とある書籍でおすすめされていた世界一優しい問題解決の授業(作者:渡辺健介)を読んでみました。

図解してあって子どもでも読めるような内容でとても分かりやすかったです。

 

問題解決が出来る人

適度に考えて、行動して、方向修正してを繰り返し、最短距離でゴールにたどり着く。

実行の結果から毎回何かを学び、進化していく。

→進化するスピードが早い

 

問題解決とは

①「現状を理解し」②「問題の原因を見極め」③「効果的な打ち手を考え」④「実行する」こと。

ありがちなのが②③をすっとばすこと。(①数学の成績が落ちてきた→④部活やめよう)原因を明らかにするには「なぜ?」を繰り返し、「分解の木」を作るといい。

例:数学の成績が下がってきた原因、何が解けなかったのか(方程式、図形など)、なぜそれが解けなかったのか(時間がなかった、解き方がわからないなど)

 

ツール 分解の木

原因やアイデアを「漏れなく」探すときに重宝するツール。

まずは原因、アイデアをリストアップして似た者同士をグループ化するのがおすすめ。

そこから「他に何があるか」「具体的にはどういうものか」といった質問をして掘り下げる。

生徒30人クラスを「部活」でグループ化する例

部活をする人→運動部員→球技→野球、サッカー、テニスなど

部活をする人→運動部員→球技以外→陸上、水泳など

部活をする人→文化部員→演劇、美術など

部活をしない人

 

左から右に作らなければならないものではない。とりあえず思い付くものを全て書き出して並び替えてもOK。

文字じゃなく「絵」で描いてもイメージがわいて良い。

日常生活でゲーム感覚で練習すると、自然と頭の中に「分解の木」が浮かぶようになる。

 

学園コンサートに人を呼びたい場合

原因としてありえるものを洗い出す

分解の木で500人いる生徒をグループで分類

コンサートを知っている人→コンサートに行ったことがある人→①継続的に来てくれる人、②来ない人

③コンサートを知っているが、行ったことがない人

④コンサートを知らない人

これで全ての生徒は①から④のどれかに分類される。

「コンサートを知っているか」「行ったことがあるか」「継続して来てるか」の質問で割合が分かれば人数が出せる。

一歩踏み込んで②の人には「継続して来ない理由」③の人には「知っているのに行かない理由」が分かれば、本質的な原因が見える。

 

原因の仮説を立てて、検証する

難しく考えなくても良い。仮説とその根拠を明確にしておくだけで、仮説が正しいかどうかチェックしやくすくなる。

この場合、仮説は「客が来ないのはコンサートを知っている人が少ないからではないか?」

根拠は「あまり周知していないから」、全体の5%くらいしか知らないのではないか。

コンサートを知っていれば、音楽好きなら来てくれそうなので、60%の割合で来てくれるのではないか。

来てくれている客いつも同じなので、継続してくれるのは100%ではないか。

そうすると、①15人、②0人、③10人、④475人となる。

 

この数字は仮説なので、正しいかどうかをアンケートやインタビューで検証する必要がある。

ただし検証を完璧にする必要はない。より正しい判断をするための検証なので、検証自体にはまらないように注意。

この場合、一部の生徒から簡単なアンケートを取ったり、聞き取りをすれば十分。

 

ツール はい、いいえの木

「はい、いいえの木」は原因を調べるときや打ち手を考える道筋を明確にすることができる。

例えば、寝坊をしたときの原因を調べるとき。

「アラームはなったか?」→はい(原因:鳴ったけど起きられなかった。アラームを消してしまったなど)

→いいえ→「時計は動いている?」→はい→「アラームはセットされてた?」→いいえ(原因:アラームの時間設定を間違っていた)

このように全ての質問を「はい、いいえ」で木を繋いでいくと、必ずありうる全ての原因にたどりつく道筋が出来上がる。

 

ツール 課題分析シート

課題分析シートを作ると頭が整理され、必要な作業がはっきりする。

「課題」「仮説」「根拠」「検証作業」「情報源」が一目で分かるような表を作る。

課題:なぜコンサートに来る人が少ないのか

仮説:コンサートがあることを知らない人が多いからではないか?

根拠:クラスの数人に声をかけただけだから

検証:各クラスの学級委員、校長先生にアンケート調査を実施してもらう

情報源:アンケート

 

分析する

アンケートとインタビューで検証すると、以下のことが分かったとする。()は仮説

①継続的に来てくれる人の割合80%(100%)

②継続的に来ない人の割合20%(0%)

③コンサートを知っているが、行ったことがない人90%(40%)

④コンサートを知らない人70%(95%)

となり、仮説では①15人、②0人、③10人、④475人と思っていたのが実際は

①12人、②3人、③135人、④350人だった。

そうすると「コンサートのことを知っている人は多いが、来てくれない人が多い」「継続して来なくなる人もいる」ということが分かる。

 

次にコンサートを知っているのに、来ないのは何故か理由を聞きとる。

→どんな音楽か分からない、時間帯が合わない、音楽に興味がないなど

継続して来ない人に何故か理由を聞きとる

→同じ曲で飽きたなど

 

このように分析すると、ズレた仮説だけで動いてしまい失敗することを防ぐことができる。

開始時間をズラす。演奏する曲を変えるといった打ち手がすぐに出てくる。

 

打ち手を考える

コンサートのことを知らせること、またコンサートに行きたくなる仕掛けが必要だと分かったら、また「分解の木」で対策案を考える。

伝え方で分解の木を作ると、人(クラスで歌わせて貰う)、掲示板(カッコイイポスターを作る)、放送(校内放送)、インターネット(HP作成)などの打ち手が出てくる。

ここで大事なのは難易度と効果は考えず、広くアイデアを出すこと。

 

最適な打ち手を選択する

時間もお金も人員も限られているので、打ち手に優先順位を付ける。

田んぼの田のような形のマトリックス図を作り、縦軸は効果(上に行けば行く程、効果がある)、横軸に実行しやすさ(右に行くほど簡単)。

このマトリック上に打ち手を並べてみて、①右上、②左上および右下の順番で打ち手を選択し、左下は実行しない。

ただ、得意な人の手を借りるなどすることで左下のマトリックスから右上に移動させられることもある。そうすれば打ち手の優先度は高くなる。

 

実行プランに落とし込む

やり残しやミスを防ぐために紙の実行プランを作成する。

誰が担当し、どのタイミングで、いつまでに行うか、依頼するか、当日から逆算して落とし込む。

面倒だがこういうクセを付けておくと、大きな問題を大人数で取り組むときも、スムーズに出来るようになる。

 

お小遣いでパソコンを手に入れたい場合

目標を設定する

×パソコンを買う

○半年後に60,000円の中古パソコンを、自分のお金で買う

×の悪い例は抽象的すぎる。○の良い例は具体的なので、何からすべきかがはっきりする。

目標が具体的なら、解決策も実現性が高いものが浮かんでくる。

頭の中ではなく、紙に書くのが良い。

 

目標と現実のギャップを分析する

目標、パソコン購入に必要なお金:60,000円

現実、貯金20,000円、お小遣い月3,000円、お手伝い賃週1回300円(月1,200円)

現実、出費、一カ月1,450円

このまま半年後を迎えても23,500円足りない。

 

仮説を立てる

選択肢を広く洗い出す

「分解の木」を使い、収入を増やす、出費を抑える、それぞれの方向で選択肢を洗い出す。

人からお金を貰う(親族)、自分でお金を稼ぐ(お小遣いを増やしてもらう、お手伝いを増やす、物を売るなど)、娯楽費を減らす、飲食費を減らすなど。

完璧な木を作る必要はない。具体的なアイデアを漏れなく、ダブりなく出すことが目的。

 

選択肢を絞り込んで仮説を立てる

選択肢の中から実現が難しいもの、効果が期待できないもの、時間がかかりすぎるものを消す。

自分の価値観に合わないものも消してOK(人からお金を貰うなど)

仮説:「CDやゲームを買うのを我慢、いらない本を売る、より高いお小遣いの手伝いをすればパソコンが買えるのでは」

※仮説を立てておくといきあたりばったりの情報収集より調べやすくなる。

 

ツール 仮説の木

部活が楽しい、休み時間が楽しい、授業が楽しい→中学校生活が楽しい(並列型、1つなくなっても、追加されても結論は変わらない)

魚は泳ぎが得意+マグロは魚だ=マグロは泳ぎが得意だ(解説型、三段論法、どちらかが欠けると結論が出ない)

仮説の木で仮説の結論と根拠を明確にしておくと、何を検証すればいいのか、どんな情報が必要かが具体的に見えてくる。

 

仮説にそって情報を集める

仮説を検証するときは事実、データに基づいてチェックする。感覚で行うと間違うことがある。

やるべきことを炙りだすために前述の「課題分析シート」を使う。

例)

課題:出費を下げる

仮説:CDやゲームを買うのを我慢すれば出費を半分にできるのでは?

根拠:出費の中で一番高いから

検証:いままでの出費を思い出して、どれくらい出費を減らせるか分析

情報源:過去三カ月の出費を思い出す

このように、課題分析シートでなにをすべきかを炙りだす。

 

データを集め、分析する

何に出費しているか分析後→「我慢できるか」「出費を抑える効果」のタテヨコでマトリックスを使い、とりくむ節約を決定する。

持っている物を売るといくらになるか分析→「処分してよいか」「収入が増える効果」のタテヨコでマトリックスを使い、売る物を決定する。

周りの家のお手伝いのお小遣いを分析→まだやったことのないお手伝いを見つけたり、交渉したりする。

 

行動計画を策定する

何月何日になにをやるか、日程と行動を紙に落とし込む。

途中で計画がどこまで進んでいるかチェックするこも必要。

 

ツール 意思決定ツール

何かを決めるとき、優先順位をつけるときに使用するツール。

アメリカの留学先をどこにするか決める場合。

紙に書き出して分析することで質の高い意思決定を実現する。

 

「良い点、悪い点」リスト

選択肢の良い点と悪い点を洗い出し、意思決定するためのリスト。

①選択肢を洗い出す

例)A校、B校、C校

 

②選択肢の良い点と悪い点を書き出す

例)A校→部活が強い、冬が寒い B校→憧れのニューヨークに近い、部活が弱い C校→気候が良い、留学生用コースがない など

 

③書きだした項目を評価する

例)すごく良い+3点、まあまあ+2点、良い点だがあまり重要でない+1点

すごく悪い-3点、やや悪い-2点、悪い点だがあまり重要でない-1点

 

④最も魅力的な選択肢を選ぶ

上記②の良い点悪い点を③を基に採点。+と-を足し引きして、合計ポイントで優劣を付ける

 

「評価軸×評価」リスト

同時にたくさんの選択肢を比較するときに役立つ

①選択肢を洗い出す

例)A校、B校、C校

 

②評価軸を洗い出す

欠かせない条件、あった方が良い条件など、なるべくたくさん書きだす。

例)部活の強さ、ニューヨークへの近さ、学生寮の有無、学費の安さ、留学生用コースの有無 など

 

③評価軸の重要度を決める

「高」「中」「低」の3段階でつける

例)ニューヨークへの近さ、留学生用コースの有無→「高」、学生寮の有無→「中」、部活の強さ→「低」 など

 

④選択肢を評価する

選択肢を1点から3点の3段階で評価軸ごとに採点

例)

(高)ニューヨークに近い→A校+1点、B校+3点、C校+1点

(中)学生寮の有無→A校+3、B校+1点、C校+1点

(低)部活の強さ→A校+1点、B校+1点、C校+3点

 

⑤選択肢を選ぶ

④を元に最も魅力的な選択肢を選ぶ。

この場合、単に点数だけではなく、③で決定した重要度が高い(上の方にある)評価軸に注目して決める。

点数ならA~C校すべて5点で同点だが、評価軸の重要度から選択肢の優先度はB→A→Cの順番で低くなる。