目標です。

 

音読は現在、東北大学の川島隆太先生なども述べられているように、脳科学的に見ても非常に効果の高い学習法であることが注目されてきています。

音で覚えたものは忘れません。これほど効果の高いものを、普段の学習の中に取り入れないのはもったいない話です。

少なくとも、「心を込めて」「意味を理解しながら」「内容を味わいながら」声に出して読むことです。  たとえば、英語の文章であれば、意味のかたまりごとに英文を読み、次に口頭で日本語を声に出してみます。そして今度は、英文を1文ずつ見て読み、次に暗唱して唱えます。そうすると集中度が高まるため棒読みになりません。「暗唱しなければいけない」というプレッシャーも、意味を考えながら覚える助けとなります。

音読の効果を最大限に引き出すには、「短く」「濃く」を心がけることです。「短く」の目安は、 10 ~ 20 分程度。「濃く」には、内容をしっかり理解するほか、さまざまな形で脳に刺激を与え続けることも含まれています。 「濃く」読む例としては、「感情を込めて読む」、「体を動かしながら読む」(身ぶり手ぶり、歩きながら、リズムをとりながら、など)、「リラックスして読む」(ソファに座って、飲み物を飲みながら、など)といったことが挙げられます。このような変化をつけた読み方は頭への刺激になり、頭を活性化してくれます。

 

勉強をするには、 早起きがベストです。

本気で勉強ができるようになりたければ、家に着いたらさっさとパジャマに着替えて、とっとと寝ればいいのです。そして、朝早く起きて勉強する。  これは絶対に実戦すべきことの1つです。

 

本来、 勉強の中心は、「思考訓練」と「暗記」です。それ以外は「無意味な作業」です。自分の能力を複利で伸ばしていこうと思ったら、「作業」はお金を払ってでも徹底的に省くべきです。書籍などを通じて、他人の力を利用し、自分は「思考訓練」と「暗記」に注力すべきなのです。

 

努力の定義を嫌なことを無理やり頑張ると思っている人が多いですが、これは大きな間違いです。私がこじつけた「努力」の定義は、「楽しくなるように、一生懸命に工夫すること」。これなら時間対効果も自然と上がります。

 

実際に私は、語学の授業に、楽しみながら学べる映画やテレビドラマ、外国語に翻訳された日本のアニメやマンガなどを使っています。

また問題集を解くことが超気持ちいいと思えることも大切です。ゴールにたどり着いて結果を出したときの「超気持ちいい」自分をイメージする のです。

 

どんなことであれ、行動するときは目標を持たなければだめです。何のためにということを常に考えるのです。もちろん理由はこじつけで構いません。たとえば、私の場合はこんな感じです。  仲のいい友人と飲みに行くときには、「異なる業種で働いている人と交流することによって、社会的な見聞を広めるため」。  テレビのバラエティー番組を見るときには、「お笑い芸人のトークを学んで、授業の参考にするため」。  電車でうたた寝するときには、「これから仕事をするためのエネルギーを得るため」。  こんなふうに「超こじつけ」でかまいません。無理やりこじつけるのです。そして、 いくら頭をひねってもこじつけの理由が見つからなければ、その行動はしない ことです。そうすると無駄な行動がなくなり、時間の無駄遣いが激減します。

 

テレビは、見る番組を選別しなくてはいけません。「自分は○○のために、この番組を見る」と、「見る理由」をはっきりさせるのです。それが見つからなければ、その番組を見てはいけません。  一番避けたいのが、目的もなくダラダラと見る「ダラ見」。1日1時間のダラ見をしていれば、1年で365時間。つまり、1年で 15 日間もムダにしたことになります。

 

「本」で興味のないところは、飛ばし読みOK。また、本や雑誌は、最初から最後まで読まなければいけないような気がしますね。ですが、興味のないところは、飛ばし読みしたっていいんです。  途中で読むのをやめてしまった本の多くは、興味のないところにぶつかって、読むのがイヤになってしまったからではありませんか? だったら、その部分を読み飛ばしてでも、とりあえず最後まで目を通したほうが、多くを学ぶことができるでしょう。  また、読む気が起こらないところは、自分にあまり関係のない内容である可能性も高いです。だとしたら、それほど興味のないところは「浅く」読み、自分に関係のあるところは「濃く」読んでいったほうが、読書での時間対効果を上げていけます。  本を読むときにも、「何のために?」と考える習慣は有効なのです。  特にビジネス書の場合、自分に関係があるのは全体の中の数カ所というケースがよくあります。「関係のないところは、飛ばし読みOK」のルールで読んでいったほうが、たくさんの本を読めますよ。 Action! まずは1週間、すべての行動に「超こじつけ」の理由をつけてみよう。

 

勉強時間は理想を言わせてもらえば、「1日1時間」は必要だと思います。  でも、社会人であれば、毎日1時間勉強するのは難しい目標です。

「できたら1日1時間。もし無理なら1日 30 秒」 「せめて1日 30 秒はやろう」。これくらいの気持ちでいればいいのです。

 

私の場合1回に集中できる時間はかなり短いです。だいたい30分程度。また、この 30 分の1クールは、それぞれ異なる勉強をします。たとえちょっとの休憩を入れるにしろ、同じことを連続して1~2時間するのは、私にはかなり厳しいのです。同じことを2時間もやっていたら、飽きてしまいます。  英語の勉強なら、まず文法を 30 分、次に単語を 30 分、それが終わったら、音読を 30 分……というように、内容を変えながら休憩をはさみつつ、3時間程度、集中力を持たしているという感じです。

 

ここで、この 30 分の集中力を高めるために私が実践していることも、いくつか紹介しておきましょう。  まず、「速くやろう」と強く意識すること です。  単純なことですが、「 30 分でもいいから、必死に集中して速くやろう」と思うクセを身につければ、この 30 分の時間対効果を劇的にアップさせることができる。

 

また数時間人の話を聞かなければならないなど、集中を持続しなければならないときもあります。そんなときは、その前に難しいもの、たとえば、漢文や難しい外国語、日本経済新聞の社説を音読します。「難しいものを音読すると、脳が活性化し、集中力がアップする」と読んだことがあり、実践しているのです。これもかなり効果があります。  それから、勉強や仕事の前のラジオ体操もおすすめ。

 

勉強は理解に加えて暗記が重要なのはいうまでもありません。たとえば、2つタテに並んだ電気のスイッチを見て、「上は玄関だっけ、廊下だっけ」と悩んでしまうこと、ありませんか?  1回1回はわずかな時間でも、それが毎回であれば、かなりの時間の無駄。

暗記によって時間対効果を高めることができるのです。

暗記と思考とは、車の「両輪」のようなもの。 この2つがバランスよく動くことで、スムーズに試験問題に解答できたり、スキルを身につけられたりします。勉強では、暗記と思考の2つを鍛えていくことが大事なのです。

暗記と思考をバランスよく鍛えることを意識せよ!

 

暗記には、結局のところ「反復」と「繰り返し」が必須 です。  世の中にはいろいろな暗記術が出まわっていますが、1回でバッチリ暗記できる夢のような方法は存在しません。とにかく、しつこくやるしかないのです。  この「しつこさ」というものは、勉強をするうえでは非常に重要です。いや、勉強どころか仕事やそのほか、何かを成し遂げたいと思うなら、持っていなければならない重要な資質だと思います。

でも、4回や5回で覚えられるほど暗記は甘くありません。 10 回でも難しいでしょう。少なくとも 30 回は繰り返す必要があります。理想をいえば 50 回、モノによっては100回です。何かを覚えようとしたら、これくらいのしつこさは必須です。 「なかなか覚えられない!」と悩んでいる人は、自分がそれについて何回暗記をしたのか思い出してみましょう。 10 回に満たないようでしたら、落ち込む必要などなく、やる回数を増やさなければなりません。

「暗記=何年たっても自由自在にアウトプットできること」と心得よ。

 

ダイエットを目的として水泳をはじめても、順調に体重を落とせるのは最初のうちだけで、次第に効果がなくなっていくそうです。

つまり、 人間は、同じ動作を繰り返していると慣れてしまい、あまり働かなくなる ということです。これは、暗記するうえでも大きなマイナスです。

たとえば、英語の会話例を暗記するなら、立って音読したあとに、座って音読する。音読に飽きたら、書いて覚える。それにも飽きたら、付属CDを聞いて耳で覚える。再び音読するなら、今度は身ぶり手ぶりを入れてみる……。こんな感じです。  ひとつの方法にしばらないで、いろいろな方法を取り入れていくことで、脳につねに新鮮な刺激を与えることができます。

私自身の経験から唯一言えるのは、暗記は「反復・繰り返し」ですから、それを飽きずに楽しく続けられることが重要です。  だからこそ、やり方をしばらないでほしいのです。「書く」「声に出す」「耳で聞く」「イメージする」「手ぶり身ぶりを使う」などなど、全感覚を総動員して、とにかく、脳を飽きない状態に置きながら、反復・繰り返しを続けることです。

覚える場所を変えるのもいいでしょう。 机の上だけでなく、電車の中、オフィスでの自分の机、公園のベンチ、お風呂、トイレ、歩きながらなど。

 

「イメージしながら」「なりきって」「体を動かしながら」暗記する  ここで、私が実際に、どのようにして生徒たちにやらせているのか、また、自分がどのようにして暗記しているのか、いくつか紹介しましょう。  まず、私は生徒のみなさんには、「イメージ力」を使って暗記をさせています。たとえば、中学受験の社会で出てくる「リアス式海岸」について教えるとしましょう。これを、ただ紙の上で教えただけでは、生徒はすぐに忘れてしまいますが、写真や地図を見せたり、形状を自分の手で描かせたりすると、しっかり記憶してくれます。

さらに、リアス式の三陸海岸でとれた「三陸わかめ」のパッケージを見せるなど、 イメージと結びつけて暗記させる と、一見、遠まわりのように見えますが、こちらのほうが忘れない記憶となって脳に定着するようです。

それから、「なりきる」こと。感情をともなった記憶は忘れにくいといいますから、それを暗記に応用するのです。たとえば、英文を音読するとき、棒読みではなく、その情景やキャラクターの感情を想像し、気持ちを込めて読みます。この方法だと、脳に強い印象を残すことができるため、かなり記憶に定着します。

体を動かして覚えること も効果的です。たとえば、韓国語の「大きい(クダ)」「小さい(チャクタ)」という単語を覚えるとき。「クダ」だったら、手で空中に大きな円を描き、大きな声で復唱し、「チャクタ」だったら、小さな円を手で描き、小さな声で「チャクタ」と唱えるわけです。  そのほか、 歩きながら唱えて覚えること も効果的です。体を動かしながらリズミカルに覚えると、頭にすいすい入ってきますし、忘れにくい記憶となります。

 

記憶はとにかく、「体全体を使って覚える」のが得策です。とりわけ、「目」「耳」「口」「手」の4つの部分のうち、全部とはいわないまでも、そのうちのいくつかを同時に使うと、非常に効率よく覚えられます。

英語の学習でいえば、目と口と耳を使う「音読」、耳で聞きながら手で書く「ディクテーション」、耳で聞きながらそれを口でまねる「リピーティング」などがあります。  これらを、「まず音読してみて、慣れてきたらリピーティング。ディクテーションでどこまで覚えたかをチェックして、最後はリピーティングで仕上げる」という具合に、1回の学習にいろいろなものを組み込んでいくのです。こうなると、脳もフル回転ですから、しっかり記憶することができます。Action!やり方と場所を変えながら記憶して忘れない記憶とせよ。

 

最初から全部覚えようとすると、とんでもない時間をかけて何とか最後まで単語帳を終えても3/4は忘れてしまっていることになりかねません。これではあまりに非効率です。そこで私がおすすめしたいのが「スパイラル方式」の暗記術。 浅いところから暗記をはじめて、反復・繰り返しをしながら、次第に深めていく、という方法です。  たとえば、英会話フレーズを覚えるとき。まず1回目は見出しの例文をすべて覚えます。2回目はその下の会話表現の意味を理解しながら音読し、インプットしていきます。3回目はさらに下の例文パターンを、4回目はその下の単語&熟語を覚えます。5回目は軽く全体を読み返します。

もちろん、これで終わりではありません。 スパイラル方式は「だんだん濃く、深くえぐり込んでいく」がミソです から、ここからが本番です。  6回目以降は、さーっと流し読みをしながら、「覚えているところを浅く、覚えていないところを濃く」という具合にやっていきます。忘れているところを深くグイグイとえぐっていく感じです。これを 10 回、 20 回と繰り返します。「え、そんなに!?」と思うかもしれませんが、読み流す感じでよいのですから、時間はかかりません。  1回ごとのスピードはできるだけ速くすることを心がけましょう。1回をじっくり深くやるより、1回を短くして、回数を重ねたほうがより強く記憶に定着できます。また、読む際には、音読・黙読を織り交ぜてバリエーションもつけましょう。

特に 入学試験や資格試験など、勉強に期限がある場合は、「出る順」に短期間で効率よく覚えることが必須です から、このスパイラル方式はうってつけです。

 

覚えたことの8割は1カ月後には忘れてしまうもの。エビングハウスの忘却曲線。

こうした事態を避けるには、1回覚えたらそれで終わりではなく、「忘れるころを見計らってもう一度反復する」を何度も繰り返すことです。私の経験から思うに、 30 回は繰り返さないと覚えられないでしょう。ACtion!新しい知識を覚えたら、古い知識のメンテナンスも必ず行え!

 

良質な参考書を、1冊しぼり込んだら、それを何度も繰り返し、読み込む。すると、試験問題に反射的に対応できるところまで、実力がつく。 これが、真実です。

 

まず、分厚い参考書よりも、 薄い参考書がおすすめです。

次に、初学者の人はよく、参考書を選ぶ場合に「すべてをカバーしているかどうか」にこだわりますが、そんなこだわりは捨てたほうが無難です。  たくさんのことをカバーしているものを初学者が使うと、難しい参考書同様、重要なものとそうでないものとを見きわめることができなくなります。それに、網羅的な内容の参考書は、情報が多すぎてたいてい面白くありません。

だからこそ初学者の場合には、大事なコアの部分がコンパクトに詰め込まれた参考書を選ぶのが一番です。選ぶコツとしては、薄いこと、そして、過度に情報が詰め込まれていないこと。これらを目安にすると良いでしょう。

先述した通り、私は、小学生向けの読み物やマンガを参考書代わりによく使っています。楽に読めるし、わかりやすいし、なんといっても面白いからです。難しいものを無理やりやるより、そっちのほうがずっといいと思います。

まずは書店に行って、1~2ページ読んでみたり、ペラペラとめくってみたりして、一番しっくりきて、続けられそうな参考書を選んでみてはいかがでしょうか。

 

action!「じっくり1回」ではなく、「ささっと 10 回」やることで理解を深めよ!

 

でも私は、人生の中間点あたりに来て「人間の一生は短い!」と気がつきました。 問題集をきれいにとっておいたところで、人生のどこかでもう一度やるほど人生は長くない のです。  このことに気がついた私は、これまでの考え方を捨て、問題集にどんどん書き込むようになりました。

 

何かを暗記しようとするときには、 因果関係も一緒に頭にインプットすると、忘れにくい記憶となります。  たとえば、日本地理で「九州の主な産業」を覚えるとしましょう。九州の主な産業といえば、「半導体」や「集積回路」です。しかし、この2つの言葉だけでは、なかなか記憶に残りません。そこで因果関係のネットワークを作って覚えていくのです。  具体的にはこんな感じです。 「九州は『シリコンアイランド』と呼ばれている。なぜなら、『半導体や集積回路の生産が盛ん』だから。なぜ半導体や集積回路の生産が盛んなのかというと、1つ目の理由が『空気や水がきれい』だから。2つ目の理由が『高速道路が整備され、空港へのアクセスが良い』から。3つ目の理由が『東アジアが近く輸送が楽』だから」  こうやって「なぜなら」→「なぜなら」とつなげていくと、どんどん輪が広がっていきます。また、ストーリー仕立てとなるため忘れにくくなるのです。

action!ネットワーク化を活用して、暗記力・思考力・発想力をアップさせよう!

 

重要なのは、ノートに書いたら、それをしっかりと覚えること。つまり、 ノートは「知識の一時的な置き場」。覚えるべきことを、すみやかに頭へと移していく のです。これを私は「1対1ノート術」と呼んでいます。 「書いたことは必ず覚える!」。まずはこれを鉄則にしてください。

全てをリンゴ3兄弟にまとめる。

action!覚えるべきことすべてを1つのツールにまとめ、絶対に暗記せよ!

 

単語カードのもとは何でもOKです。  ただし、カード作りに一生懸命になりすぎないこと。カード作りは単なる作業です。勉強ではありません。そのため1回に作る量は、 50 枚を限度にするのがいいでしょう。

さて、お次はデジタルです。「私は、自分が覚えると決めたものをデータベース化している」と、前項でお話ししました。具体的には、フラッシュカード(単語帳)の機能を持ったアプリケーションを活用しています。  私が使っているのは、「iFlash」というアプリです。このアプリは、りんご3兄弟(Mac Book Air・iPad・iPhone)のどれであっても、同じように画面上でカードを表示でき、紙の単語帳をめくるのと同じ感覚で使えます。このアプリでは、単語カードの暗記法と同様に、覚えたカードと覚えていないカードの仕分けもワンタッチで可能。ですから、覚えていないカードを減らすことに集中すれば、自然と暗記が進みます。

残念ながら、人間の記憶は、数カ月もすれば忘却の彼方へ……。ですから、デジタルな方法であれ、アナログな方法であれ、定期的な記憶のメンテナンスは必須です。ただし、一度しっかり覚えたことであれば、初回ほどの苦労はなく、暗記し直せます。メンテナンスをすれば、記憶は定着し、その人の「実力」になります。 「暗記は、反復・繰り返し」のルールからは、どうやったって逃げられません。

action!カードやデータベースは、すべてを即答できるまで、徹底的に暗記する!

 

過去問で問われていない勉強をしても時間のムダです。

ただし、ぼんやり見ているだけではダメです。「最終的に何ができなければいけないのか」を探りながら過去問を眺め、気がついたことをすべてメモしていきます。こうして「最終的に何ができればいいのか」がわかったら、そこから「逆算」 します。試験までの日程と照らし合わせながら、試験直前まで何をどういう順番で勉強していくのかを決めます。  その際、「基礎固め」→「応用力錬成」→「過去問&問題演習」が大枠での流れ になります。中でも「基礎固め」は重要です。

具体的に「基礎固め」「応用力錬成」「過去問&問題演習」の配分は、期間を1年とすれば、5カ月:5カ月:2カ月が理想です。基礎固めは、3月から勉強をはじめた場合、夏休みがはじまる7月には終わっている必要があります。

 

【タイムトライアルのやり方】  ① ストップウオッチを準備する  ② 解答時間をはかる  ③ 解答時間を問題集に記入する  ④ ①~③を繰り返す。

 

時間の許す限り、過去問の数をこなす

「直前期」は、過去問&問題演習に時間のある限り取り組みます。この時期の理想としては、とにかく 手に入るすべての過去問を解くことです。

何を間違えたのか事後分析をしっかりとやり、次に同じことが起こった場合にうまく回避できる方法を練っていく ことが重要です。

 

点数にしか注目しないから運頼みになる。

事後分析をしないと自分の弱点をいつまでたっても克服できません。その状態で本番を迎えてしまえば、「できる問題が出ればできるし、できない問題が出ればできない」という具合に、運に頼るしかなくなります。  過去問を解いたあとには、「こうしたから失敗した。そこで、このリスクを回避するためには、こうする」という具合に事後分析する習慣を身につけましょう。この習慣があれば、たいていのことはうまくいきます。

 

試験の制限時間のだいたい 90%で終わるようにタイマーを設定 するのです。たとえば、 60 分の試験時間だったら 55 分にタイマーを合わせます。

 

難問に過度におびえる必要はありません。というのも、 一般的な試験というものは7割の「基礎知識」と3割の「応用知識」で構成されています。そして、そのうち7割の基礎点が満点だったら合格できるのです。

基礎知識の再確認を忘れないようにしましょう。基礎知識:応用知識は1:1の割合で行うことをおすすめします。基礎知識を再確認するときのポイントは次のとおりです。①基礎固めの際に使った参考書や教科書をもう一度読み返す   →太字の部分や頻出事項を中心に見ていく ②応用力練成のときに解いた問題集のチェック   →間違えたところや解答に自信が持てなかったところを中心に ③(余裕のある人は)使っていた参考書や問題集のマニアックな知識にも目を通す。

 

成績がなかなか伸びない生徒のひとつのパターンとして、「模試を見直さない」が挙げられます。結果が悪いと見直したくない気持ちはわかります。しかし、過去問のときと同じで、 そのままにしておくと自分の弱点を克服できません。

 

問題用紙が配られたら、時計を見ながら、最初の 10 秒くらいで、「1番は5分、2番は 10 分……」という具合に、 全体の流れを頭の中でシミュレーション しましょう。

シミュレーションが終わったら、すぐに問題全体をざっと見て、例年の試験問題と 大きな変更がないかをチェック します。

まず知識問題を急いで仕上げ、残った時間を思考問題のためにフルに使うのが、制限時間を最大化し、最もいい結果を出すためのコツです。

英語や国語の長文読解では、最初に設問を読み、「何を聞いているのか?」という 出題者の意図 を押さえます。長文を読む前に、出題者が何を聞きたいのかをしっかりと押さえておくと、実際に文章を読みはじめたときの理解がスムーズになります。

一方、長文問題の中の、 内容合致問題の場合は、選択肢を先に熟読しない ことです。内容合致問題とは、英語の長文問題を例にするなら、「次のA~Gのうち、この作者の主張には○、そうでないものには×をつけなさい」というタイプの問題です。

 

大学受験でも「楽勝!」と思った学校には見事に失敗。難しくて時間ギリギリまで解答していた学校は合格しました。  油断したときや途中であきらめ気味になったときは失敗しがちです。逆に どんなに難しくても最後まであきらめなかったときはうまくいくものです。

 

私自身がこれまで達成してきたことや失敗したことを振り返ってみると、徹底的に自分の成功イメージを頭の中に刷り込み、勉強を続けてきたものほど、確実にマスターできています。  英語が話せるようになることが目標だったころは、「外国人とペラペラ会話している自分の姿」をつねにイメージしていましたし、英語講師という職業を選んだときも、「スーパーティーチャーになって生徒たちの成績をグイグイとアップさせている自分」を絶えずイメージしていました。

また、目標がしっかりしていると、メンタル的にも非常に強くなるというメリットがあります。

目標をイメージする方法は簡単。徹底的に「自分は成功する」と信じ込むことです。そして、頭の中に目標を実現している自分を、何度も何度も具体的にイメージします。  イメージができあがってきたら、念には念をで、「私は~になる!」「私は~になる!」と、口に出して毎日何度も唱えます。

 

実際、競争は人間を引き上げてくれます。受験生を見ていると、それを実感します。たとえば、偏差値 40 の人が偏差値 70 の人たちと仲間になった場合、偏差値 40 の人が「健全な競争心」を持っていれば、確実にレベルアップします。  彼は、自分がこのレベルにおよばないことを少しマズいと思うようになり、そこから「追いつきたい」という気持ちが湧いてきて、がんばりはじめるのです。

それ以上に悪いのが、自分より低いレベルの人と仲間になって、競争心さえも失うこと。受験生を例にとると、偏差値 40 の人が同じ 40 の人と仲間になると、慰め合うようになります。だから進歩がなくなる。次第に怠けることを正当化するようにさえなっていきます。  だから、私は予備校で教えるとき、生徒には「高いレベルの人間と健全な競争をしろ」とつねに言っています。勝つか負けるかは、はっきりいって二の次。高いレベルの人を意識する。それだけで、自分自身を向上させることにつながります。

自分を引き上げてくれるような「健全な競争心」。これを身につけるためには、負けたとき、そのことをネガティブにではなく、ポジティブにとらえられるよう訓練していくことが大切です。そう、これも訓練なのです。

 

失敗したときは人間は3パターンの反応をします。1つ目が「失敗しても 懲りない」、2つ目が「失敗を恐れて何もしない」、3つ目が「失敗を恐れずに挑戦して、失敗から学ぶ」。成功するのは3番目のパターンの人だけです。  何かを習得しようとするとき、失敗は必ず起こります。そうした前提に立ち、失敗から学ぶ方法を知ることが、成功するためにはきわめて重要なことだと私は思います。  もちろん、失敗した瞬間は落ち込みます。しかし、そこから学べば成功の「種」になるのです。

action!間違ったときには、「これでまた一流に近づけた」と考えよ。

 

たとえば、電車の中では、スマートフォンで学習アプリを利用して、暗記に集中する。歩いているときには、耳から情報を入れる。待ち時間には、雑誌やタブレット端末で読書や情報収集など。  さらには、ここまで積極的でなくとも、前の日に学んだことを心の中で 反芻 したり、寝る前に、目をつぶってその日に学んだことを思い出したりするだけでも、立派な勉強といえます。

 

私は、ビジネス書を要約した朗読ファイルを配信してくれる「ビジネス選書サマリー」や「月刊トークス」という有料サービスも活用しています。多くのビジネス書に目を通す「ビジネス書のプロ」が選んだ本ですから、どれもためになるものばかりです。自分でわざわざ時間をかけて選び、最後まで読んだのにイマイチ……という失敗をせずにすむので、もとはとれると思います。

また、ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、仲間作りやモチベーションの維持には最適だと思います。  たとえば、韓国語を習いはじめたなら、韓国語学習者のコミュニティーに参加するとか……。ほかの学習者の勉強法を知ることができるし、また、がんばっている仲間の様子を見ることで、やる気も出てきます。

 

日本のマンガは、海外でも大人気。少年マンガ、少女マンガ、青年マンガなど、さまざまなジャンルのマンガが各国の言葉に翻訳されています。昔読んだなつかしいものなら、内容もわかっていますし、外国語の教材として大いに活用できるでしょう。  外国語版のマンガは、洋書を扱っている大型書店などで購入することができるほか、最近はアマゾンなどで安く手軽に購入することもできます。

また、マンガ同様、日本のアニメも海外では人気があるため、セリフが外国語に吹き替えられたDVDも販売されています。

子どものときに一度見ているものは、ストーリーがわかるため、多少リスニングが苦手な人でも、気楽に見ることができるでしょう。

遊びを語学の勉強に変える方法をもうひとつ。それは外国語カラオケ。  外国語カラオケは、スピーキングの訓練には最高です。まず、耳で歌をしっかり聴いて覚え、その後、歌手の歌い方をしっかりとまねて歌う。これを繰り返すことで、次第にネイティブの発音に近づけていくことができます。

 

どんなに忙しい人でも、トイレには少なくとも1日に5~ 10 分は入っているはずです。その貴重なトイレタイムを、ぜひとも勉強に利用してください。毎日たったの5分であっても、これを1年間続ければ、365日×5分で1825分。つまり、約 30時間。

たとえば、最近はお風呂でも聴ける防水プレーヤーや防水スピーカーなどが売られています。これらを使えば、英会話や洋楽、オーディオブックを聴くことができます。  資格試験の勉強をしている人であれば、テキストや参考書を自分で読んで録音し、それを流しておくのもいいでしょう。お風呂の時間が、絶好の集中暗記タイムに変えられます。 就寝前のスピード暗記法は、大学4年生のときに実証ずみ  夜寝る前に勉強したものを朝また勉強すると、記憶に定着する確率が格段に上がります。このことを、私は経験的に実感しています。  

たとえば、大学4年生のとき、英検1級受験のために1万語レベルの単語を覚える必要がありました。そこで、私はとんでもない量のカードを作って、それを寝る前に覚え、翌朝図書館で確認して……ということを繰り返しました。すると、実際、3カ月くらいで何千もの単語を覚えることができたのです。

世界史の教科書を自分の声で録音して、それを聴きながら眠っていました。ほんの数分間の勉強ですが、意識のあるうちに、1つ、2つのポイントは聴けます。

action!本気でモノにしようと思ったら、 24 時間、勉強ができる環境に身を置け!

 

自然とネガティブな感情が消えていくのです。  これは、私にとっては非常に重要な、自分でできるメンタルトレーニングです。  私はたまたま合言葉を「エポケ」にしていますが、合言葉は何でもいいと思います。自分にとって気持ちを切り替えやすい言葉を選び、少しでもマイナスな感情が現れてきたら、 10 回唱えてその気持ちを封殺してしてください。

 

あれもこれもやらなきゃとパニック状態になったときおすすめのメンタルトレーニングは、「広大な宇宙」を頭の中でイメージすること。  一度、勉強を中断して、意識を地球全体に向けてみます。さらに、地球を飛び出し、太陽系、銀河系、宇宙全体……と、イメージをどんどん広げていくと、自分や自分がいま悩んでいることなど、どんどん小さく見えてきます。

それともうひとつ、焦りがちな人におすすめなのが、勉強中に、一度、いんちき超能力者になって幽体離脱モードに入ってみることです。つまり、もうひとりの自分が、勉強している自分を客観的に見つめる状況を作るのです。

 

世間では、勉強や仕事はしんどいものとして「悪」のように見なしていますが、目標を決めて勉強している人は、経験的にそれは違うことに気がついていると思います。それどころか、逆に「良い」とされる遊びのほうが、勉強をしている人たちにとってはストレスになっているのです。  そこまで自分でわかっているのなら、「勉強ばかりしてないで、たまには遊ばなければ」という発想を逆転して、思いっきり勉強してストレス解消をしてみてはどうでしょうか。 Action! なんとなく気が滅入るときは、1日思いっきり勉強してみよう。

 

action!極致のストレスのときは、3日程度の期限つきで、一度勉強から離れてしまえ!

 

勉強は、最初のうちは新鮮ですが、1カ月もすると飽きてきます。ここを乗り切れるかどうかが、その勉強をモノにできるかどうかのカギになりますが、このとき、ペースメーカーがあれば、勉強を続けられる可能性が高くなります。  スクールは、いってみれば、勉強を続けるうえでの「ペースメーカー」です。action!「受講料=しばり料」と考えて、勉強を継続させるモチベーションにせよ!

 

まず、「1~ 10 ページ」「 11 ~ 20 ページ」「 21 ~ 30 ページ」と、黒板や紙に書き出します。そして、ひと区切り終わるごとに「散歩」「食事」といったごほうびを設けるのです。こうやって区切っておくと、ごほうびを励みに、そのひとかたまりの仕事に集中して取り組めます。「ちょっと疲れたから、お茶にしようかな、いや、やっぱりダメだ」などとあれこれ考える時間がなくなります。とにかく、その仕事を終えなければ、いけないのです。