お盆とはどんな行事?

お盆とはどんな行事でどんな由来があるのでしょうか?

お盆というのは複雑な由来があり、元々はインドの仏教に由来します。
インドの仏教が中国に伝わり、中国文化を取り入れた先祖供養の独特の習慣が出来上がりました。

今でも「清明節」と言って4月前後に中国で祝われています。
考え方は日本と一緒、先祖の霊が戻ってくるというものです。
中国ではお供え物という概念はなく、むしろ爆竹を鳴らし、偽物のお金を燃やします。
先祖があの世でもお金がいっぱいあるようにと、いかにもお金を重視する国の風習へと変わりました。

その中国仏教の「清明節」が日本に伝わった後に、今度はもともと日本にあった祖霊信仰と融合して、旧暦の7月15日に行なわれるようになりました。
日本では食べ物のお供えをささげるという古来からの伝統があったので、今のようなお供え物をする習慣へと変わりました。

このように日本のお盆は、時代と場所の変化と共に変貌している行事ですので、あまり細かい規則に捕らわれないほうが良いでしょう。

 

お供え物に並べる食材は?

お盆のときに用意するお供え物、どんなものが良いのか悩みますよね。
一般に日本の家庭でどんなものがお盆のお供え物のお料理として好まれるのか、ご紹介しましょう。

・がんもどきの煮物(厚揚げの煮物)

作り方・・・昆布でだしをとったお水に、油抜きしたがんもどき(または厚揚げ)を入れて、お酒、みりん、砂糖、おしょうゆと一緒に煮込むだけです。

がんもどきはお盆の食材にピッタシ合います。
昔から精進料理の中に数えられてきた由緒あるお供え物です。

・きんぴらごぼう
作り方・・・千切りにして水につけたごぼうと、同様に千切りしたにんじんを、油でいため、砂糖、みりん、おしょうゆで味付け、好みで一味唐辛子や白ゴマなどをまぶします。

これは、故人も食べたであろう、誰もが好きな精進料理の一品。
手軽に作れて、準備も楽です。

・大根と胡瓜の胡麻あえ
作り方・・・短冊切りにした大根、にんじん、きゅうりを塩もみします。お酒、みりん、砂糖とすり上げた白ゴマを混ぜて上に掛ければできあがりです。
身体にもとってもいい精進料理でお供え物にもピッタシです。

 

お盆はいつ行なわれるのですか?

お盆の期間はなぜ8月13日~16日に行なわれるようになったのでしょうか?

そのお盆の期間中に先祖の霊が帰ってくるから、お迎えするために提灯やお供え物を準備しようというわけではないようです。
なぜなら、先祖の霊が帰って来ると言われていますが、歴史を見ると、今の日付は、生きている人間側の都合で決まっているからです。

日本も明治時代より前は、7月15日を中心に13日には迎え盆、16日には送り盆というのを行なっていました。
しかし明治時代になって新暦が採用され、今までの日付通り行なうと、農家の繁盛期と重なってしまって、農家の人が都合が悪くなりました。
お供え物の準備や人の出迎えなど、かなり時間が取られるからです。

それで、農家の仕事がひと段落した8月15日くらいに一ヶ月遅らせてしまえば、お盆のお供えものもゆっくり準備することができます。
農作の大仕事が終わった後ですので、親族と一緒に食事を楽しむ良い機会にもできるので好都合でした。

平たく言えば、生きている農家の人たちにとって都合が良いので、今の8月13日~16日という日付となったわけです。

 

お盆のお供え、今ではどんなものが?

お盆のお供えものの準備は本当に大変です。
一番良いとされる手作りのお供え物は肉類は使わないなど、いろいろな縛りがあります。

それで若い家庭の主婦や忙しい家庭の主婦はどのようにお供えものを準備しているのでしょうか?

「宅配お供えセット」なるものを利用するする人が増えています。

どんなものかというと、重々しい雰囲気の入れ物に、精進料理が並べられているというもの。

お値段はピンからキリまでです。
漆塗りの高級お供えセットは2万円ほど。
中には高級素材の精進料理がずらりと並んでいます。
リーズナブルなところでは2000円ほどのプラスチック製のものもあります。

お供え物として置いたあとは、もちろん食用にできます。

しかし時代の変化と共に、今ではいわゆるお歳暮に送るようなものでも、お盆のお供え物とされるようになって来ました。
要は価値のあるものであれば、お盆のときはなんでもいったん仏壇の前に置こうという考え方。

今ではアサヒスーパードライのビールセット、ゴディバのチョコレート、スターバックスのコーヒーセットなど何でありです。

 

地域や宗派の違いにお盆の習慣

実はお盆はそれぞれの宗派や場所によって、お供えもの、またはお供え物を置く棚の種類などかなりの違いがあります。
よって仏具店ではそれぞれの宗派がぶつからないように、無難な仏具をそろえています。

例えば、棚の種類について触れてみると、各宗派や場所によって、呼び方や形が変わります。
お盆棚(おぼんだな)と言ったり、精霊棚(しょうりょうだな)と言ったり、施食棚(せじきだな)と言ったりします。

お盆の仏事の行ない方、意味合いもバラバラで、同じ提灯を飾る場合でも、大抵は「故人を迎えるため」ですが、ある宗派は「阿弥陀さまを照らすため」といいます。

お盆の準備の仕方も豪勢な仏壇やお盆棚が必要という人もいれば、要はお供えが並べられれば良いので、小さな机を置きその上にゴザなどを敷いていればいいという宗派もあります。

お盆の目的も宗派や場所によって全く違います。
主流は「先祖を迎えるため」と言われていますが、ある宗派は先祖を迎えるという概念はなく、ただこの機会に「仏事を聴くため」という人もいます。

何が正しいのでしょうか?

正直なところ何が正しいというのはありません。
いま私たちの地域で行なわれているのも、すでにもうローカルルールだからです