一流の記憶法: あなたの頭が劇的に良くなり「天才への扉」がひらく(著者:六波羅穣)を読みました。

六波羅穣さんは、学生時代のはじめ、成績が40人中10位くらいだったそうです。

まじめでかなりの時間勉強していたのに、順位が思うように上がらず、勉強法を見直します。

結果、東京大学文学部に入学。

その後も家庭教師として、数々の生徒の成績を上げたという経歴の持ち主のようです。

要点は以下のような話でした。

 

エビングハウスの記憶実験

記憶は時間とともに以下の割合で忘れてしまう。

20分後 42%

1時間後 56%

1日後 74%

1週間後 77%

1カ月後 79%

注目すべきは、1日後に覚えていた事柄は、1カ月後もほとんど覚えていること。

1日後の記憶が、長期記憶に定着したかどうかの判断基準になる。

 

記憶の大原則

注意を向けたものしか覚えられない。(テレビを見ながら食べた朝食は忘れてしまう)

口に出して読むだけでも注意が向く(果物の絵の実験)

 

想起練習

想起練習(反復法)=繰り返し思い出すと覚える。

一定時間後に思いだす練習を繰り返す。目安は以下の時間

1回目想起 数秒から30秒以内に複数回

2回目 1分後から10分以内

3回目 1時間から1日以内

4回目 1日後

5回目 1カ月後

 

関連付け

手がかりと関連付けると覚える。

例:「ジョン王はフィリップ2世に敗北して、大陸領土を喪失した」なら、大陸領土を喪失からジョン王を引っ張り出せるように、想起練習する。

この場合手がかりは大陸領土を喪失

試験勉強なら、試験問題に含まれそうな情報と関連付けすることが大切。(ジョン王が1199年に即位がテストに出ないなら、1199年に即位と関連付けてはいけない)

手がかりは多い方が良い。

仕事なら、手順を覚える場合、作業の目的、理由も、手順を覚える手がかりとなる。

感覚も手掛かりとなる。読むだけでなく、声に出すと良い。

イメージ、感情も手掛かりとなる。

(例)人の名前を覚える=顔、声、雰囲気、出会った場面

歴史=年号、出来事の背景、関係する出来事と人物

 

ただし手がかりが多いと、負荷がかかり、思い出せない場合もある。

例えば、アメリカ大統領の手がかりで、ワシントン、アダムズ、ジェファーソン、マディソン、モンローを覚えるのは、難しい。

対策としては以下の通り。

①直接的記憶法:数珠で繋ぐ。初代大統領でワシントンを覚え、ワシントンを手掛かりにアダムズ、アダムズを手掛かりにジェファーソンと覚える。

②階層的構造記憶法:買い物リストから食べ物、文房具、台所用品を覚え、食べ物から牛乳と卵、文房具から定規と覚える。

③記憶術:五大湖の頭文字HOMESを覚え、Hでヒューロン湖、Oでオンタリオ湖・・・と覚える(語呂合わせ)

 

記憶しやすい情報を利用する

すでに記憶しているものを多く含む情報は覚えやすい。(勉強すればするほど効率が上がる)

既に関連づいている情報は覚えやすい(中国といえば少林寺)

映像と音楽は覚えやすい(頭に絵が浮かぶもの、歌いながら覚えると覚えやすい)

一連の情報は覚えやすい(ストーリー、風が吹けば桶屋が儲かる)

 

勉強の際は、記憶しにくい情報を覚えるが、これらの記憶しやすい情報が役に立つ。

日本書紀と720年を関連付けて覚えるには、「何を書こうか日本書紀」

 

手続き記憶

やれば体が覚えるのが手続き記憶(例:運転、スポーツ)

間隔を空けずに反復練習すれば良い。想起練習(反復法)とは逆。想起練習は一定の間隔が必要不可欠。

しかし手続き記憶に頼りすぎないこと。想起練習が基本。

何も考えずにノートにひたすら書き写す勉強は、効率が悪い。手続き記憶はあくまで補助的な記憶法。

 

忘れることへの対処方法

忘れることを恐れすぎで、復習しすぎてもいけない。

受験勉強など、新しく覚えることが多いなら、その時間がとれなくなる。

目安として1日後に覚えていること。

想起練習なら、その日の内に3回(数秒後、数分後、1時間後)、翌日に覚えていれば、次は1カ月後。この計5回がベスト。

 

脳に良いこと悪いこと

脳に良いのは炭水化物。炭水化物抜きダイエットは記憶にとってよくない。

アルコールは小脳に悪く、短期記憶を長期記憶にするのを妨げ、前頭葉にも悪影響がある。

アルコールは摂取すればするほど脳を委縮させる。一切控えるのが良い。

有酸素運動は脳に良い。睡眠を7、8時間とるのも脳に良い。

 

関係法

①仲介役を探す

②仲介役と記憶対象を結び付ける

例えば、イタリアの形はブーツの形(仲介役)。

アラスカの買収=1867年=大政奉還の年(仲介役)

語呂合わせ法も関係法の一種。

頭文字法も関係法の一種。

 

一連法

曲に合わせて覚えるのも一連法。

おすすめの歌は、うれしいひなまつり、春が来た、仰げば尊し、あめふり、ちいさい秋みつけた、まっかな秋、虫のこえ、どんぐりころころ、夕焼け小焼け、雪、豆まき、はないちもんめ、あんたがたどこさ、おべんとうばこのうた、ずいずいずっころばし、かごめかごめ、アルプス一万尺、大きな古時計、線路は続くよどこまでも、森のくまさん、蛍の光、むすんでひらいて、じんぐるべる、桃太郎

物語法も一連法。

記憶対象が含まれた物語を自分で作り、それを覚える方法。

 

変換記憶法

0~99の数字を単語(具体的にイメージできるもの。例えば1は胃など。)に置き換えて覚えてしまう。

100個あるが、覚えてしまえば、数字関連を覚えるのが楽になる。

たくさんの数字が並んでいるものは、物語法と併せ技で使う。

 

ペグ法

ペグは帽子や服をひっかける釘。

釘を頭の中に持つことで、情報をひっかける。

体部位法

納豆、豆腐、卵、生姜を覚えたいとする。

1・髪、2・おでこ、3・目、4・鼻、と自分の体を上から順にペグにする。

髪に納豆がからまって気持ち悪い、豆腐におでこが当たって冷たい、目に卵が垂らされそうで怖い・・・と情報とペグを組み合わせると忘れない。

 

場所法

場所法が生まれてから2000年以上使われ続ける記憶術。

①自分の知っている場所をルートに設定する(家の中、通学路)

②ルート上にペグを設定する。

③情報を覚えたいときは想像上でルートを歩きながら、ペグのところで覚える。

 

その他

頭文字法(5つ程度の情報)、物語法(20個までの情報)、場所法(20個以上の情報)は特におすすめの記憶術。

受験勉強ではいきなり過去問をやるより、「基本的な内容」を覚えてしまうこと。