心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣 [ 長谷部 誠 ]

とても読みやすい一冊でした。
サッカー日本代表のキャプテン、長谷部誠選手が書いた本です。
若干30歳、私より年下の長谷部選手がどんな心持でチームをまとめているのか知るため、

 

そして、朝礼のネタに困っていたため旬なネタ探しのために読みました

 

長谷部選手の実直な日本人リーダーらしい考え方が伝わってくる本です。
心を整える、というタイトルの意味はというと、
長谷部選手曰く、心は負荷を与えて鍛えるものというよりはむしろ、
「テニスでいうところのガット、ギターの絃」に近いもので、
適切なメンテナンスが大切という表現が印象に残りました。

 

心を整える具体的な方法として、

1日30分間何もしない時間を作る
一人温泉に出掛ける

などなど個性的なやり方が紹介されているのが面白かったです。

 

苦しいときには真っ向から立ち向かう
真夏の炎天下で働く工事現場から元気を貰う
将来監督になれるよう日ごろから監督ノートを付ける

などなど、
前向きな努力家の長谷部選手の人柄が感じられる一冊でした。

 

以外だったのは長谷部選手が読書家だったこと。
先輩が移動中のバスで読書しているのをみて、
「格好いい!」と思ったことから始めたようです(笑)

 

長谷部選手のおすすめする本ベスト5を教えてくれたのも面白かったポイントです

 

悩む力 [ 姜尚中 ]

長谷部選手のおすすめ書籍ベスト5にランクインしていたので興味があり読んでみました。
少し小難しい印象を受けたこちらの本。
著者は在日韓国人でありながら、東大大学院教授である、
姜尚中(カンサンジュン)氏。

 

現代人は自由であるがゆえに、寄る辺が分からなくなり、自我で悩む。
また、他者と相互に承認し合わずに、自我の確立はありえないという、
教授の考えのもと、その根拠を夏目漱石とマックスウェーバーの書籍や考え方から
ひっぱってくるという形で進んでいきます。

 

夏目漱石といえば明治の文豪と呼ばれた小説家。
マックスウェーバーといえばドイツ人で20世紀最大の社会学者とも呼ばれた研究者。
実はこの二人は国は違えど、全く同じ時代を生きた二人なんですね。

 

漱石とウェーバーがどんな時代情勢の中、どんな考えをもっていたのか。
共通点の多い部分は驚きました。

 

私としては具体的な悩み方というか、頭の中で悩みをどうコントロールするかといった、
方法論が知りたかったのですが、そういった記述はあまりなかったのが残念です。

 

道をひらく [ 松下幸之助 ]

松下幸之助さんといえば、現在のパナソニックの創業者として有名です。
残念ながら既にお亡くなりですが、数々の名言を残していますね。

 

 

こちらも長谷部選手のおすすめ書籍ということで購入して読んでみました。

 

 

短いコラム形式で松下氏の人生観、仕事観がビシビシと伝わってきます。
真剣に、勤勉に、一生懸命、正々堂々仕事をする。
そんな当たり前のことが何より貴いと何度も何度も語ってくれています。

 

 

心に響いた表現をマーカーしていたらかなりの部分にマーカーが引かれてしまいました(笑)
例えばこんな表現。

 

 

・心配や憂いは新しいものを考え出す一つの転機
・何の緊張も無い生活は何の喜びもない
・着々と我が力をたくわえる人には、時は必ず来る
・失敗することを恐れるより、真剣でないことを恐れるべし

 

 

ビジネスマンとして忘れていたことを思い出させてくれる一冊でした。
仕事のストレスすら真剣に楽しんでしまおうじゃないか、
そんな姿こそ美しいし、自分を成長させてくれるんだ!

 

 

勇気をくれるので、定期的に読み直したいと思える一冊です。

 

できる人の勉強法完全保存版 [ 安河内哲也 ]

東大合格者の4人に1人が通う、有名人気予備校東進ハイスクール。

 

講師のレベルが高く、成績を伸ばせない講師は容赦なく切り捨てられる。
そんな講師にとっても厳しい環境の中、常に勝ち続けてきた
安河内哲也氏が実践してきた勉強方法を教えてくれる一冊。

 

具体的なノウハウの宝庫です。
そして分かりやすい説明はさすがトップ講師だなぁと感心してしまいます。
実践すればみるみる知識が身に付きそうな気がしてきます。

 

週に一度は通勤途中に寄り道をする
いまやってみたいことがあるならすぐレッスンに申し込む
難しい仕事は進んでやる
音読勉強法
暗記が勉強を加速させる
根拠のある復習方法で記憶を定着させる
電子ツールを使って勉強法を効率化する
単語カードを使った勉強法

 

などなど本当に勉強方法を研究しつづけてきたんだなぁと感心してしまう
勉強のノウハウが詰まっています。
ノウハウ大好き人間の私としてはとってもためになる一冊だと言えます。

 

安河内氏自信が一流の講師でありつづけながら、
さらに様々な資格に挑戦し、それを物にしているというのですから、
勉強方法の信頼性は折り紙つきです。

 

頭がよくなる魔法の速習法 [ 園善博 ]

速読ではなく、速習方法について体系的に記載された一冊。
本を早く読むだけでなく、記憶に残しやすいようにすればどうすればいいのか、
効率的な読書をするためのノウハウが身につく一冊です。

 

図を交えて、文字も大き目なので読みやすかったです。

 

本を読むときには、いきなり読み始めずに目的意識を持つこと。
なぜこの本を読むのか、読めばどんなメリットがあるのかをしっかりと持つことで、
本の知識の身に付き方が全然違う。

 

目次を必ず読むこと。

 

まずはパラパラと全体に目を通すこと。

 

そして目的に応じて、3つの読書方法を使い分けること。
(スキミングリーディング、ターゲットリーディング、トレーシングリーディング)

 

そして本は読みっぱなしではダメで、記憶に定着させるためにブリーフィングが必要不可欠。
そうして知識が積み上がれば積み上がるほど、本を読むスピードはどんどん早くなる。

 

また、同じジャンルの本を複数冊読むと概要を掴みやすい。

 

などなど、具体的な方法論がぎっしりの一冊です。
園善博氏は速習セミナーで全国で活躍をし、教え子をたくさん輩出している方のようで、
本が早く読めるようになって人生が変わったという体験談もたくさん収録されていました。

 

現代語訳学問のすすめ [ 福沢諭吉 ]

福沢諭吉とセットで出てくる本が「学問のすすめ」です。
有名すぎるこの本ですが、読んだことが有る人はどれくらいいるんでしょう。

 

 

本書のはじまりも、斉藤孝教授が生徒に「学問のすすめを読んだことが有る人?」
ときいたところ、100人近くいた生徒の内一人も読んだことがなかった、
という経験から現代語訳版の「学問のすすめ」を執筆しようと決意したと記述されています。

 

 

福沢諭吉といえばやっぱり学問のすすめだよね。
え?読んだことないの?
・・・俺はあるよ。

 

と言いたくて読んでみました。

 

 

現代語訳ということでスラスラと読み進めることができました。
読み進めるごとに福沢諭吉の考えがストレートに心に響きます。
なにより驚いたのが、明治に書かれた本ながら、現代の日本人にも十分役立つ本だということ。
現代の日本人が忘れてしまっているような考え方をどんどん吸収できます。

 

 

以下印象に残った表現を抜粋します。

 

 

・一生懸命学ぶべきは、普通の生活に役立つ実学である。

 

・世の中で学問のない国民ほど哀れで憎むべきものはない。知恵がないのが極まると恥を知らなくなる。

 

・いまこの日本においてもこのレベルの人民がいるから、このレベルの政府があるのだ。

 

・大事なことは、人としての当然の感情に基づいて、自分の行動を正しくし、熱心に勉強し、広く知識を得て、それぞれの社会的役割にふさわしい知識や人間性を備えることだ。そうすれば政府は政治をしやすくなり、国民は苦しむことがなくなり、お互いが責任を果たすことが出来る。そうやってこの国の平和と安定を守ることが大切なのだ。

 

・ただ文字を読むことで学問だと思うのは見当ちがいである。

 

・実生活も学問であって、実際の経済も学問、現実の世の中の流れを察知するのも学問。

 

・独立の気概がないものは、必ず人を頼るようになる。人に頼る者は、必ずその人を恐れるようになる。人を恐れる者は必ずその人間にへつらうようになる。常に人を恐れ、へつらう者は、だんだんとそれに慣れ、面の皮だけがどんどんと厚くなり、恥じるべきを恥じず、論ずべきことを論ぜず、人見ればただ卑屈になるばかりとなる。

 

・ことの軽重は金額や人数の多い少ないで論じてはならない。世の中の文明に貢献したかどうかでその重要性を決めるべきである。

 

・文明とは世界中の過去の人々が一体となって今の世の中=我々に譲り渡してくれた遺産なのであって、その大きく広いことは、土地や財産とは比べ物にならない。

 

・我々の仕事というのは、今日この世にいて、我々の生きた証を残して、これを長く後世の子孫に伝えることである。

 

・観察し、推理し、読書をして知見を持ち、議論をすることで知見を交換し、本を書き演説することで、その知見を広める手段とするのだ。

 

・人間最大のわざわいは怨望にあって、その原因は「窮」なのだから、言論の自由は邪魔してはいけないし、行動の自由は妨げてはいけない。

 

・保護というものは人がやることについて傍で見守っていてこれを防ぎ護り、あるいはこれに物や金を与え、あるいはこの人の為に時間を費やし、その人が利益や面目を失わないように世話をすることである。命令というのはその人の為に考えて、その人の利益になるであろうことを指図して、為にならないと思われることは意見をし、心から親切に忠告することだ。

 

・信じる、疑うということについては、取捨選択のための判断力が必要なのだ。学問というのは、個の判断力を確立するためあるのではないだろうか。

 

・論語と実行とは、少しも齟齬しないよう、間違いなくバランスを取らなければいけないのだ。

 

・人望とは実際の力量で得られるものではもとよりないし、また財産が多いからと言って得られるものではない。ただ、その人の活発な知性の働きと、正直な心という徳をもって、次第に獲得していくものなのだ。

 

・人間多しとはいっても鬼でも蛇でもないのだ。わざわざこちらを害しようなどという悪い奴はいないものだ。恐れたり遠慮したりすることなく、自分の心をさらけ出して、さくさくとお付き合いしていこうではないか。交際の範囲を広くするコツは、関心をさまざまに持ち、あれこれをやってひとところに偏らず、多方面で人と接することにある。

 

・人間のくせに、人間を毛嫌いするのはよろしくない。

 

 

いっぱいありすぎですね(笑)
でもそれだけ感動した本で、自分の社会に貢献したい、仕事をがんばりたいと思える一冊です。
さすが当時のベストセラーであり、こんな立派な本を世の中に提供した福沢諭吉はやはり大教育者です。
最高のビジネス書ともいえる本がこの「学問のすすめ」です。

 

99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ [ 河野 英太郎 ]

職場で読んでいる後輩がいたので、

 

「まずい、負ける!」

 

と思い衝動買いしてしましました(笑)

 

仕事のコツを要点だけまとめた本です。
もっと具体的な解決策を教えてほしいんだけどなぁ
というのが率直な感想です。
まず何と言っても内容があっさりしすぎですね。

 

そんな中、なるほどと思った部分を抜粋します。

 

・自信があるように振る舞う
・概要から説明する
・話の流れを作る接続詞をあらかじめ決めておく
・結論から答える
・3分くださいを口癖にする
・相手の言葉を真似するとコミュニケーションはうまくいく
・「とりあえず」ではなく、「まず」という
・コンプリテッドスタッフワークを使えるようにする
・会議中はフィードバックを活用し、会議をコントロールする
・会議後のアクションはその場で確認する
・メールの件名は一目で分かるようにする
・相手のプロフィールに興味を持つ
・自分の中で明確な優先順位をもつ
・一つの行動に二つ以上の意味を持たせる
・手が届くフライ球は自分でとりにいく
・褒めるときは理由も付ける

・ルールは疑う
・一歩踏み出せないのは今の自分に必要がないから
・課題と懸念事象は分ける

 

このような仕事のコツがたくさん紹介されています。
コツを紹介した後に、なぜそうなのかが説明されています。

 

 

が、繰り返しになりますが、一つのコツごとの説明が短すぎて単なるコツ集になってしまっています。
血肉になるような知識は少なかったですね。
私にはあまり役に立たなそう、というのが正直な感想です。

 

プロタゴラス あるソフィストとの対話 光文社古典新訳文庫 / プラトン 【文庫】

プラトン。
名前は知っているけど何をなした人なのかはすっかり忘れています。

 

「俺はプラトンを読んだことがある」

 

得意げに言ってみたくなり、読んでみました。

 

 

プロタゴラスは人名です。
ソフィスト(啓蒙家)として、たくさんの知識を持った高齢の知識人の名前。
それがプロタゴラスです。

 

舞台はアテネ。
主人公はプラトンの師匠のソクラテス。当時30代です。
「プロタゴラス」はソクラテスとプロタゴラスとが対話がそのまま本の内容になっています。

 

ソクラテスはプロタゴラスに問います。
「徳(アレテー)は人が人に教えられるものでしょうか。私はそうは思いません。」

 

二人の議論はいろいろな物語を例にとったり、問答法を使ったり。
どんどん真理に近づいていきます。
そして最終的に出た結論とは・・・・それは読んでのお楽しみです。

 

面白い本だと思います。

 

難点は直訳っぽい部分が多いので若干読みにくかったり、理解できない所がちらほらあったところです。
やろうと思えばもっと分かりやすく書くことも可能なのでしょう。
でも原文を大幅に削ったり、意訳してしまい本来の意味とかけ離れてしまう。
その危険性を避けるために、あえて直訳っぽさを残したんだと思います。

 

今俺プラトン読んでるんだな~
という事実だけで気持ちよくなれるので、そこはオススメポイントです(笑)

 

昭和史(1926-1945) [ 半藤一利 ]

なぜ日本はアメリカと戦争したのか?
そう聞かれてすぐに答えられる日本人ってどれくらいなんでしょう。
学校では習ったはずなのに・・・
私は答えられませんでした(;・∀・)

 

日本人として恥ずかしいと思ったので、
口コミの評判も高い、半藤一利氏の「昭和史」を読んでみました。

 

まず特筆したい。めちゃくちゃ読みやすい。
表紙から固い文章のイメージでしたが、
半藤さんがお話をしてくれるような口語体で進められていきます。

 

そして学校で覚えた年代と出来事のつまらない羅列。
私はこのつまらなさで歴史が苦手科目でしたが、
この本は「歴史の物語」をスリリングに教えてくれます。
登場人物、数々の事件にグイグイと惹きこまれていきました。

 

1865年日本が開国を決心してからから1905年の日露戦争勝利。
この40年間で日本は国を作る。
そして1945年までの40年間で今度は国を滅ぼしてしまう。

 

陸軍は張作霖爆殺事件で沈黙の天皇を作り、
海軍はロンドン軍縮条約による統帥権干犯問題をきっかけに、
頑なになっていく・・・。

 

 

関東軍の自作自演の柳条湖事件からはじまった石原莞爾の満州事変からの、
1932年には満州国の設立。
当時の新聞、朝日新聞と東京日日新聞(現在の毎日新聞)は一斉に支持。

 

国民はまんまとメディアに乗せられて「軍人さん万歳!」となる。
新聞は煽れば煽るほど売り上げが上がっていくという悪循環。

 

天皇が「関東軍が自作自演で行ったという話をきくが、それは事実か」と
本庄軍司令官に聞いても、
「関東軍は謀略などしておりません」と平気で嘘をついて天皇を騙す。

 

むしろ「天皇に余計なことを言う君側の奸がいるな」
と天皇の側近に敵意を向けるようになっていき、昭和が駄目になっていく。

 

そして5.15事件で犬養毅総理を海軍青年将校が白昼堂々銃殺。
なんと国民はそれでも軍を一斉支持します。
日本の政党内閣は息の根を止められ、軍人の暴力と横暴が政治と言論の上に君臨される。

 

そしてずるずると戦争へ。

 

CGSで放送されている倉山満氏と神谷宗幣氏との絶妙なトークが
おもしろい「じっくり学ぼう日本近現代史」と
こちらの昭和史を読めば、必ず近現代史歴史にハマると思います。
(両者は歴史観が違うのがまた面白いです。)

 

この「昭和史」を読んだ後に歴史好きの大先輩と話をしたら、
いままでは興味なく先輩の話をフンフンと聞いていただけでしたが、
歴史トークに花が咲きまくりました(笑)

 

最後に半藤氏がまとめた日本人の特徴と戦争の反省は、
大いに納得できます。必読です。

 

日本人たるもの、日本の歴史は知っておかないとですよね。
学校の授業がいかに適当なのか知れたのも大きい。
あらゆる意味で日本人として目が覚める一冊です。