最近では出生前診断を受けたいと思う女性が増えて来ていますが、その目的はなんでしょうか?
妊娠すれば、誰でも健康な子供が生まれるように願います。
しかし近年の日本は晩婚化が背景となり、晩産化が進んでいます。
健康な子供を産めるのかどうか不安を抱く方が増えてきています。

出生前診断とは一言で言えば、胎児が生まれる前検査のことを言います。
出産前診断の本来の目的は母子の健康のために本来行われるものです。
妊娠の診断はもちろん、胎児の位置や向き、あるいは流産の危険性があるなどの判断をエコーなどを使って診断します。
早く子供に異常が見つかれば様々な対応が取れます。
新生児医療を行える分娩施設への転院、出産後すぐに手術が行えるよう準備、投薬などによる胎児治療。

ただし、胎児の内に治療できる病気はまだわずかしかありません。
生まれてから完治が望めるような治療ができない病気も多いのです。

なので、出生前診断で「先天性異常」や「重篤な形態異常」が発見された場合。
育てられる自信がなく中絶するといった選択を迫られるケースは、実はとても多いのです。
本来の目的よりも、先天性異常を発見する目的で出生前診断を受ける方もいらっしゃいます。

親の中絶を選択する権利と、子供の生きる権利の間で出生前診断は問題視されてもいます。

このような難しい問題をはらむ出生前診断は、日本ではタブー視されてきました。
海外の出生前診断に役立つ技術を導入することも控えてきました。

しかし、今日本では出生前診断に対する見方が変わりつつあります。
女性のライフスタイルの変化によって、出生前診断のあり方もまた転機を迎えています。

 

出産前診断と言うのは、妊娠中の妊婦のお腹にいる胎児の状態を検査し、染色体等の異常があるかないかを診断することを言います。
一般的には、超音波によるエコー検査、母体血清マーカー、羊水検査、そして新たに血液採取による診断の4つの方法になります。

この出産前診断は、胎児の状態のみを調べるもので、大きく2種類に分類されています。
まず、胎児の発育状況を確認すると共に病気が見付かった場合お腹にいる時から治療を始めるという診断と、ダウン症などの染色体異常による先天性異常があるかないかを調べ、結果次第では、胎児の先行きをご両親に判断してもらうという診断になります。

現在では、特に2番目の染色体異常の発見が、出産前診断により99%以上の確率でわかるようになるほど、医療技術が発展してきていますので、お腹の中にいる胎児の状態を診るだけで、五体満足で生まれてくるか否か、生まれる前にわかるということでもあります。

ただ、この診断を受ける場合には費用もそれなりにかかってきますので、よく考えてから受診するようにしましょう。

 

■出生前診断とは
出生前診断は、赤ちゃんがお腹の中にいるうちに特定の病気や障害を持っていないかを調べることのできる検査です。

高齢出産であったり、自身や親戚に遺伝的な病気を持つ人がいる場合、赤ちゃんが何かしらの病気や障害を持って生まれてくる可能性が高くなります。また、妊娠中に大きな病気にかかってしまったり、妊娠に気づかずに薬を服用してしまったりして赤ちゃんの健康に不安を持つ人も多いでしょう。出生前診断は、このように赤ちゃんの健康に何かしらの不安や懸念を持つ方が多く受診しています。

出生前診断の方法は大きく3種類あります。

羊水検査は従来からある診断方法の一つで、母親のお腹に針を指し、羊水を採取することで行う診断です。ダウン症や13番・18番の染色体異常を100%検知することのできる精度の高い検査方法ですが、0.3%程度の割合で流産の危険性のある方法でもあります。検査可能時期は妊娠15週~18週までの間です。

母体血清マーカー検査も従来からある方法で、母親の血液を採取することで行います。流産の危険はなく費用も安いというメリットがある反面、わかるのは異常がある確率のみと精度はそれほど高くありません。母体血清マーカー検査で高い確率を検出した場合、より精度の高い検査を行うというのが一般的です。検査可能時期は15週~21週です。

最後の新型出生前診断は新しくできた検査方法であり、母体血清マーカー検査と同様に母親の血液を採取して行います。流産の危険がなく、ダウン症を99%、13番・18番の染色体異常も判定できると精度も高い反面、費用が約21万円と高額です。検査時期は10週~22週の間です。

出生前診断のメリットとデメリットとはなんでしょうか。
それぞれをご紹介します。

<h4>メリットとして挙げられるもの</h4>
・お腹の中の胎児の性別が分かる
・逆子かどうか等もエコーで分かる
・治療可能な先天性異常を早期に発見でき、治療が出来る
・胎児が障害を持っていることが分かった場合、産む決心がついた場合は事前に準備が出来る

出生前診断にはメリットもありますが反対にデメリットもあり、受けることに対しては今でも賛否両論あります。まずは出生前診断のメリットについてご説明しましょう。

・安心感を得ることができる
高齢出産、遺伝的な病気を持っている、妊娠中に服薬してしまったなど赤ちゃんの健康に何かしらの不安があると、約1年間という長い妊娠生活をずっと不安を抱えたまま過ごさなくてはならなくなってしまいます。ただでさえ精神的に不安定になりやすい妊娠中にこのような不安を抱えていては、心ではなく身体の健康まで損ない、それこそ胎児に悪影響を与えてしまいかねません。

出生前診断を受け、異常のある可能性が低いという結果を得ることができれば、そういった不安からも解放され残りの妊娠生活を安らかに過ごすことができるようになります。

・心の準備をすることができる
出産直後は、母親は肉体的な疲労はもちろんのこと、慣れない赤ちゃんのお世話で精神的にも大きなストレスを抱えがちです。そんな状況でさらに赤ちゃんに障害があることが分かれば、心身にかかる負担はより大きなものとなるでしょう。

また、妊娠中から母性が芽生える母親と違い、父親は子供と関わる中で徐々に父性を獲得していくものです。しかし、生まれてきた子に障害があるとわかるとそれを受け入れるのに時間がかかり、父親としての役割を受け入れることができないという方も多いのです。

事前に障害があることを認識することで、こういった心の負担に対する受け入れ準備ができるというメリットがあります。

・各種情報収集や手続きを済ませておくことができる
先天性の異常の中には、治療によって根治できるものや、一生涯付き合っていく必要のあるものもあります。どちらにしても、治療方法や通院先の病院などを調べる必要がありますし、そのための費用も準備しておく必要があります。何かしらの補助が受けられる場合もあるため、それらについても事前に調査しておく必要があります。

出産直後は健康な赤ちゃんであっても、母親は育児にかかりきりでそういった情報収集をすることは難しいですし、仕事のある父親にはより難しいことでしょう。その上、赤ちゃんが障害を持って生まれてきてしまったショックですぐに積極的な行動に移ることが難しいケースがほとんどでしょう。しかし、事前に障害があることを知ることができれば、ゆっくりと時間をかけて情報収集や各種手続きを済ませておくことができるのです。

<h4>デメリットとして挙げられるもの</h4>
・検査を受けることで余計な心配がかかることがある
・純粋に検査するだけで流産してしまう可能性がある
・胎児が障害を持っていることが分かった場合、育てる自信がなく、中絶してしまう可能性がある

・中絶を助長する
出生前診断で何かしらの異常があることが分かった場合、人工妊娠中絶という道を選ぶ方も少なくありません。無責任に他人がそれを批判することはできませんが、一つの生命を左右するものだということをよく認識しておく必要があります。

・夫婦間での意見の擦れ違い
出生前診断を受ける前に、異常が出た場合のことについて夫婦間で話し合いがもたれることでしょう。診断前にはお互いが合意した方針であっても、いざ異常という結果が出たらそこで意見の擦れ違いが出ることもあるでしょう。

また、夫婦間では合意のとれた方針であっても、それぞれの家族や周囲の人々の意見が異なり、謂れのない批判を受けてしまうこともあるでしょう。出生前診断を受けるには、どのような結果が出て、誰から何を言われようとも後悔しないという覚悟を持つ必要があるのです。

メリットとデメリットとしては、以上のことが挙げられます。

実際に出生前診断は数多くの議論があります。
・人工中絶の件数が増えるのでは?
・中絶を選んだ場合、両親の精神的ダメージは計り知れないのでは?
・子供の命を両親が決めていいのか?
・障害を持った子供を育てる自信がないことが攻められるべきことなのか?

出生前診断で性別だけがわかると昔の時代の方が余計な心配がなかったかもしれません。
しかし出生前診断にはメリットが多いことも事実なのです。

いずれにしても、出生前診断を受けるには、メリットとデメリットを良く理解することが大切です。

 

なんらかの先天異常を持つ子どもが生まれる確率は約3~5パーセントといわれています。
この数字はすべての夫婦に当てはまります。

日本では妊娠と出産に楽観的なイメージが強いです。
多くの人が妊娠すれば、何か大きな問題さえ起きなければ、ほぼ確実に元気な子供が生まれると考えています。

つまり現代人は医学を過信しているのかもしれません。
ですから現実に元気な子どもが生まれないとなると頭をハンマーで殴られたような衝撃に見舞われます。

出生前診断の最大の利点はソフト面においても、ハード面においても出産の事前準備が出来ることです。
先天性異常を抱える子どもを持つ親に、障害を持っていることを妊娠中に知りたかったかどうか尋ねると、心の準備をしたり、ふさわしい病院を探したりしたかったと答える人もいます。
特に重症疾患が判明した場合は出産直後にNICU(新生児特定集中治療室)に入る必要から、母子が別々の病院に別れてしまう場合もあります。

我が子と離れ離れになっている状態でダウン症を知らされると、「私はダウン症の自分の子どもを愛せるだろうか」と産後にストレスを受け、母親にとって大きな負担になってしまうのです。
実際に会ってみるとダウン症であっても「自分の子ってこんなに可愛いのか」と心の底から思い安心する方もいますが、妊娠中に先天性異常が分かれば産まなかったという方もいます。
生まれる前に先天性疾患が理由で中絶することは子どもの人権を損害しているのではないか、というのが出生前診断の最大の問題点とも言えるかもしれません。

出生前診断には賛否両論ありますが、自分の考え方に合った利用が望ましいでしょう。
道徳的に問題視されることも多いですが、結局は自分の家族のことともいえます。
じっくりと考えて、出生前診断を活用してください。

 

高齢出産の場合生まれてくる子供に何らかの異常がある場合があると言われている昨今、その為に最近では出生前診断を望む女性も少なからず増えて来ています。

それでは、出生前診断を受けるためにはどのくらいの費用がかかるのでしょう?
検査には超音波検査、胎児心音測定が一般的ですが、その他に初期スクリーニング検査と後期羊水検査をすることが出来ます。
初期スクリーニング検査が約3万円前後、羊水検査が15万円前後かかり、検査を受ける機関によっても金額に多少違いが出てきます。

また、最近では、妊婦の血液検査で,ダウン症などの染色体異常がわかる新型出生診断というものが2012年9月から出来るようになり、
費用は20万円程度かかります。
そして、この血液検査を導入している機関も国立成育医療研究センターと東大、東京慈恵会医大、
昭和大、横浜市立大横浜市立大付属病院の5施設しかありません。
この検査費用は自己負担になるということを知っておきましょう。

 

出生前診断の種類には、2012年10月から施行されるようになった新型出生前診断を含めエコー診断、羊水検査、母体血清マーカー検査の3つの種類があります。

羊水検査の方法は、母体のお腹に針を差込み羊水を採取し、ダウン症13番と18番の染色体異常が100%わかり、
検査期間は15週から18週の間に出来るようになっています。
費用は約10万から15万円、年間約1万6千人の方が診断を受けられています。

母体血清マーカー検査及び新型出生前診断は、母体の血液を採取します。
母体血清マーカー検査の場合、異常のある確率のみわかり、15週から21週の間、費用は2万円程度、
年間約2万人の方が検査を受けています。

新型出生前診断は、ダウン症が99.1%検出され、13番、18番の染色体異常も判定でき、10週から22週と早期検査が可能です。
ただし、検査が出来る医療機関が限定されている上に費用が20万円以上かかってしまうと言うのが現状です。

 

新型出産前診断が行われるようになった2013年4月以前にも出産前診断と言うものはありましたが、新しく施行されるようになった出産前診断とどのような点が違うのでしょうか?

今までは、超音波検査、母体血清マーカー、羊水検査の3種類で、染色体異常等を診断していましたが、超音波検査と母体血清マーカーの間の期間に受けれるようになったのが、新型出産前診断です。

詳しく説明しますと、超音波検査は妊娠週数11週目から13週目、母体血清マーカーは15週目から18週目となっていて、今回の出産前診断では、10週目から22週目の間に検査を受けることができると言うことになります。

ちなみに、羊水検査は、妊娠週数15週目以降から受けれるようになります。

ただし、高齢出産を望んでいる妊婦、あるいは、不妊治療を行って妊娠した妊婦は、まず、胎児の先天異常を調べる超音波検査を受ける方が、先決かもしれません。

なぜなら、超音波検査で、胎児の首の後にあるNTと呼ばれるむくみの厚みを測定だけで、先天異常がわかると共に染色体異常13番、18番、21番もわかります。

 

2012年9月より今までの出生前診断方法である超音波診断と羊水検査の他に妊婦の血液を調べることによって、
ダウン症等の染色体異常の判断が出来るようになったのはご存知ですよね?

ただし、この血液検査を受けれる条件として35歳以上のダウン症の確率が高くなる高齢者の妊婦となっています。
新型出生前診断では、羊水検査より5週間早い妊娠10週目以降から検査を受けることが可能で、
約99%の精度で異常の有無がわかると言ったものです。

また、羊水検査では、直接お腹の中に針を入れて羊水を搾取しますので、流産などの危険性がありましたが、
血液検査だけなので、流産の危険性はほとんどありません。
確かに血液検査だけでダウン症などの染色体異常の判断が出来るのは妊婦にも胎児にとってもいいことかもしれません。

ただ、この血液検査ができる機関が限られているのと今までの出生前診断であるエコーや羊水検査に比べて保険がきかない上、
金額が高額であるということを理解してから診断してもらうようにしましょう。

 

出産前診断を受けたいと思っている妊婦さんは、今、特に新型出産前診断と言う新しい診断方法により、血液を採取するだけで、染色体異常などが早期発見できるため増えてきています。

しかし、この出産前診断を受ける前に、この診断を受けた後、どんな診断が下されるのか、または、その結果によってお腹の中で育っている胎児を「産む」「産まない」と言う判断を下さないといけないのか、よく理解して、納得してから出産前診断を受けるようにしましょう。

確かに、生まれてくる子供の約4%は、先天的な異常を持っている可能性があります。
例えば、染色体異常が25%、単一遺伝子異常20%、母子感染などの環境によるもの5%、残り特定不可の多因子遺伝が50%です。

でも、この出産前診断でわかるものは、その中の一部分だけなのです。

また、その検査の種類によっては、対象となる病気が異なるため、異常の疑いが強いケースを見つける非確定検査であるのか、異常を確定するための検査つまり確定検査なのか等も違ってきます。

 

新型出産前診断の話題が増えてきていますが、この出産前診断でわかる染色体異常13番、18番、21番と言われてもその染色体異常自体がわからないと言うのが現状です。

では、この出産前診断でわかる染色体異常とはいったいどんなものなのでしょうか?

染色体異常と言うのは、染色体自体の本数が多くなっていたり、欠乏していると言うことです。
ヒトの染色体は「XX」もしくは「XY」と言う組み合わせから成り立っていて、異常の場合「XXY」「XXX」「XYY」または対になる性染色体がない「X」と言う染色体の本数になってしまいます。

ダウン症は通常2対である第21染色体が3本になっていることから染色体異常と判断されています。

また、新しくなった出産前診断を35歳以上の高齢出産を望む女性を対象に行うのかと言う理由に、卵母細胞の分裂機能低下というものがあります。

卵母細胞と言うのは、排卵から受精の間に減数分裂を繰り返して卵になりますから、年齢が高齢になればなるほど卵母細胞が古くなり、細胞質性の分裂機能が傷つき、低下するため、染色体分配の失敗が起こりやすくなると言うことです。

 

出産前診断を受けようと思うきっかけっていったいどういうものなのでしょうか?
この出産前診断は、血液を採取するだけで染色体異常の可能性があるか、ないかがわかる検査です。

ただし、この出産前診断を受けるには、いくつかの条件があります。
その中の条件として、高齢出産となる35歳以上の妊婦、これが、きっかけになっているのかもしれません。

初めての妊娠が30代後半になってくると染色体異常の子供の確率も高くなってきます。
そのため「初めての妊娠で赤ちゃんが出来た」と言う喜びと同時に「染色体に異常があるかもしれない」と言う不安が、脳裏を駆け巡ることになります。

そこで、この診断を受けると言うことになるのですが、その際、検査の仕組みや対象とする病気、結果の解釈等、検査についての説明をしっかり理解しておかなければいけません。

理解することができれば、夫婦での話し合いの時間も十分とることが出来、不安も多少和らぐはずです。
診断を受けるきっかけはどうであれ、まずは、その診断を受けるべきかどうかを夫婦でよく話し合ってみるようにしましょう。

 

新しく加わった出産前診断では、35歳以上の妊婦を対象に血液を採取して、染色体異常の診断を行っています。
ただ、単に35歳と言う高齢出産を希望している妊婦だけに染色体異常がみられるのでしょうか?

新しくなった出産前診断の結果通知がこのほど5月に発表されています。
高齢出産のために検査を受けたと言う人が257人のうちの91%、この91%のうち40%の人が不妊治療を受けていると報告されています。

つまり、染色体異常と言うリスクを抱えるのは、高齢出産だけではないということです。
ただ、高齢になればなるほど卵子の染色体異常の確率が高いために不妊症になりやすいと言われていますから、不妊治療を受けているから染色体異常の確率が、若い女性が高くなるということではありません。

染色体異常で不妊症の症状が見られる場合、女性の場合はターナー症候群かもしれません。
このターナー症候群は軽度の場合、症状が現れにくいとも言われていますから、まずは、早めにご自分のために出産前診断を受けられることをおすすめします。

 

出産前診断で言う高齢出産と言うのは、ただ、年齢が35歳以上になっているから高齢出産と言うのではなく、35歳以上で初めて子供を産む妊婦さんのことです。
つまり、初産の場合を指しているということをまず最初に理解しておきましょう。

2人目以降の妊婦さんの場合は、産道が柔らかく、骨盤の状態も違ってきますので、高齢出産とはいいません。

確かに30代後半で子供を産むと言のは、特に初産の場合、2人目以上産んだ妊婦さんよりはるかにリスクがかなりあります。
例えば、卵巣機能の低下やホルモン分泌の低下等の原因による流産や早産、そして、染色体異常等の何かしらの疾患を持った子供を産む確率が高くなるということで出産前診断では条件となっているのです。

だからと言って不安になって子どもを諦めないでください。
せっかく授かった命です。
女性の生殖能力は年齢と共に衰え、50歳を過ぎると閉経期を迎えて、子供が欲しくても出来ないと言う時期が来るのです。
出産が可能な年齢なら、是非とも高齢出産と呼ばれても出産前診断をまず受けて産んで育てるようにしましょう。

 

高齢妊娠と出生前診断から連想されるイメージはダウン症と中絶といった暗いものです。
出生前診断の本来の目的と違うイメージが蔓延しているのは事実です。
しかし晩産化が進む現在、染色体疾患が不安な夫婦があふれています。

特に日本は晩産化が著しい。
全国では4人に1人、都市部では3人に1人が35歳以上の高齢妊娠だと言われています。
これでは出生前診断の件数も増えるのが当たり前でしょう。

高齢出産は21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの確率が上がると言われています。一体どんな理由でそうなるのでしょうか。

染色体は細胞が分裂するときのDNAの姿です。
通常一本ずつ受け継ぐ精子か卵子のいずれかの染色体に本数の異常があると染色体疾患になります。

この本数が起きた受精卵は普通は育ちません。
実は本数違いは、受精卵の段階では当たり前のように起きています。

若い人でも受精卵の4割に染色体異常があるといわれています。
このような理由で、人はそう簡単には妊娠しないように出来ています。

これが40代になるとどうなるでしょう。
染色体異常の受精卵はなんと全体の約8割を占めるようになります。
これが卵子の老化による不妊状態です。

染色体の本数違いで流産も確率も上がります。
流産は染色体異常のある受精卵が、妊娠が判明する時期までは育っても、妊娠12週までに力尽きてしまうことです。
これも若い人なら1割程度のところ、40歳くらいになると約2割と2倍の確率になります。

このうち染色体21番、18番、13番だけは、3本持っていても流産せずに生まれてくる可能性があります。
その理由はこの3つの染色体は含まれている遺伝子の数が少ないので、本数が違っても影響が小さいからだと考えられています。
そのまま生まれるとダウン症の子どもとなるのです。
これも高齢出産がダウン症が多くなる理由です。

精子と卵子を比べると、断然卵子のほうが年齢の影響を強く受けます。
これは精子と卵子の作られ方が違うからです。

「精巣は精子の工場」「卵巣は卵子の貯蔵庫」と聞いたことがあるでしょうか。
これは精子は毎日新しく作られるが、卵子は胎児のときに一生分が作られることを表した言葉です。

卵子は作られた一生分の卵子を順番に排卵します。卵巣に残った卵子は徐々に質が低下してしまい、遺伝子の本数違いでダウン症などの起きる確率が高くなってしまうのです。
ダウン症を例にとると発生率は、女性の年齢が20代なら0・1パーセントですが、40歳では1パーセント以上になってしまいます。

この確率をどうみるでしょうか。
若い女性は99・9パーセント発生しないし、40歳になっても99パーセントは発生しない。
つまりほとんど心配する必要はないとみるでしょうか。

それとも1%なら現実的に起こりえると考えるでしょうか。
考え方は人それぞれです。

現在、日本には出生前診断を受けたいという妊婦さんが増えています。
その背景には、世間に先ほど紹介したような卵子の老化といった知識が浸透してきたこともあります。
少し前まで日本の妊婦さんは出生前診断なんか気にしていませんでした。
妊娠すれば元気な子が生まれてくるに決まっている、そう思っていて実際にそうでした。

しかし現在の女性のライフスタイルは良くも悪くも大きく変わりました。
女性の社会進出は進み、情報化社会で様々な知識が溢れ、娯楽も困ることはなくなり、晩婚化と晩産化が如実に進みました。
出生前診断が注目を集める土壌が十分すぎるほど整っています。

出生前診断を知ってしまったからこそ悩む。そんな妊婦さんも増えています。

 

出産前診断を受けることは無駄ではないと言う報告がされています。
ただし、ここで記載する出産前診断は、エコー検査によるものになります。

エコー検査は、妊婦のお腹の上から器機をあてて胎児の脳の発育、心臓や顔、手や足などの形を読み取りながら、異常があるかないかをチェックして行きます。

例えば、このチェックにより、お腹の異常が見付かったケースでは、腸閉塞と言う合併症を伴う可能性があるにもかかわらず、何度か手術を行い、元気に育っている子供もいます。

ただ、単に、染色体異常かどうかの判断を行うのではなく、エコー検査は、胎児の発育課程での異常まで診断できます。

確かに出産前診断と言うのは、どの診断方法を選択しても結果がどう出てくるのか、それが、妊婦にとっては1番不安要素かもしれません。
でも、早期に見付かれば、それだけ、心にも余裕が出てくるはずです。

母親になるという実感は、日に日にお腹が大きくなるにつれて増して行くものですから、あまり不安に思わず、受けてみてはいかがですか?

その前にしっかり出産前診断について理解を深めておくようにしましょう。

 

新しく出産前診断が施行されるようになり、従来の出産前診断に比べれば妊婦へのリスクが少ない血液採取だけで、ダウン症などの染色体異常が、高い確率でわかると言われていますが、
本当にこの診断を受けることで、妊婦あるいはその周辺の家族の不安はなくなるものなのでしょうか?

確かに異常が見付からなかった場合は、精神的にも安心して子供が産めるという喜びが増してきますが、反対に見付かった場合、生まれる前にわかるため生まれてくるまでにどうやって育てていけばいいのかと言う心の準備が出来ます。
しかし、断念するご夫婦も出てきます。

ただ、言えることは、新型出産前診断を受けずに万が一、子供に障害があった場合、生まれてくる前も生まれてわかった場合もそのショックは同じ大きさのものを受けるということです。

産むことを選択する場合、不安は付きまとってきますが、その分、育てるんだと言う決意をして、あらゆる情報を会得して出産することが出来ます。

何もわからずに毎日不安を抱えているより、出産前診断を受診して、その結果次第で不安がなくなればその方が、妊婦にとっては安心できるかもしれませんね。

 

出産前診断と言うのは、確かに悪い結果をもたらす可能性が高いものですが、一概に悪いとばかり言えるものではありません。

なぜなら、診断によって胎児や妊婦の状況をいち早く見つけることが出来るからです。
例えば、出生前診断で胎児の異常を早期発見できれば、胎児のために素早い医療処置をすることが可能となります。
また、今後の育児に対する育児スケジュールを組むことも出来ますし、親御さんに対して精神的ケアも出来るということです。

そして、その他に妊婦の健康状態も早くわかるため、それに対する対処法などをアドバイスできると言うメリットがあります。
妊婦の健康状態が悪いと胎児にも影響してきますので、その予防策をとることが出来ると言うことです。

出産前診断の結果をただ単に結果として受け止めるのではなく、今後の育児計画を準備する予備知識を学ぶ期間だという風に考えれば、結果が出るまでの間、出産に対する心構えを新たに持ついい機会になるのではないでしょうか?

 

最近、話題になっている新型出産前診断は、初産の妊婦のうち高齢出産にあたる35歳以上と言う条件の元、染色体異常などの検査を受けることをすすめている出産前診断です。

出産前診断の結果、胎児の染色体に異常が見付かるケースが、母体の年齢が上がれば上がるほど多くなるということです。
卵巣の中で卵子は、女性が胎児のときに作られ、減数分裂といわれるものが、途中で中断され、思春期以降の排卵時期に再開します。
減数分裂途中の卵子が毎月排卵の順番を待っているわけですから、年齢が高くなるにつれて、卵子自体も老化するということになります。

また、受精できたとしても妊娠初期での流産の確率は15%程度ですが、年齢が高くなると流産の確率も高くなります。
流産した胎児の半分以上は、何かしらの染色体異常による病気が原因とも言われています。

そして、胎児だけではなく、母体自体にも妊娠高血圧症候群等の合併症も高齢になると増えてきますので、出来るだけ、早めに妊娠・出産計画をするようにしましょう。

 

出産前診断で、もし、陽性反応が出た場合「産みたい」と言う気持ちはそのままですか?
確かに出産前診断を受けることにより、ちゃんと胎児がお腹の中ですくすくと育っているのか、どうなのかがわかりますよね?
でも、万が一、陽性反応が出てしまった場合、お腹の中で育っている胎児についてあなたは、どういう風に感じますか?

もちろん「預かった新しい命だからどんな子供でも育てる」と素直に言える人はいいです。
周りの人の目を気にしながら子供を育てて行くには辛すぎるし、費用もかかると考える人も少なからずいるはずです。

しかし、「産む」「産まない」を決定するのは、親になる女性と男性ですが、基本的には、女性ですよね?
その前にその子が生まれながら持って出てくる病気に対するより確かな情報を得るようにしましょう。
そして、その病気を理解してから、決定するようにして欲しいものです。

せっかく、授かった新しい命です。
出産前診断の結果による親のエゴや世間体だけで、新しい命の火を消さないようにしましょう。

 

出産前診断について受けてみたいけど、いったいどんなものなのだろう?かという不安も多々あるのではないでしょうか?
そこで、遺伝子相談や問い合わせが多かったものを少し紹介いたします。

①陽性だった場合羊水検査を受ける必要があるのか?
可能性があるとしか診断が出来ないため、確定診断のために羊水検査が必要です。

②出産前診断は、ダウン症以外の異常はどんなことがわかるのか?
染色体異常の21番目のダウン症の他に13番と18番目の染色体の異常がわかります。

③染色体の異常の発生率はどのくらい起きるのか?
3%~5%程度の赤ちゃんが先天性の病気をすでに持って生まれ、染色体異常は、その4分の1、今回場合の異常はさらにその3分の2程度起きる可能性があります。

④採血することで母子共にリスクはあるのか?リスクは両方ともありません。

⑤出産前診断を受けたいと希望すればすぐに検査が受けられるのか?
検査自体夫婦の同意済みかどうかカウンセリングを受けてから決定するためすぐには出来ません。

⑥出産前診断を受ける際、保険は適用されるのか?
日本では保険が適応されませんので、約20万円ほど自費で行うことになります。

となっています。

 

<h4>出生前診断を受ける人の割合は?</h4>
出生前診断のアンケート結果をご存じでしょうか。

これはNIPTが開始される直前の2012年11月に行われたアンケートです。
まず、妊娠が分かった際にどれだけの人が出生前診断を受けたか、のアンケートです。

その結果、35歳以上で羊水検査や母体血清マーカー検査を受けた人は、羊水検査を受けたことがある人が11%、母体血清マーカー検査を受けたことがある人が5%ということが分かりました。
ちなみに両方受けた人3%を含む数字です。

NIPTが実施される前の日本では、出生前診断のほとんどが2種類。
この数字がそのまま、出生前診断を受けた人の割合です。

<span class=”ylw”><strong>高齢妊娠の14%程度しか出生前診断を受けていないということです。</strong></span>

さらに、35歳以上の方に「再び妊娠したらNIPTを受けますか?」という質問に対してのアンケートもあります。
その結果、受けると答えた人は15%。

実際に受けた人が14%、それで15%という結果です。
NIPTという選択肢が増えても、出生前診断は増えないようにも見えます。

しかし、実はこの数字、「受ける」とはっきりと答えた方の数字なのです。
<span class=”ylw”><strong>「受ける」「受けるかもしれない」と答えた人を合計すると、39%という割合になるのです。</strong></span>

ちなみに、「受けない」「たぶん受けない」と答えた人の合計は38%
意見は半分半分にきれいに分かれました。

NIPTの登場で出生前診断は増えることは間違いなさそうです。

さらにこのアンケートで母親のさまざまな意見が分かりました。
そのいくつかをご紹介します。

<h4>出生前診断を「受けない」と答えた人の意見</h4>
・障害があっても自分の子は育てる
・自然にまかせるのが、一番
・神様に授かった命。誕生を待つだけで良い
・どんな赤ちゃんでも、受け入れることが親の役目

<h4>出生前診断を「受ける」と答えた人の意見</h4>
・障害がある子は育てられない
・高齢出産で障害の確率が高い。自分たちの余命も長くはないので心配
・安心して出産したい。

<h4>分からないと答えた人の意見</h4>
・そのときになってみないと本当にわからない
・出産するときの「年齢」や「心境」による

受けると答えた方からは、産む決意を感じます。
そして受けないと答えた方からは、自分の死後も含めた心配を感じます。
どうするかはその人の自由ですが、出生前診断はこれほど多くの見方を含んでいるのです。

 

検査技術が変わって女性の出生前診断に対する考え方も変わりました。
NIPTが開始されて1年6カ月経った2014年10月に「出生前診断を受けたいか、受けたくないか」の二択のアンケートを行いました。

対象は20代後半から40代の子どもが欲しい働く既婚女性です。
結果、出生前診断を受けたいと答えた人の割合は、30代後半が6割、40代前半と20代後半が5割程度でした。
これは若い人も出生前診断に関心が高いことを示しています。
今後、さらに若い世代が入ってくると、出生前診断の希望者はさらに増加すると思われます。

30代前半で2児の母のBさんは、いま、3人目が欲しいと考えています。
Bさんの周りで妊娠した知人にもNIPTを受ける人が多いようです。

「私も、次の妊娠では安心のために受けたい」とBさんは言います。

「出生前診断で染色体疾患が見つかっても産みたいですが、とても苦しむと思います。
私は流産の経験があります。
流産したときわかりました。
どうしても生まれてこない命があることを。
だから、流産しない命はそれだけで意味がある。
ダウン症があったら、いっぱい苦労すると思います。でもそう思うんです。」

妊娠する前から出生前診断を受けるかどうか考えることには意味があります。
命に考え巡らせ、自分にどうしたいのか問いかける。
もちろん妊娠してみなければわからない部分も多いと思いますが、それだけでも大きな意味があるでしょう。

 

不妊治療の専門クリニックも、出生前診断を活用しはじめています。
患者の高齢化が進み、妊娠した途端、今度は先天異常が気になってしまうケースが多いのです。

いま不妊治療の専門クリニックでは、遺伝カウンセリングも受けられるところが増えてきました。
これは妊娠してから出生前診断を考えるのではなく、これから不妊治療で目指す妊娠は、染色体疾患を伴う可能性が若い人より高いという事実を知っうことが大切だからです。
遺伝カウンセリングを活用すれば、妊娠前から出生前診断の知識を得て、受けるか、それとも受けないか事前に考えを固めておくことができます。

さらに不妊治療費と関係の深い「着床前スクリーニング(Preimplantation Genetic Screening通称PGS)」という新しい出生前診断が登場しました。
この出生前診断は体外受精により分割がある程度進んだ受精卵から細胞をいくつか採取して、染色体疾患の有無を検査します。
そして正常だった胚のみ子宮に戻すという方法です。

着床前スクリーニングは今後普及することが間違いないといわれています。
体外受精で出来た胚は形と分裂のスピードでグレード分けされるのが通常です。
胚着床前スクリーニングが普及している海外では、形が良く良く分裂する胚の中にも染色体に異常がある胚がたくさんあることが新しい技術によりわかってきました。
出生前診断と高度生殖医療が合体し、不妊治療が新しいステージに移行しようとしています。

 

妊娠すれば誰もが受ける妊婦健診で、出生前診断の決断をせまられる場合もあります。
一般的な超音波検査で異常が見つかってしまうケースです。

日本の妊婦超音波検査はかかりつけ医によって検査のたびに毎回のように行われています。
検査の後はお腹の赤ちゃんの画像をプレゼントされることもあります。
妊婦さんによっては、自分の赤ちゃんの姿を見られる楽しい検査と思っている方も多いでしょう。

しかし海外ではこの超音波検査の位置付けが日本と違います。
回数が少ないかわりに内臓や骨、外観を細かくチェックするのです。
チェック項目はとても多く、ダウン症を検査する項目もいくつかあります。

その中で、特に重要なのがNT(Nuchal Translucency)という項目です。
これは胎児の首の後ろの液体が溜まった部分の厚みを計る検査です。

日本ではこのNTの計測はする必要がない検査とされています。
しかしNTは、通常の超音波検査でも胎児の頭部を見ようとすると、見た目で分かってしまうのです。
つまり「NTが厚いので、染色体異常の可能性が高い」と通常の検診で突然告知されてしまうケースもあるのです。

37歳で不妊治療によって念願の妊娠を果たしたNさんはその一人です。
ダウン症の可能性が高いと突然言われたときはめまいがしたそうです。

Nさんは超音波検査中のかかりつけ医の様子がHさんは、医師の妊婦健診の超音波検査中に様子がおかしいことに気がつきました。
何かあったのかと質問したところ、いきなり「ダウン症の可能性が高い」と言われてしまったのです。

Nさんは以前NTを取り上げた記事を読んだことがありました。
だから医師が赤ちゃんの頭部を見ながら何かを計測しているのに気がついてしまったのです。

その日、医師からNTについて詳しい説明はありませんでした。
羊水検査をしなければ正確な事はわからないと言われるだけでした。

NさんはNTの情報を自分でインターネットで調べ始めました。
不安で仕方がなかったからです。
すがるような気持ちでインターネット上から自分が安心出来る情報を貪るように探しました。

周りの親族からは障害のある子どもは生まない方がいいといいます。
次第にNさんもそう思うようになりました。
でも、日々大きくなるお腹を見ていると、子どもと絶対に別れたくないという気持ちも強くなってきます。

そんなある日、見かねたかかりつけ医から臨床遺伝専門医に診てもらった方が良いと勧められました。
大学病院への紹介状を手に専門医からの説明を受けました。

「NTが厚くても羊水検査の結果異常がない人のほうがずっと多い、先生にそう言われたときに、羊水検査を受けて先に進もうと決心しました」とNさんは振り返ります。

羊水検査は僅かに流産の可能性がある検査です。それでもNさんは前に進みたかった。
NさんのNT値は4ミリ程度。
これは正常に生まれる確率が約70%の数値です。

「羊水検査の当日はとても緊張しました。慎重にゆっくりと針が入ってくるのは分かっているのですが、画面を見ると赤ちゃんが動いているのも見えるんです。針が赤ちゃんにあたらないかとにかく心配でした。」

結果は、陰性。
いま、そのときの赤ちゃんは1歳の可愛い盛りです。
Nさんは勇気を出して羊水検査を受けて良かったと振り返ります。
そして次の赤ちゃんを、早く欲しいと考えています。

 

<h4>■出生前診断とは</h4>
出生前診断とはお腹の中の胎児が先天性の病気や奇形、あるいは染色体異常を持っていないかを調べる検査のことで、一般の妊婦健診で胎児に何らかの異常が疑われる場合で本人やその配偶者が希望する場合に、追加して更に詳しく検査します。2013年に「新型出生前診断(NIPT)」が認可されましたが、それ以前は「超音波スクリーニング検査」「母体血清マーカーテスト」「羊水検査」「絨毛検査」の4種類で行われていました。超音波スクリーニング検査や母体血清マーカーテストは胎児の異常の有無を更に調べるための前段階の検査で、これが陽性となった場合に、更に高度で詳しく臓器の機能異常を見つけることのできる羊水検査や絨毛検査が行われます。

羊水検査とはお腹に注射針を刺して羊水を採って調べる検査で、絨毛検査とは胎盤の絨毛組織を採取して調べる検査ですが、負担が大きく流産の確率があることから、早く検査したいなどの強い希望がない限り取られることは殆どありません。これに対し、新型出生前診断は母体の血液検査のみで染色体異常の有無を調べることができる検査で、そのため母体にも胎児にも悪影響の心配がありません。実際、羊水検査や絨毛検査による流産の危険性は約1%であるのに対し、新型出生前診断の危険性は約0.3%とされています。従って、現在では出生前診断としてこの新型出生前診断が選択されるようになりました。この診断は「母体血胎児染色体検査」や「無侵襲的出生前遺伝学的検査」などと呼ばれることもあります。

<h4>■出生前診断のメリット</h4>
出生前診断のメリットとしては、まず出産前に心の準備や実際的な準備をしておくことができるということが挙げられます。赤ちゃんがダウン症などを持って生まれてくる場合、生まれてからそれを知るよりも生まれる前から知っておけば精神的なショックは軽くて済みますし、その障害について予め十分調べておくことができます。障害を持った子供とその家族への社会的なサポート体制についても調べておくことができるでしょう。勿論検査の結果が陰性であれば安心して出産に臨めます。

<h4>■出生前診断の問題点</h4>
<h5>1.倫理的な問題</h5>
出生前診断最大の問題点として指摘されているのは、検査で陽性と診断された場合に産むこと自体を躊躇ってしまう、つまり中絶を選択する人が増えるということです。「結果がどうであれ産んで育てるつもりだ」という夫婦であれば、出生前診断は前述の通り心構えや準備期間を与える良いものとなりますが、実際には出生前診断で陽性と出た場合に人工妊娠中絶を踏み切ったケースは少なくないのです。ここに「命の選択」「命の間引き」といった出生前診断の問題点が浮かび上がってくるわけです。

出生前診断の目的が先天性の障害を持つ胎児かどうかを早期発見するためとはいえ、万が一出生前診断によってダウン症の子供として生まれてくる可能性が高いと検査結果が出てしまった場合、事実をそのまま受け止める覚悟が出来なかったとしたら、生まれてくるはずだった子供の将来がそこで全て決まってしまう。
昨今では、35歳以上の高齢出産が年間26万人で、重い染色体異常がある子供の発生率は35歳以上179分の1、40歳以上では63分の1の確率で発生していると言われています。
ダウン症などの先天異常の子供を出産したとしても養育して行く上で、経済的にも精神的にもかなり苦しいといった現実があります。
だからといって、生まれてくる前に中絶してよいのか・・・。
この賛否両論があることを理解して、新型出生前診断を受診するようにしましょう。

<h5>2.診断が間違っている場合もある</h5>
出生前診断の中でも母体血マーカーテストの精度は低く、例えば陽性という結果が出た場合でも実際にダウン症児である確率は2%しかありません。そもそも母体血マーカーテストはスクリーニング検査であるため、陽性と出たなら確認のために結局流産のリスクを冒しながら羊水検査や絨毛検査を受ける必要が出てくるのです。これは母体血マーカーテストよりは精度の高いNIPTでも同じことで、年齢によっても精度の高さが変わると言われています。例えば40代でNIPTを受け陽性と診断された人のうち10%は正常、20~30代では40%が正常という統計が出ています。つまりやはり詳しく知る為には羊水検査や絨毛検査に踏み切らなければならないのです。ただ、NIPTでダウン症が陰性と診断された場合の信頼性はかなり高く、実際にはダウン症児だったという可能性は1%以下となっています。更に言えば、羊水検査や絨毛検査でさえ100%正確な診断ができるわけではなく、0.1~0.6%の確率で誤診である可能性もある点を覚えておかなければなりません。

<h5>3.全ての異常を見つけることはできない</h5>
新型出生前診断では、母体血中の胎児由来遺伝子のなかで13番・18番・21番染色体の濃度を分析することができます。つまり13トリソミーと18トリソミー、21トミソリー(ダウン症)の3つを確認できるわけですが、逆に言えばそれ以外は今のところ検査対象外です。母体血マーカーテストの場合はこれに二分脊椎症を、また精密超音波検査では心臓や内臓、脳神経、骨格の一部なども検査できますが、内分泌異常や代謝異常、脳性麻痺、視覚・聴覚など他の様々な異常については結局生まれてくるまで分からないということになってしまいます。

<h5>4.経済的な負担</h5>
出生前診断は基本的に保険の利かない自己負担診療です。比較的安価な母体血マーカーテストでも1万円以上しますし、羊水検査なら10万円ほど、新型出生前検査になると20万円ほどもかかってしまいます。そのうえ新型出生前診断の場合、日本医学会から認可を受けた総合病院や大学病院でしか受けられません。偶然近くにそのような病院があればともかく、そうでない場合はわざわざそこまで通院しなければならず、交通費や体力的な負担も馬鹿にならないものになってしまうでしょう。

 

出生前診断を受けた後、その結果如何によっては中絶を迫られると言う現実がこれからますます増えてくるのではないでしょうか?
なぜなら、新型出生前診断は、10週以降で可能となり、陽性の場合の確率は約95%で、陰性の精度が99%と高くなっているからです。
また、羊水検査と違い、流産の恐れも少なく、費用こそ高額になりますが、確率的には高い診断結果が出る結果になります。

そのため、万が一、胎児に異常が見付かった場合、
生まれてくる子供を育てる自信がない、育てることに不安に思う気持ちが先行してしまい、
最近では、胎児の異常を理由に中絶する人が増えて来ているということも事実存在しています。

そんなに簡単に命あるものを粗末にしていいものでしょうか?
ましてや不妊症治療を受けてやっと授かった命がダウン症、あるいは、先天性異常として生まれてくる子供だとしたら、
あなたはどう思いますか?

確かに、最新医療によって、生まれてくる子供に異常があるかどうか判断出来るようになりましたが、
本当にそれでいいのか、命の尊さをもっと真剣に考える必要があるのではないでしょうか?

 

出産前診断は、お腹の中で大きく育とうとしている胎児の運命を決めるものです。
また、それと同時に、胎児だけではなく、母体の異常をも発見できると言う検査です。

ただ、出産前診断を受ける前にもう1度良く考えて欲しいことがあります。
それは、お腹の中で育っている胎児の人権ということです。
「まだ、世に生まれてきていないから、それは親がその子の運命を決めていいんだ」
「五体満足でないのならこの命はいらない」
反対に「妊娠して新しい命を授かったんだから、どんな子供であれ、育てるのが当たり前だ」と言う、2通りの選択肢しかないのでしょうか?

本当にそれだけなのでしょうか?
もし、染色体などの異常が見付かった場合、どういう風な病状なのか、そして、その子供たちはどういう生活を送っているのか、親の気持ち等、
あらゆる生活面などを理解した上で、この出産前診断を受けるかどうか、産んで育てるのかどうかを決めるべきです。

せっかく待ち望んで、やっとお腹の中に宿った小さな命です。
ご夫婦で、お腹の中で育っている小さな命の将来をよく考えて診断を受けるかどうか決めるようにしましょう。

 

出産前診断は、妊婦の血液採取だけで、染色体異常が強いかどうかの診断が、高い確率でわかります。
しかし、この出産前診断と言うものは、お腹の胎児の将来を大きく変えてしまうものでもあるのです。

なぜなら、検査目的は、お腹の中にいる胎児に染色体異常があるかどうかを早期発見し、親としての心構えをするためだとされています。
しかし、実際は、不安と言うものを募らせるものでしかありません。
もし、ダウン症であると診断が下った場合、ダウン症であっても我が子として育てるのか、それとも、経済的理由や育てる自信がないために中絶すると言った両極面の選択をしなくてはいけないのです。

せっかく授かった赤ちゃんが、ダウン症だと聞かされたら、あなたならどちらを選択しますか?
ただ、今の日本の母体保護法では、ダウン症などの染色体異常が見付かった場合、中絶してはいけないことになっています。

でもこの出産前診断は、高齢出産を控え、染色体異常の子供なのかどうかと言う不安を取り除くと同時に、お腹の中で日々育っている胎児の運命を決める命の選択につながっている検査であるということを理解しておきましょう。

 

出産前検査を受ける前に知っておかなければいけないことがいくつか発表されています。
それは、今の時点では、胎児の13番、18番、21番トリソミーだけの検出に焦点を絞れば有効です。
しかし、検出率は高いものの100%の例を検出できるものではないということです。

そして、偽陽性率自体は低いものですが、時には偽陽性結果があるため、
もし、陽性結果が出た場合は、必ず、羊水検査か絨毛検査で確定診断をしなければいけないとされています。

また、この検査を受ける場合、全く臨床的に意味がないとされる例として、BMI(肥満判定度)が高い妊婦は検査が出来なかったり、結果が出ないというリスクも高くなってしまいます。

妊娠後期には、いくら染色体に異常が見付かったとしても、今の日本では、人工中絶と言うものが出来ないと言う法律になっています。
つまり、妊娠後期の妊婦は、出産前診断を受けることが出来ないとされています。

以上のようなリスクも考えながら、出産前診断を受けるようにしましょう。

 

出産前診断は、35歳以上の妊婦の血液を採取するだけで、母体に負担がかからず、染色体異常があるかないかが、わかる検査です。
特に35歳以上と条件をつけているのは、妊婦が高齢になればなるほど、ダウン症などの染色体異常で生まれてくる子供の確率が高くなっていると言う理由があります。

しかし、高齢出産の場合、染色体異常の可能性があるかもしれないという不安を抱えている妊婦にとっては、この出産前診断を受けることで、安心感を得ることが出来ますが、もし、陽性反応が出た場合、落胆してしまう可能性もあります。

その場合、妊婦が人工中絶を選択することができるのでしょうか?
もし、選択した場合、それは許される行為として言えるのでしょうか?

今の現状では法的には認められていないと言うのが実状です。
しかし、リスクが少なく、精度の確率が高いと言われている新しい出産前診断を受けようと思っている妊婦はますます増加します。
産みたいけど産みたくない、生まれて来て欲しいけど来て欲しくないという葛藤と戦うしかないのかもしれません。
新しい出産前診断を受ける前にまずは、お腹の中で育っている胎児の今後をよく考えてから受けるようにしましょう。

 

出産前診断が、新しく2013年4月からスタートしましたが、あなたはどう思われますか?
この新しくなった出産前診断と言うのは、高齢出産を控えた妊婦を対象に主として行われるものですが、どんな意味で、高齢出産を望む女性を対象にしているのでしょうか?

確かに高齢出産の場合のリスクとして、ダウン症の子供や先天性疾患を持って生まれてくる子供の確率が、高いという現状ではあります。
だからこそ、生む前に異常があるかどうかを判断し、安心して子供を生める環境を作るのが目的かもしれません。

しかし、出産前診断を受けた妊婦の中には、染色体異常陽性反応が出る可能性があります。
その場合の判断を良く考える必要が出てきます。

なぜなら、お腹の中にいる赤ちゃんは何かしらのリスクを持って生まれてくるんだという不安を抱えて、出産するのですから、産む前から差別されることになります。
そして、生まれてきてからももっと悩むことになると言うことにもなるのです。

産む前の不安を取り除くか、それとも生まれてくる子供がどんな子供であっても育て上げると言う覚悟で、出産の日を迎えるか、それを決めるのはやはり親になる夫婦なのかもしれません。

 

出産前診断で、ダウン症などの染色体異常の可能性があると判断された胎児は、生きる力がある子供だということをわかってあげましょう。

「生きる力がある子供」とは、通常、染色体などに異常がある胎児のほとんどは、稽留流産(お腹の中で成長が止まってしまうこと)等による初期流産でこの世に生まれて来ないとも言われています。

特に初期流産の原因は、9割近くが染色体異常によるもので、特にダウン症の場合が多いと報告されています。
でも、今回の出産前診断でダウン症だとわかった子供は、初期流産することなく、日々お腹の中で大きくなって行っているわけです。

それだけ、お腹の中で「生きよう」と必死になって頑張っているのです。

まず、出産前診断を受ける前に何故自分は検査を受けるのか、受けた後どうするのかということをしっかり自分自身、あるいは、ご夫婦で考えるべきです。
診断結果が出てから慌てて考えるのではなく、出産前診断を受ける前にじっくりカウンセリングなどを受けて、考えるようにしましょう。

 

新型出産前診断が、2013年4月から本格的に受診出来るようになりましたが、いったいどんなことがわかるのでしょうか?

この出産前診断でわかるのは、染色体異常13番と18番と21番の3つが血液検査によってわかるようになります。
つまり、エドワーズ症候群とバトー症候群、そして、染色体異常が1番多いとされているダウン症の3つだけしかわかりません。

しかし、血液検査だけでは、陽性の可能性があるとしかわからないため、さらに羊水検査を行った上で確定判断がされるようになっています。

ただ、出産前診断で陽性反応が出てしまった場合、確定判断が出来る羊水検査を受ける前に、中絶と言う結論を出してしまう人もいるのではないでしょうか?

なぜなら、やはり、羊水検査はお腹に針を差し込んで羊水を抜き取るため、流産のリスクもあり、結果が出るまでに時間がかかると言うデメリットがあるからです。

確かに出産前診断にはデメリットがあります。でも、本当に染色体異常なのかどうか、確定診断を是非とも受けてから、将来のことを考えて欲しいものです。

 

染色体異常18番と言うのがこの出産前診断でわかるようになって来ましたが、では、この染色体異常18番と言うのは、どのような確率で発生し、どのような症状なのかわかりやすく説明します。

出産前診断でわかる染色体異常18番は通称エドワーズ症候群と言われています。
このエドワーズ症候群は特に女児に多く見られるもので、3,000人から8,000人に1人の確率で発症します。
また、男児の場合は流産する場合が多いと言うのも特徴です。

症状として、心室中隔欠損症、心内膜床欠損症等の先天性心疾患は必発で、口唇裂、口蓋裂、握ったままの手、耳介低位付着などの奇形および重度の知的障害がある子供が生まれると報告されています。

また、このエドワーズ症候群の場合、生後1年以内に90%生存しないという報告もあり、生存した場合でも先天性心疾患の重症度は生命予後に特に重要な影響を及ぼすとも言われています。

高齢出産で赤ちゃんを産みたいと思っている女性は是非とも出産前診断を受けてもらいたいものですが、こういうリスクもあると言う認識は持っていてもらいたいものです。

 

出産前診断ではダウン症のほかに染色体異常13番(バトー症候群)もわかると言われていますが、あまり染色体13番についてどのような症状なのか書かれていないので、ここで説明します。

染色体13番に異常が見付かる確率は、5,000人に1人の頻度で発症します。
特に高齢出産になればなるほどリスクが高くなるとも言われています。

バトー症候群の症状は、子宮内発育は正常で通常の赤ちゃんと同じ体重で生まれてきます。
しかし、身体的に異常箇所が見られ、例えば、口唇裂、口蓋裂、頭皮部分欠損、多指等の他、脳奇形や心奇形、生殖器異常、臍帯ヘルニアなどの消化管の奇形を伴っている場合があります。
また、精神遅滞が重度であると言う症状が報告されています。

バトー症候群も超音波検査または母体血清スクリーニングなどで出産前にはも早期発見できますが、この出産前診断で染色体異常がわかります。

ただ、その出産前診断の結果次第では、医療的、社会的、精神的なメンタルが必要になってくる可能性が十分ある病気でもあります。

 

よく、出産前診断で染色体異常21番目が早期発見できると言われていますが、この染色体異常21番目であるダウン症候群とはいったいどういう症状の子供が生まれてくるのでしょうか?
一概にダウン症と言われてもあまり理解されていない部分がありますので、ここで少しだけ説明します。

染色体異常21番目、通称ダウン症候群(ダウン症)は、高齢妊娠の場合に多く発症し、1,000人に1人の確率で発症しています。

ダウン症の特徴として、筋肉の緊張力が低く、小指の関節が1本足らない、まぶたが深い二重まぶた、発音が苦手であり、知能発達の遅れが目立つ等、ダウン症独特の顔つきが見られやすいといった特徴があります。

ダウン症の合併症として、心臓病、白血病、てんかん、消化器官の奇形、視力の屈折障害や聴覚障害などが可能性として現れやすくなり、また、抵抗力が低いため感染症(風邪や気管支炎、中耳炎)等に十分気をつけることが必要だと言われています。

染色体異常が陽性になりやすいのは、やはり、高齢出産をしようとしている場合が最も高くなっていますので、出産前診断で、早期発見できるのはいいことかもしれません。

 

染色体異常の早期発見が出来るといわれている新型出産前診断がはじまりましたね。
この新型出産前診断は、要するに高齢出産の大きなリスクと言われているダウン症の可能性があるかどうかが、妊婦の血液を採取するだけで、わかる検査とも言えます。

つまり、高齢出産と言うのは、それだけ、染色体異常21番トリソミー、通称ダウン症候群の発症確率が高いということでもあります。

ダウン症の確率は、一般的に新生児の1,000人に1人と言われていますが、その確率は、高齢出産35歳以上になるにつれて上がっていきます。

統計によれば、20代で1667分の1、30代で952分の1、35歳で378分の1、40代になると、40歳で106分の1、45歳で30分の1と言うのが出ています。

確かに、出産前診断が始まってから1ヵ月後の中間報告でも35歳以上の方が受けられていて、染色体異常21番トリソミー(ダウン症候群)と羊水検査を受けた後の確定診断で判明したと報告されています。
それだけ、高齢出産には、ダウン症と言うリスクが高いと言うことがわかる結果かもしれません。

 

出産前診断では、ダウン症のほかにターナー症候群も羊水検査によってわかるようになってきました。

出産前診断では、ダウン症、13番、18番の確率が高いか、どうかを血液検査で調べることが出来ますが、染色体異常で発症しやすいものとして、ターナー症候群と言うものがあります。

ただ、このターナー症候群はダウン症と同じように首が腫れているということでエコー検査でもわかる病気です。
最終的確定判断は、はやり、羊水検査を行ってみないとわからないと言うのが現状です。

ターナー症候群の症状は、幼児期に足がむくんでいたり、背が低い、生殖器に異常がみられますが、知的障害などが全くないまま成長していきます。

問題として言われているのは、大人になって妊娠して流産を繰り返す可能性が高い上、子供が生まれた場合、それが女の子の場合は特に無排卵や不妊症等の疾患を抱えてしまう確率が高くなってしまうということです。

出産前診断で、もし、染色体異常が強く反応として出てきた場合は、3つの染色体異常の他にも違う病気が潜んでいる可能性がありますので、出来るだけ、専門医と相談の上、怖がらず、羊水検査を受けるようにしましょう。

 

出産前診断では染色体異常のほかにわかるものとして、デュシェンヌ型筋ジストロフィー等先天性疾患などもわかるようになってきています。

しかし、新型出産前診断では主に染色体異常を判断します。
出産前診断は以前から行われてきていたものですが、あまり、一般的には知られていなかったと言うのが現状です。

やはり、出産前に何かしらの異常を持っていると言うことを知った場合、親としてどうするべきか等、不安要素が多々あったからかもしれません。

五体満足に生まれてくる子供ならそのまま順調に育ち、誕生を待ち望むことが出来ますが、反対に染色体、あるいは、エコーなどでどこか異常が見付かった場合、絶望と言う二文字が頭をよぎるに違いありません。

そうなった場合、あなたは、中絶を望みますか?
それとも生まれてくる子供には何も罪がない、自分たちの子供としてどんな子供でも育てあげるという自信がありますか?

今、新型出産前診断が本格的に始動しはじめ、より高度な診断結果が出てくるようになりました。
ますます、社会的にも出産前診断結果に悩む人のメンタルケアが必要になってくるようになるでしょう。

 

新型出生前検査は、あくまでも血液検査のみで、染色体異常を早期発見すると言う目的で行われていますが、本当にそれだけで染色体異常等の胎児の異常がわかるのでしょうか?

研究者や医療関係者の報告では、新型出生前検査では、99%ダウン症かどうかがわかる検査ではないため、検査の精度としては75%程度でしかないと言われています。

また、染色体異常反応が出たとしてもダウン症ではない場合が、10万人に対して100人当たり出る可能があります。
つまり、最終的には、羊水検査を行って、確定診断を行わなければならないということです。

そして、この出生前診断を受けて陽性だった場合、羊水検査を受けて、さらに詳しく調べることになりますので、最終結果が出るまでの期間が、約1ヶ月前後かかってしまいます。

そうなると、この出産前診断を受ける期間に限りがあり、法律で認められている22週までの堕胎時期までには、確定判断が出なくてはいけないということになります。
早めに受けたいと思われている方は、出来るだけ早く検査を受けられることをおすすめします。

 

出産前診断で高い確率でわかることと言うのは、新型出産前診断で行う血液採取による染色体異常の確率が高いかどうか、羊水検査による染色体異常の確定検査、エコー検査による胎児の形態の異常などがわかるようになって来ました。

出産前診断の高い確率により、ダウン症や13番、18番の染色体異常の早期発見や内臓疾患、形態疾患などの異常が確かに早い段階でわかるようになってきています。
ですから、妊娠中期になって、内臓などの疾患がある場合は、お腹でまだ発達途中の段階でも治療が出来るため、出産の際には、すぐに対処処置が出来るNICU(新生児特定集中治療室)がある機関病院や大学病院などへの転院をすすめることができます。

ただ、単に出産前診断は、染色体異常の可能性が高いかどうかだけを調べるものではなく、その他の異常を早期発見できるものだと考えて受けるようにしましょう。

ここで考えなければならないのは、生まれてくる前に胎児に異常が見付かった場合、あるいは、あるかどうかわからず、妊娠中の妊婦やその家族が精神的に不安定になるのではないかということです。
この精神的不安をどう解消して行くかが今後の課題かもしれません。

 

高齢出産をしようと考えている妊婦が、本当に出産前診断を受ける必要性があるのでしょうか?

確かに染色体異常と言うのは、30代後半から確率が非常に高くなると言われています。
ダウン症の発生確率は、20代後半で1,000人に1人、35歳でおよそ350人に1人、40代では100人に1人と言う割合で、高齢になればなるほど、発生確率が高くなると言う報告もされています。

ですから、今回新しく出来た出産前診断を受診できる条件に35歳以上の妊婦と言うことが書いてあります。
でも、染色体異常の確率が高くなるのは、高齢出産だけではないのです。

例えば、ダウン症は、高齢出産の場合と遺伝的に起こり易い場合もあるからです。
20代の場合でも身内の親戚の中にダウン症の方がいるとすれば、遺伝性の染色体異常の可能性が高くなり、確率も高くなってしまいます。

一概に高齢だから染色体に何かしらの異常があるということはないのです。
もし、本当に不安に感じて毎日を過ごしているのなら、出産前診断を受診して、不安を解消しましょう。

 

出生前診断のもっともポピュラーな方法はエコーによるものです。
エコーとは超音波検査のことですね。

妊娠10週から14週で胎児の項部浮腫などを調べると、
染色体異常などの目安となります。

超音波検査装置の性能も良くなるにつれて、
出生前診断の精度も向上しています。

またエコーによる出生前診断には3つのレベルがあります。
レベル1 胎児の発育や羊水量をみる「一般検査」
レベル2 病気のリスクを評価する「スクリーニング検査」
レベル3 頭部や心臓の病気を調べる「精密検査」

どのレベルまで診断をするか、専門的知識を用いるかによって、
出生前診断の意義は大きく変わってくることになります。

他にも、高齢出産などで異常が発生する可能性が高い妊娠においては、
トリプルマーカーテスト、羊水検査、絨毛検査をする場合があります。

トリプルマーカーテストとは妊婦から採血した血液の成分を調べる検査です。
負担が軽いという利点がありますが、正確性に劣るという欠点があります。

羊水検査とは羊水に含まれる代謝産物や染色体や遺伝子を検査する方法です。
胎児の遺伝病や代謝疾患、染色体異常などを調べます。
200分の1程度の確率で流産を引き起こす危険があるという欠点があります。

絨毛検査は、羊水検査より流産の危険性が高いため、日本では稀な検査方法となっています。

 

2013年4月から出産前診断が本格的に始動し始め、出産前に胎児に異常があるかどうか、わかるようになりました。
この出産前診断の方法は、以前から言われていた方法どおりですが、最新の方法をここで説明いたします。

まず、妊婦が出生前診断を希望した場合、採血がされ、その結果判定により陰性もしくは陽性がわかります。
血液検査の結果、陰性の場合は染色体に異常なしとされ、陽性の場合は、染色体の異常の可能性があるため、さらに羊水検査を行い、この羊水検査で確定診断がされることになります。

ただ、採血だけで安全であり、診断制度が高いと言われていますが、万が一、陰性結果が出てしまった場合、安易に人工中絶を考える人が増加するのではないかと懸念されています。

でも、出産前に生まれてくる子供が、五体満足に生まれてくるかどうかと言うのは、生む前から不安要素でもありますよね?

それが、出産前に異常が有無がわかることは、ある意味、安心して子供を生めるというのでは、良いことなのかもしれません。

 

従来の出産前診断と新型出産前診断は、重なるポイントがいくつかありますので、そのポイントをまず理解しておくようにしましょう。

従来の出産前診断は、超音波検査、母体血清マーカー、羊水検査だけでしたが、今回新しく新型出産前診断が加わって、4種類の診断方法になりました。

方法としては、超音波検査は、母体の膣の中か腹部の上からブロープと呼ばれる器機を当てて、3つの染色体異常があるかないかを診断します。

新型出産前診断と母体血清マーカーは、母体の血液採取のみで、3つの染色体異常の診断、血清マーカーでは、2つの染色体異常(18番、21番)と開放性二分脊椎の検査を行います。

この3つの方法では、異常の可能性があると言う判断でしかなく、確定ではありませんし、流産の危険がない検査でもあります。
費用も超音波検査が2万前後、母体血清マーカーが3万前後、羊水検査が10万円程度、新型が21万円程度となっています。

最終的に、染色体異常などの確定判断をするのが、羊水検査になります。この羊水検査は、妊婦の腹部に針を差し込み、羊水を採取し検査を行うため、流産の危険が0.3%程度ある検査でもあります。

 

強い染色体異常の疑いを見つけるだけの非確定検査である母体血清マーカーと出産前診断の違いはどんなものなのでしょうか?
どちらも妊婦から採取した血液を検査するということでは同じものです。

母体血清マーカーは、血液中のたんぱく質やホルモンの数値から染色体異常(18番21番)と開放性二分脊椎である確率を割り出していきます。
その際、確率は何分の1と示されます。

新しい出産前診断は、確率何分の1と言う示し方ではなく、陽性か陰性、この2つのどちらかで検査結果が示されます。
例えば、ダウン症の結果が陰性の場合99.9%以上ダウン症ではないということになります。
反対に陽性の場合、妊婦の年齢が低いほど、結果が正しい確率は下がり、例えば、35歳の妊婦の場合、陽性の100人中20人はダウン症でないと言う可能性が出てきます。

陰性の場合ならそのまま安心して出産することが出来ますが、陽性の場合、本当にダウン症なのかどうかの確定診断と呼ばれる羊水検査を受けます。
この羊水検査を必ず受けなければ、確定出来ませんが、流産を引き起こす可能性が0.3%あります。
まずは、出産前診断を受ける前にカウンセリングを受けるようにしましょう。

 

出産前診断は従来から行われているもので、母体血清マーカーと言う診断方法があります。
この母体血清マーカーも今回新しく施行される出産前診断と同じように血液を採取して検査を行うタイプのものです。

この検査は、血液中のαフェトプロテイン(胎児の肝細胞や卵黄嚢で産生される糖蛋白)と呼ばれているたんぱく質を測定します。
αフェトプロテインは妊娠周期で量が変化するため、平均値より高い場合、胎児の先天性異常あるいは、妊娠経過の異常を早期発見することが出来ます。

反対に平均値より低い場合は、妊娠中毒症または合併症を伴う妊娠が疑われるというものでもあります。

費用は大体2万から3万円前後ですので、同じ血液採取で検査する出産前診断に比べると10分の1で済むということになります。
ちなみに新型出産前診断の場合は、10ml中のDNAを分析し、ダウン症などの染色体異常を調べる検査ですので、費用も大体21万円前後と高額になっています。

 

出産前診断には、超音波検査と呼ばれるものがあります。
この出産前診断で行われる超音波検査と言うものはいったいどのような方法で行われる検査なのでしょうか?

まず、超音波検査と言うのは、人間の耳には聞こえない高い振動数を持っている音波を発生させることによって、体内の様子を観察することを指します。

この超音波検査を行うことにより、胎児の形状異常は、もちろん、子宮、卵巣、卵管などの大きさを観察することが出来ます。

この検査でわかることは、子宮内の胎嚢、胎児の状態や異常の有無、双胎妊娠の確認、胞状奇胎の有無、切迫流産などの予想など妊婦の体内及び胎児の様子といったことがある程度わかります。

そして、胎児の異常と言った点では首の後ろにある「NT」と呼ばれる浮腫の厚みを測定することが出来ます。
この厚みが厚いほどダウン症の可能性が高いとされています。

ただ、この超音波で異常を調べる技術は非常にレベルが技術を要します。
超音波の技術のレベルが高い医師やカウンセリングをしっかりしてもらえる専門外来で、出産前診断を受診するようにしましょう。

 

出産前診断を受診し、もし、染色体異常が強く出た場合、最終的に判断を行う検査として、羊水検査と言うものがあります。
この出産前診断で確定診断となる羊水検査はどのような方法で行われるものなのでしょうか?

妊娠14週から16週の妊婦から羊水を採取し、羊水細胞を培養後、染色体分析、酵素活性の測定、DNA診断を行うもしくは羊水中の物質を測定して検査する方法です。
特にこの羊水検査を行うものとして、染色体分析になり約95%以上行われています。

ただ、この羊水検査を行う場合、羊水検査の後、4週間以内に200人に1人の割合で流産の可能性が高いとも言われています。
しかし、染色体異常の場合、非常に小さな部分の欠失やモザイクなどを除きわかる検査でも出産前診断で陰性となった場合は受けましょう。

特にダウン症の場合は、例外として、モザイク型ダウン症については判断が難しいと言われていますが、100%に近い確率で異常であるかないかがわかります。

この羊水検査を35歳以上の妊婦が全て受けているわけではなく、約90%以上の人は受けていないのが現状です。

 

従来の出産前診断の中に絨毛検査と言うものがあります。
この絨毛検査は妊娠9週目から11週の間と言う限られた期間ですが、受けることが出来ます。

検査方法は、膣から胎児の絨毛と呼ばれる組織を採取し、その組織をさらに培養することで、胎児のDNAを抽出することが出来ます。
そのDNAを分析することで染色体や遺伝子の異常を見つけるといった方法になります。

しかし、この出産前診断の絨毛検査は、超音波検査を行いながら子宮頚部にカテーテルもしくは針を挿入しますので、流産のリスクが高く、出血や腹痛、羊水の流出などの可能性も出てきます。
また、針が子宮内の胎児触れるといった危険性も少なからずあり、胎児奇形発生誘因とも言われています。

ただ、この絨毛検査も羊水検査と同様、確定的な診断が可能で、擬陽性率1~2%、偽陰性率2%と言われています。
この検査費用は、15万円前後、全額自己負担で、検査結果は約2週間後に出てきます。

絨毛検査は羊水検査よりも早く異常がわかると言ったメリットがありますが、流産や四肢切断の奇形などのデメリットもあるということをよく理解して出産前診断を受けるようにしましょう。

 

2013年4月から導入されることになった新型出産前診断の目的として、高齢出産をしようと考えている人のリスクを少しでも軽減するとされています。

しかし、現状として、出産前診断を行うと、高齢出産の場合、染色体異常と出る可能性が高いとも言われています。
では、なぜ、高齢出産の場合はこの染色体異常が出やすいのでしょうか?

理由として挙げられているのは、男性の精子は常に精巣で新しく作られているのですが、女性の卵子は、生まれながら卵巣の中にあり、1個1個ピストン状態で子宮内に出て行くというものです。
ですから、女性が35歳の場合、35年間卵巣の中に卵子があるわけです。

その35年間の間、環境の変化による環境汚染、食物添加物が多く入った食品を食べるなど、様々な要因により卵子の染色体に異常が発生する可能性があるということです。

しかし、男性の年齢が高い場合も胎児の染色体異常が増えると言う結果も出ています。

例えば、男性も20代に比べて50代の場合だと約3.2倍の確率で染色体異常が見られ、高齢出産の場合、男性の精子にも異常があるということになります。
この場合でも出産前診断を受ける必要があるかもしれませんね。

 

出産前診断が本格的に実施されるようになりましたね。
この出産前診断は、妊婦からの採血だけで、染色体異常の有無を高い精度で検査すると言ったもので、妊婦や胎児へのリスクも少ないということで、検診を受ける妊婦も増えてきています。

特に高齢出産を控え、高齢に伴い、染色体異常の子供が出来やすいと言う不安があるため、出産前診断を受診される妊婦のほとんどは高齢、35歳以上の妊婦と言う報告がされています。

ただ、この出産前診断で陰性と言う判定が出たために確定診断である羊水検査を受けたところ、陽性反応ではなく、陰性反応が出たというケースもわかってきています。

つまり、異常の可能性が強く出た場合、必ずしもその結果が正しいものではないということです。
陽性反応が出たから、すぐに、その子の未来を消すと言う考えを持たずに、遺伝カウンセリングの際に説明があった確定検査である羊水検査を受けるようにしましょう。

確かにその分、費用などがかさむかもしれませんが、万が一、何も異常がない子供だったら、安心して産むことができるのではないでしょうか?

このように判断結果が変ってくるということも理解しておくことが必要です。

 

2012年の夏の朝刊の記事を見て出産を決意した女性もいます。

今までの出生前診断はお腹に針を刺し、注射器で羊水を20ml程抜き、胎児に染色体異常がないかどうかを調べる「羊水検査」が主流でした。
この検査は子宮に針を刺すことで、0.3%の確率で流産が起こります。

これまでまで染色体疾患を確実に知るための出生前診断は、この「羊水検査」か胎盤の組織をとって調べる「柔毛検査」しかありませんでした。

しかし、「母体の血液だけで、染色体疾患が99%分かる」という検査がアメリカで開発されたのです。
そしてそれが日本でも受け入れられるようになる、そんな記事が2012年に掲載されたです。

高齢で子供を産むことを諦めた女性の中には、この新しい出生前診断に勇気づけられ、妊娠をした方も数多くいらっしゃいます。
30万円程度でこの診断を受け、陰性で安心して子供を産めた方が確かにいます。
もしも陽性だった場合、子供は中絶するつもりで受ける方もいらっしゃいます。

逆に出生前診断でダウン症が分かっても、出産する方もいます。
事前にダウン症が分かったことで、出産後の心配ごとにそなえることもできるのです。

夫婦によって望んでいる生き方は違います。
血液検査だけで高精度に分かる出生前診断があるのに、ダウン症かどうかは知るべきじゃない、というのは人によっては理解できないのかもしれません。

この新しい出生前診断は「新型出生前診断NIPT」と名付けられました。
日本語で「無侵襲的出生遺伝学的検査(non-invasive prenatal genetic testing)」「母体血セルフリー胎児DNA検査」とも呼ばれます。
この検査は母体血に胎児の細胞が混じるという事実を応用したものです。
母体血に混じった胎盤のDNA断片の塩基配列、生命の設計図を新型シーケンサーで解析するのです。

この新型シーケンサーは、1990年代に始まった「ヒトゲノム計画」で人間のDNAを解読するのに10年かかったものを、わずか2日で行えてしまうという優れ物です。

DNAは普段はほどけたひもの状態で核の中を漂っていますが、細胞分裂の際は23本の棒に姿を変えます。
これが「染色体」です。
通常DNAは両親から1本ずつもらうので、染色体はそれぞれ2本になります。
しかし、この構成が違ってしまい、例えば染色体の21番目が1本多くなると、「21トリソミー(ダウン症候群)」の子供が生まれます。

新型出生前診断NIPTはそのほんのわずかな染色体の差を解析し、高精度で陽性と陰性を判断できるのです。

 

新しい出生前診断であるNIPTは2013年4月頃から大いに注目を集め新聞やテレビはこぞってNIPTについて報道しました。
どちらかといえば、これらの報道はNIPTの普及により人工中絶を増やすとして、NIPTへの警戒を促す内容でしたが、メディアの露出が増えるごとにNIPTは世に知られることになり、検査を受けたがる人がかえって増える結果となりました。
NIPTを受けるためにはまず遺伝カウンセリングが必要ですが、この遺伝カウンセリングすら予約が取れないほど人気が集まります。実施施設も厳しい基準が設けられ、認可された施設は限られていました。
当時、とにかくNIPTは予約ができないという認識が常識でした。その後徐々にNIPTを実施できる施設は増えていき、2014年10月には48施設まで増えました。しかしそれでもまだ十分であるとはいえません。NIPTが受けられる施設が0という都道府県もあるのです。

気になるのがNIPTの精度です。
NIPTの正確さは羊水検査には劣ります。確定診断にはならないのです。あくまでも異常の可能性を探る検査であり、仮にNIPTで陽性となっても、その後羊水検査を再度実施しなくては、100%確実な精度は実現できません。
とはいえ35歳の方がNIPT陰性であった場合、実際にダウン症などでない確率は99.6%を超えますので、かなり信頼できる診断であるといえます。

NIPTはその他の確定診断ではない出生前診断クアトロテストやコンバインド・テストよりも断トツで高い精度を誇るのです。陰性的中率でみれば、ほぼ確定診断ともいえます。

 

NIPTは海外でも大きな反響を呼びました。日本国内でNIPTが検査できる疾患はダウン症、18トリトミー、13トリトミーの3種類に限られています。
しかしこのNIPT、これから先もっと幅広く活用される可能性があります。実際に日本では認可されていないNIPTによる「性染色体」や「微小欠失」を調べる検査がアメリカでは行われています。

事実、世界中の様々な会社がNIPTの開発にしのぎを削っています。中でも特にリードしているのがアメリカのベンチャー企業でしょう。シーケノム社の「マタニティプラス」、ナテラ社の「パノラマ」、イルミナ社の「ヴェリファイ」など検査原理が異なる商品が数多く開発され、医師も注目しています。これらの会社のホームページを見てみるとNIPTが日々リアルタイムで進化しているのが分かります。これらのアメリカ企業は互いに競争することで、コンマ以下の精度の高さを争っています。陽性的中率たった2%の母体血清マーカー検査が20年間以上一定数行われている日本とは世界が違うのです。
そしてこれらのアメリカ企業が営業にも力を入れ、日本にもNIPTが入ってきたのです。それが2013年の出来事です。

NIPT以外にも注目されている出生前診断があります。それが「保因者スクリーニング検査」です。保因者スクリーニング検査は、現在知られている劣性遺伝子約1300種類のうち、比較的劣性遺伝病が起こりやすいものをピックアップし、夫婦で妊娠前に検査するものです。
私たちは誰でも遺伝子疾患を引き起こす遺伝子をいくつも持っています。この遺伝子のエラーは親から子に50%の確率で遺伝します。
しかし遺伝したとしても、ほとんどが劣性遺伝子のため、例え遺伝子エラーの「保因者」となっても、健康上の問題はほとんど起こりません。問題が起きるのは同じ遺伝子エラーを持った両親から子供が生まれた場合です。この場合25%の確率で子供が遺伝性疾患を発病してしまいます。

可能性こそ少ないが、そういった遺伝性疾患が起きないか事前に調べるのが保因者スクリーニング検査です。出生前診断は胎児だけを調べるものではなくなりました。事前に親を調べることでリスクが分かるようになったのです。

日本ではまだ認可されていない海外の出生前診断は数多くあります。
しかしどれも時間の問題で、いずれ日本でも浸透していく流れは止められないでしょう。

 

胎児超音波検査専門のクリニックで精密な超音波検査「妊娠初期超音波検査(first trimester scan)」を受ける方が増えています。
日本では「胎児ドック」とも呼ばれています。
世間で騒がれているNIPTはではなく、この妊娠初期超音波検査を選ぶメリットはなんでしょうか。
そのメリットとはNIPTは、ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーという3つの先天性疾患しかわからないが、妊娠初期超音波検査なら他の疾患も分かること。

実はこの3つは先天性疾患のほんの一部なのです。
そもそも胎児の先天性疾患は、染色体異常で起きるものだけではありません。
感染症によるものなどさまざまな種類があります。
さらに言えば原因不明のものもあります。
割合で言えば染色体疾患は、先天性疾患全体の約4分の1なのです。
日本産婦人科医会の先天異常モニタリング登録を見れば、ダウン症候群は先天性疾患のごく一部だと分かります。

超音波検査を行えば、消化管の閉鎖、水頭症は簡単に発見できます。
さらに精密超音波検査なら、心疾患、臍帯ヘルニア、横隔膜ヘルニアも簡単に見つかります。
染色体疾患とこれらの疾患は合併していることもあるので、両方を発見する可能性があるのです。
様々な先天性疾患を調べることができるのが大きなメリット。
現在、情報量で超音波検査を超える検査はないと言えるでしょう。

 

出産前診断にかかる費用は、保険が適用されていないため、全て自費になってしまいます。
例えば、出産前診断を受けて羊水検査をしなければならなくなった場合、21万円プラス10万円前後必要になってくる計算になります。

ただ、仮に生まれてきた子供が障害を持っていた場合は、公的扶助が受けられることになっています。
ここで少しだけ公的扶助について説明します。

まず、療育手帳がもらえますが、18歳未満の場合は児童相談所、18歳以上の場合は知的障害者更生相談所の判断によって支給されるかどうか判断されます。
この療育手帳は、特別児童扶養手当、心身障害者扶養手当、公営住宅などに引っ越す場合の優先入居、旅客鉄道㈱の運賃割引きが受けられることになっています。

重度心身障害者医療助成もありますが、この場合は、保険診療にかかる自己負担分を助成するもので、助成されるには条件があります。

また、特別児童扶養手当は、心身障害を持った20歳未満の子供を養育している親や養育者に支給されるもので、療育手帳を持っている場合が対象になっています。

他にも福祉サービスなどを受けることができるのため、安心して出産前診断を受けるようにしましょう。

 

出産前診断が実施することが出来る医療機関の条件と言うのがあります。
まず、この新しい出産前診断は、従来の診断方法よりもより正確に染色体異常の判定が高いとされている上、妊婦や胎児にあまりリスクがかからない、血液採取のみと言う方法での判断のため受診される妊婦が多くなると言うこともあり、条件もかなり厳しくなっています。

特に出産前診断の診断結果によっては、命の選択と言う指摘もあるため、妊婦に対して、十分な知識や情報を提供出来ることが先決で、診断前後に十分なカウンセリングが出来る施設かどうかが認定基準の優先順位とされています。

また、その他に遺伝に対する専門医の資格を持つ産婦人科あるいは、小児科の専門医師がいることや、専門外来の設置なども施設認定の条件に含まれています。

ただ、この遺伝子カウンセリングは、公的医療保険対象外となり、1時間あたり5,000円から10,000円程度かかる場合もあります。
その上、遺伝子カウンセラーの人数も現在では140人程度しかいないというのが現状で、カウンセリングの内容にも違いがある可能性があります。

 

新しい出産前診断を受けることが出来る医療機関は以下の22施設に2013年5月現在となっています。

北海道大学、札幌医大病院、岩手医大、宮城県立こども病院、新潟大学、国立生育医療研究センター。
昭和大学、東京女子医大、埼玉医大、埼玉医大学病院、横浜市立大学、名古屋市立大学、藤田保健衛生大学。
大阪大学、兵庫医大、兵庫医大病院、神戸大学病院、愛媛大学、徳島大学、福岡大学病院、国立病院機構九州医療センター、長崎大学。

上記の医療機関において出産前診断を受けることが出来ますが、大学病院などの中には、妊婦検診をしている医療施設からの紹介があった場合のみ診断をするといったところもあり、個人での直接予約は受け付けない場合があります。

もし、近くの医療機関で、出産前診断をと考えている場合、カウンセリングなどを受けることになります。
まずは、どのようなものが必要なのか、自分は受診できるのかどうかなど、事前に最寄の医療機関に問い合わせてから、受診するようにしましょう。

 

染色体異常の有無を高い確率で検査が出来ると言われている出産前診断ですが、尊い命の選択と言うせっかく授かった待望の赤ちゃんの将来を決める診断でもあります。

この出産前診断における日本産婦人科学会の指針を簡単に説明すると、
①血液採取だけの検査のためダウン症などの染色体異常の子供の未来を消してしまう可能性がある。
②対象の妊婦は染色体異常のある子供を出産した経験がある妊婦と高齢妊娠などの場合。
③専門医師は安易にこの新型出産前診断を勧めてはいけないとされています。

特に生まれてくる子供に染色体異常の恐れがある場合に限り、遺伝子カウンセリングが出来る認定医療機関で実施することとなっています。

この出産前診断を受けようと考えている妊婦へのカウンセリングが最も重要なポイントとなり、お腹の中の胎児に異常があるとわかった時、産む場合も中絶する場合も決断する期間が短いため、重く辛い選択に直面する妊婦やその家族に対して納得のいく説明が出来るかどうかが問題かもしれません。

 

高齢出産や第一子が何らかの障害を持って生まれてきたと言う妊婦にとっては、出産への不安はもちろんあると共に染色体異常の可能性と言う新たな不安を抱えているのではないでしょうか?

出産前診断と言うのは、採血だけの検査なので、妊婦への負担が少なく、簡単に出来ると言うことだけで、何の知識も情報もない妊婦が安易に受診する可能性が高いものでもあります。

特に新しい出産前診断を受ける前には、必ず、遺伝子相談(カウンセリング)を受けることが条件になっています。
その後、採血に進み、検査結果が出て来ます。
再度、陽性反応が出た場合再度このカウンセリングを受け、羊水検査を受けるかどうか等の判断をするということになります。

軽い気持ちでこの出産前診断を受けることだけは絶対に避けてもらいたい。
この検査は、お腹の中の胎児の未来だけではなく、自分たちの将来にも左右する重い結果が出る可能性もあるのですから、よくカウンセラーと相談した上で、本当にこの検査が必要だと思っている人だけが受けるべきかもしれません。

 

出産前診断に必要とされているカウンセリングですが、施行されて1ヶ月経った5月の報告では、カウンセリングを受けた時間にばらつきがあったと言うことが言われています。

カウンセリングに要する時間は、20分未満、20分から30分、30分から1時間が、それぞれ30%を占めていたそうです。
やはり、妊婦自体が事前に情報を収集している知識や認識、抱える不安要素、家庭環境などが違うために、カウンセリングにかける時間も変ってくるのかもしれません。

でも、1番重要なのは、出産前診断でわかる染色体異常反応が陽性だった場合の心構え等を、正確に説明しておかなければいけないということになります。

ただ、出産前診断のカウンセリングについてのアンケートでは、提供された情報量は十分だったと97%の妊婦さんが、答えているので安心できますが、今後、あやふやなカウンセリングをされてしまったり、想定外の人数の多さで、カウンセリング自体がおろそかになってしまっては、何の意味もないわけですから、個々の状況に合わせたカウンセリングを是非ともしていただきたいものです。

 

出産前診断を受ける前に遺伝カウンセラーによるカウンセリングを必ず受けるようにしましょう。

この遺伝カウンセラーは、出産前診断を受ける前、受けた後、遺伝子検査で明らかになる疾患や療育上必要な社会福祉関係の情報を提供し、あらゆる面でメンタルケアを行う役目を担っている医療スタッフでもあります。

遺伝子の変化や染色体の変化と言うのは、誰しもがいくつか持っているとも言われています。

先天性心疾患や口唇口蓋裂、神経・筋疾患、内分泌異常等、新生児に認められる形態的、先天異常は、約新生児の5%から6%(軽度のものを含め)を占めていて、1歳までの乳児の原因とも言われています。

このような遺伝子の異常、染色体異常があった場合、どのような病気を持って生まれてくるのか、あるいは、今、お腹の中では、どんな状態なのか等専門的に説明し、当事者である妊婦そして家族に理解を得て診断を受けるようにすすめ、問題が万が一起こった場合その問題に対する解決策を援助し、心理的なメンタルケアを行うといった内容を説明するのが、この出産前診断のカウンセリングでもあるのです。

 

血液検査だけで染色体異常が早期発見できる新型出産前診断を受けてから、診断結果が出る2週間と言うものはどんな気持ちなのでしょう?

「自らの意志で出産前診断を受診したけど、やはり、ダウン症の子供が出来ていたらどうしよう」と、ひたすら最悪の場合を考えていた妊婦が多いはずです。
しかし、自ら選択して受診しようと考えた人の場合は、それまでに色々と情報を得ている場合が多いため、最初は不安ばかり募っていても、徐々にその不安よりも「どういう風に育てればいいのか」と言う心境の変化が見られたと報告されています。

でも、夫の協力や励まし、優しい言葉さえひとことあれば、出産前診断結果を待っている妻は安心するのではないでしょうか?
「自分たちの子供」どんな障害を持っていようが、自分たちの子供には間違いないのです。

ただ「本当に生まれてきた子供は、将来、幸せなのか」と聞かれた場合、答えることが出来ないと言う矛盾があるのも事実かもしれません。
しかし、この結果が出るまでの2週間と言うのは、ダウン症などの病気を真正面から見つめ治すいい機会かもしれません。
それだけ、出産前診断後のこの期間が大事だということになります。

 

出産前診断を受けたくても受けれない人がたくさんいるのではないでしょうか?
それにはいくつか理由があります。

まず、この出産前診断を受けるには、
保険適用外のため20万円以上の高額な検査代を自費で支払わないといけないということです。
経済的にある程度余裕がなければこの診断を受けることが出来ないため、高齢妊娠で毎日不安と戦っている妊婦であっても受けることを諦めるしかないということになります。

その次に35歳以上の妊婦であることと言う年齢制限があり、自分の身内に何らかの遺伝子的要因で障害を持っている人がいて、万が一、自分の子供もと考えている場合でも出産前診断を受けることが出来ないと言うことです。
確かに35歳以上になると染色体異常の子供が生まれる確率は高くなっています。

しかし、35歳未満でも染色体異常の子供が生まれる確率は、ゼロではありません。
中には、受けたいと思っている若い妊婦もいるはずです。
年齢制限なく全ての妊婦が受けられる体制での出産前診断となればもっと受診する妊婦が増えるはずです。

 

体外受精で妊娠した女性はやっとの思いで授かったのだから産みたい気持ちが通常よりも強い傾向があります。
そして不妊治療をしたからこそ出生前診断を強く望む方も多いです。

体外受精を受ける人は、受精卵を顕微鏡写真で見ては喜び、その後にそれが消えてしまい悲むという辛い経験を重ねることが珍しくありません。
その後妊娠しても流産の不安が続き、出生前診断で陰性が出てようやく安心するというケースがよくあります。

体外受精を繰り返してきた方こそ「不妊治療と出生前診断は切っても切れない関係」だと感じているのです。
それはなぜでしょうか。

実は、体外受精で出来た受精卵は形の良さと、細胞分裂の早さでグレードを5段階に分けられます。
受精卵を命と考えれば、命の選別だと非難なれることもあります。

しかしグレードが低い受精卵は子宮に戻しても妊娠に至る確率が低いのも事実です。

胚移植は失敗すれば高齢妊娠では貴重な時間の大きなロスになります。
さらに約15万円の費用も無駄になってしまいます。
つまり時間と金銭的なロスを避けるため、体外受精ではグレードが大切になるのです。

医療に頼らないと妊娠できないという現実をつきつけられた上、受精卵の細胞分裂が止まってしまう辛い経験を何度もすると、母親の体は不安に苛まれます。
そして自分の身体に自信をなくしてしまい、毎日不安を感じる方も多くいます。妊娠してからも戦いなのです。

高齢出産だからこそ、出生前診断を受けて少しでも不安を減らす。
不妊治療と出生前診断が切れない関係というのは、そういうことです。

 

高齢出産を控える妊婦の血液だけで胎児の染色体異常が、99%わかると言われている出産前診断がスタートして、1ヶ月経った5月の報告がすでに出ています。

その内容と言うのが、15施設で441件もの妊婦が診断を受けていて、それでも出産前診断が出来る施設に限りがあるため本当ならもっと受診していた可能性がありますが、結果は、441件中257件で、そのうち陽性反応が出たのが9件(3.5%)あったと報告されています。
ちなみに妊婦の平均年齢は、38.5歳とやはり高齢出産を希望している妊婦がほとんどだったともいえます。

陽性反応が出た9件のうち羊水検査を受けて確定判断で、ダウン症と確定されたのが6件(2.3%)、18トリソミーが3人と言う結果が報告されています。

また、出産前診断を受けた理由として、高齢出産が91%、ほかの検査結果で異常の可能性があったためが8%です。
そして、妊娠週数は平均13.7週で3ヶ月前後で受診しています。

気になることは、高齢出産を希望している妊婦の40%が、不妊治療しているということになり、それだけ、高齢出産と共に不妊治療を受けているとリスクが高いと言う結果です。

 

妊娠中期に入ってから、出生前診断で胎児に異常があることが分かる場合もあります。
出生前診断の結果で、中絶を決意する場合もあるかもしれません。

妊娠12週0日以降に人工的に中絶する手術を中期中絶といいます。
「手術」と言いましたが、実際には手術というより、早すぎるこの段階で産みおろしてしまう方法です。
人工的に陣痛を起こすのですが、この陣痛の訪れが早ければ1日で終わりますし、なかなか訪れなければ何日でも待たなければならないことになります。
要するに強制的な出産なので、術後も普通のお産と同じ経過をたどります。

中期中絶に伴うリスクは、初期のそれよりずっと大きくなります。
子宮頚管の裂傷、破裂、子宮の収縮不全による多量出血などの他に、今後の妊娠への影響も含まれます。
場合によっては不妊症になってしまうことさえあり、そうなってからやっと命の大切さに気づいても遅いのです。
それで出生前診断の結果については、良く考える必要があるでしょう。

 

以前から出産前診断は行われていましたが、新型出産前診断が試行されるようになった現在、血液検査だけで、染色体異常があるか、ないかを診断し陰性の場合はそのまま出産を迎えます。
しかし、陽性の場合、強い染色体異常がみられると言う結果通知が送られてきた場合、さらに行って確定診断を受診する前にお腹の中で育っている胎児の命を消す可能性が増加していくのではないでしょうか?

以前から行われている出産前診断のエコー検査の結果だけでも出産に不安を感じて中絶する妊婦も増えていると報告されています。
それに輪をかけるように出産前診断結果によっては、中絶を選択する人が間違いなく増えてきます。

でも、このエコー検査と言うのは、胎児の形態に異常がないかどうかを調べます。
そして、異常があるなと判断を下した時、羊水検査をすすめ確定検査をするのですから、このエコー検査による特にNT測定は熟練の医師にみてもらうことが、重要になってきます。

出産前診断の結果だけで、安易に尊い命を消してしまわないようにしましょう。

 

出生前診断を受け、結果胎児に異常があることが分かった場合、中絶に踏み切る人も少なくありません。
勿論大抵の人は中絶という決断を下すまでに悩みぬいた、苦渋の決断だろうと思います。
だからこそ、覚悟を決めて出生前診断を受けたのでしょうからね。

ただ、中絶の前に是非とも考慮して欲しいのは、中絶に伴うリスク、
れも不妊症に繋がるかもしれないというリスクです。
勿論今の医学では正しく手術が行われれば、不妊症になる可能性は低いです。
しかし中絶経験のない人と比べれば可能性が高いのも事実。
中絶とは人工的に子宮内の胎児を取り出すことですから、子宮に負担をかけ、
子宮壁に傷をつけたり炎症を起こしてしまったり、またその炎症が原因で卵管が詰まってしまったりといった可能性があるのです。

不妊症になってしまうと、後悔しても遅すぎます。
事実、流産経験のある人の中には、出生前診断で胎児に異常があると告げられても産みたいと強く願う人がいます。
命を宿すとは、それほど奇跡的で貴重なことなのです。

 

出生前診断で子供に異常はないと分かれば、安心して出産に臨むことができますが、
逆に出生前診断で辛い結果を聞くことになった場合、中絶という決断を下す人も少なくありません。
しかし中絶には様々なリスクが伴います。
ここでは身体的なリスクについて触れてみたいと思います。

初期中絶の場合、胎児を掻き出すために先の細長い金属器具を使います。
これが子宮に孔を開けてしまうことがあり、これを「子宮穿孔」と呼びます。
本来ならその程度で孔が開くことはないのですが、妊娠中の子宮は通常より柔らかくなっているので、
こういった事故が起こりやすいのです。
子宮穿孔が大きな孔だと、出血が多くなるので開腹して縫合手術をする必要があります。

また掻き出すときに子宮の筋肉の内側を削ることになるため、中絶を繰り返すと子宮が荒れ、
癒着を起こすことがあります。
これを「アッシャーマン症候群」と言い、不妊症の原因となっています。

他にも子宮内感染や子宮破裂など、様々な身体的なリスクがあります。
こういった面からも、中絶については慎重でなければなりません。
出生前診断の結果がどうであれ、産むことに決めているという意志の強い人もいらっしゃるようです。

 

出生前診断を受ける人は皆、お腹の赤ちゃんが無事に元気な姿で生まれてくることを願っていることでしょう。
だからこそ、安心したいために出生前診断を受けるわけです。
ですから赤ちゃんに異常があると判断された時には本当に辛い思いをします。
苦渋の決断として、中絶を選択することもあるかもしれません。
しかし中絶にはリスクが伴います。
身体的なリスクもそうですが、それ以上に精神的なリスクが大きく、長年に亘って苦しむ人は少なくありません。

PTSDは辛い経験をした後にいつまでも残ってしまう心の傷ですが、中絶が原因で起こるPTSDを特に「PAS(中絶後遺症候群)」と呼びます。
PASに繋がるのは子供を失ったというストレスや子供を殺してしまったという罪悪感、パートナーとの間に入る亀裂など様々です。

PASの症状としては、中絶手術と似た状況になった時に起こる生理的な反応(脈拍が上がるなど)や怒りを爆発させること、
過剰警戒、睡眠障害といった「過剰反応」が挙げられます。
また中絶時の様子がフラッシュバックとなって現れたりその夢を見たり、
中絶した日になると強烈な悲しみを感じたりうつ状態になったりする「侵害行為」、
更には無意識にPTSDを避けようとして感情を麻痺させたり行動パターンを変化させたりする「抑圧」などもあります。

このような精神的な傷は、身体的なものよりやっかいです。
出生前診断を受ける時には、結果によってどう行動するか、
またそれがどのような結果になるかまできちんと考える必要があるでしょう。

 

新出生前診断は、妊娠初期の段階から受けることができます。
この出生前診断で早めに安心できれば良いのですが、逆に思わしくない結果が出てしまう場合、初期の段階で中絶を選択する人もいます。

初期中絶とは11週6日までに行う中絶手術です。
手術では静脈麻酔をかけてから機械的に子宮の中から胎児を掻き出します。
またこれまで出産経験のない人の場合、手術に先立って子宮頚管を広げる必要があります。

費用は8~12万円で病院によってかなり開きがあります。
基本的には妊娠初期の中でも更に初期の段階ならやや安価になり、中期間近になると費用も高くなります。

中絶できる期間の中でも、初期は体への負担が軽く、その為出生前診断も早めに受けたいという人もいます。
しかし例え初期だろうと中絶には危険が伴います。
例えば麻酔によるアレルギーや子宮内感染、子宮に穴が開く子宮穿孔といったリスクです。
加えて中絶自体、自分では思っていなかった程の心の傷を抱えることにもなりかねません。
例え初期であったとしても、簡単に決断すべきことではないでしょう。

 

出産前と言うのは、夫婦、特に妊婦にとっては、ちゃんと五体満足に生まれてくるかどうか、毎日不安でたまらないと言う人もいるはずです。

この春から、本格的に出産前に染色体に異常があるかどうかがわかる出産前診断が出来るようになりました。
出産前診断を希望して受けた夫婦の感想として「やはり、お腹が大きくなるにつれて、限られた障害しかわからないけど不安だった。」
「陽性だったら中絶をも考えていた」「大丈夫だと確信していたけど検査を受けたかった。」
「検査結果がどうあれ、生むつもりだけど早く知りたかった。」と言うのが、やはり、出産を目の前にしているご夫婦の本音かも知れません。

ただ、この出産前診断は、血液検査でダウン症などの染色体異常がわかるだけで、その他の先天性の病気と言うのはまだわからないというのが現状です。

染色体異常だけでもわかるのは、不安要素が1つ消えることになり、妊婦にとってはいいことかもしれません。
しかし、性別がわかるのと同じようにどんな赤ちゃんが生まれてくるのかわからない方が喜びもひとしおかもしれません。

 

・44才女性
「11週の妊娠検診を受けた時、エコー検査で染色異常の可能性があると告げられました。
出生前診断でより詳しく調べることができるので、受けるかどうか家族でよく話し合うようにとのこと。
でも私の気持ちとしては、例え障害があっても生まれてくるのであれば迎えたいという気持ちが強かったんです。
というのも、それ以前に私には既に何回かの流産経験があったから。
生まれてくるということが、どれほど奇跡的なことなのかが身にしみて分かっていたからなんです。
夫に相談したところ、彼も同じ意見でした。
小学3年生の長男には、「生まれてくる子は一緒に遊んだり長生きできないかもしれない」と説明しましたが、
長男は少し考えてから「それでも兄弟がいた方が良い」と言ってくれました。
それで結局出生前診断は受けないことにしたんです。

それからは障害を抱えた子を受け入れるためにできることを色々考えました。
結局生まれてきた子は元気な女の子。
本当に嬉しかったです。
私たちの場合、出生前診断を受けませんでしたが、
エコーよりも確実な診断が下せるという意味では確かに価値はあるかと思います。」

 

・40才女性
「高齢出産の場合、染色体異常の可能性が高くなると産院で説明を受け、不安になりました。
この年齢での妊娠ですから、出産までにはできるだけ気持ちを穏やかにして過ごしたかったので、出生前診断について考えてみることにしました。
ネットで調べてみると、出生前診断についてモラル面で様々な意見があるようで、検査を受けるという決定を下した私には胸の痛むものが多かったです。
また実際に検査から結果までの4週間は、長くて辛い時期でした。

結果は、異常なし。
本当にほっとしましたし、それ以降妊娠期間中を心穏やかに過ごすことができました。
結局、出生前診断を受けてよかったと思います。
これは結果的に良かったからではなく、今後の自分たちの将来設計についてパートナーとじっくり話し合う機会になったからです。
もし、結果が辛いものだったなら、その時自分はどう判断していたかは、生まれてきた子を抱いている今でも分かりません。
でも出生前診断は決して前面否定するべきものではないと私は思っています。」

 

・39才女性
「今三人目を妊娠中です。
今回出生前診断を受けることにしました。
というのも、私には障害を抱えた次女がいます。
次女は妊婦検診では「順調」と言われていたのに、実際に生まれてみると呼吸がうまくできず口からミルクも飲めない染色体異常だったんです。
退院後もすぐに風邪をこじらせては入退院を繰り返すばかりで、「可愛い」と思うよりは「可哀相」という気持ちの方がずっと強かったんです。

次女が1歳になった頃、ある先生が「この染色体異常は流産になる確率が高いのに、この子は生まれてくる力を持っていたんですね」と言って下さった時、
初めて次女を受け入れる気持ちになりました。
今では次女が生まれてきてくれて本当に良かったと思っています。

出生前診断には賛否両論がありますが、それでももし今、お腹の子に同じ障害があると分かれば、産むことはやはり難しいと思います。
結局、今回の出生前診断の結果としては、異常なし。
障害を抱えている次女の為にも、三人目を生むことができると分かって本当に良かったと思っています。」

 

・36才女性
「出生前診断については、ネットなどで調べてみても賛否両論のようで色んな意見がありますが、
私の場合、ダウン症など染色体異常について多少の知識があったので、最初から受けたいと思っていました。
夫とも話し合って、例え出生前診断でどんな結果が出たとしても産むと決め、検査しました。
結果を待つ間も、もし染色体異常であったとしたなら、親としてどんなことをしてやれるか色々考えましたし、どんなことでもしてあげようと決意していました。
結局検査の結果は異常なしで、安心して出産に臨むことができました。」

・26才女性
「先生からは『年齢的にまだ出生前診断の必要性は少ない』と言われましたし、
検査料金もかなり高額だったので受けるかどうか迷いました。
でも検査結果を見て安心して妊娠生活を送れるのであればそれだけの価値があると考え、受けることにしました。
結果は異常なし。
きちんと数字を見て異常がないことを確認できるので、安心料と考えるなら受けておいて損はないと思います。」

 

・39才女性
「この年齢での出産は不安だったので、大きな病院で出産することにしました。
そこで産婦人科の先生から、高齢出産のリスクについて、また出生前診断という選択について詳しく説明を受け、お腹の赤ちゃんのことが不安になってきました。
しかし先生の説明にもあったように、検査結果が出た後、辛い事実を突きつけられた場合のことも考え、受けるかどうかはよく考える必要があります。
私の場合、結局出生前診断は受けないことにしました。 結果的には問題なく我が子を出産できたので、ほっとしています。」

・34才女性
「私には介護を必要とする親がいますので、その上ダウン症など障害を持った子供が生まれたらとてもじゃないけど手が回らないだろうと重い、出生前診断を受けました。
可哀相とは思いつつも、結果によっては堕胎も視野に入れての検査でしたが、
結果を待つ間は本当に不安で、お腹の子に『きっと大丈夫だよね』と話しかけ、自分にも言い聞かせて過ごしました。」

 

第3子を38歳で出産した方の体験談です。

「勇気が無いと出生前診断を受けることはできません」
そう話すAさんは、通常の妊婦健診以外の出生前診断を受けようとは思っていませんでした。

事実、3人目の出産でも染色体異常の確率が減ることはありません。
「検査を受けたら、陽性が出た場合結論を迫られます。
つまり、中絶するか、産むか。
私みたいに決められない人は、結局、受けないんだと思います。

高齢出産なので、出生前診断は気になりました。
でも、出生前診断を受けたところで、陽性が出た場合、産む決心もできず、かといって中絶する勇気も出ない気がしたんです。
情けないですよね。
そんな自分が嫌になりそうだったので、もう検査のことは忘れることにしました」

Aさんは、染色体疾患のある子どもが生まれても、受け止められる自分でありたいという気持ちもあったといいます。
「もし障害のある赤ちゃんが生まれてきても、なんとかなると思うんです。
実際に障害のある子供を育てている人が聞いたら、それは甘い考えだと言われるかもしれません。
私には想像できない苦労がたくさんあると思います。

でも、生まれてさえくれれば、もうどっちにするか決断しなくていいのです。
私にとっては、決めなくてすむことが一番でした。

ちなみにAさんは夫に出生前診断を受けるかどうか聞かれたこともあるといいます。
夫から「検査、受けるの?」と聞かれたそうです。

Aさんの口をついて出た言葉は「受けないよ」でした。
すると夫も「そうか」とだけ答えて、話は終わったそうです。

結局、2人とも受けたくなかったのかもしれません。
「出生前診断を受けるかどうかは、よく考えて決めましょう」と言われます。

でもこのAさんの体験談を聞くと、「考えない」という手もありだとと思います。

 

どんなに出生前診断について事前に調べて、こうしようと決めていても、いざ妊娠したら、それまでとは全然違う気持ちになる女性は多いです。
妊娠前は必ず検査を受けようと決めていても、妊娠したら受けたくなくなり、結局受けなかった人もいます。

受けたいと思いつつも検査することに違和感を感じ、いつの間にか検査できる期間が過ぎてしまったりするのです。
出生前診断はいつも賛成派、反対派が論戦を繰り広げています。

でもどうなのでしょうか。
白黒をハッキリ決められるものではないと思われます。

出生前診断への決断は、その人がそれまで見てきたこと、感じたことすべてを織り込んで下すものです。
周りがとやかく言うものではないと思います。

Cさんは40代後半で第2子を妊娠しました。
実はCさんは乳がんの治療を終えたばかりでした。
担当医師に妊娠がわかったときにすぐに相談し、出産しても大丈夫だと言われ、初めて妊娠に向き合うことができました。
妊娠中は女性ホルモンが増加し乳がんを悪化させることがあるからです。

「上の子の面倒をみつつ、がん再発も心配しなくてはいけませんでした。
出産すべきか悩みました。
悩んだ結果、辿り着いた結論が、元気な子なら産みたい。

元気な子どもを妊娠したなら自分にまだ生命力がある。それならがんとも闘える」とCさんは出生前診断を受ける決意をしました。

結果は陰性。

とても元気な女の子が産まれました。
「妊娠する前は私は人生に希望を持てていませんでした。この子が産まれて私は救われました。」
Cさんは今前向きな日々を送っています。

 

Tさんは体外受精を何年も続け、ようやく妊娠することができました。
しかしTさんの不妊治療は困難を極め、海外での治療も視野に入れるほどでした。

そんな中ようやく授かった赤ちゃん。
Tさんは天にも昇る気持ちでした。

しかし、そんなTさんに医師から告げられた残酷な言葉。
流産率80パーセント。
「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の値が正常値の半分しかないので極めて流産する可能性が高いです。」

Tさんは流産のショックに耐えられるよう、妊娠を喜ばないように努めました。
誰かに「おめでとう」と言われても、決して気をゆるしませんでした。
Tさんがそこまで頑ななのは、過去にも一度流産をしているからです。
そのときは大喜びしてしまったために精神的なショックが大きかったのです。

Tさんは、NIPTの結果が陰性と出るまで、妊娠を喜ばないと決めていました。
Tさんは2カ所で出生前診断を受けました。
妊娠初期超音波検査とNIPTを受けるためです。
そして妊娠初期超音波検査でもNIPTでも陰性の結果をもらった日、「本当に妊娠したんだ」と湧き上がる喜びを噛み締めました。

出生前診断でようやく妊娠を喜べるといったケースもあるのです。